忍殺TRPGリプレイ【プア・サム・シュガー・オン・ミー】02
前回のあらすじ:ニチョーム自警団の根城『絵馴染』に、またもトラブルが舞い込んできた。女ニンジャ・ブライカンが入れ込んでいるハイオイラン「オタマ」が、カラテカルト教団「ドクノキバ」に洗脳されたというのだ。しかし相手は複数のニンジャを抱える危険集団。ここは……交渉重点!
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ザクロは腹をくくる。「まずは……各方面へ状況報告。ニチョーム自治会やオタマ=サンのお店。ソウカイヤは……一応、黙っときましょ。報告義務があるわけじゃないから」「「「了解」」」ファイアキラーなど自警団所属ニンジャは他にもいるが、あまり多数で赴き事態を荒立ててもうまくない。
「『草むらをボーで叩いたらコブラにアンブッシュされて噛まれた』だかってコトワザもあるのよ。奥ゆかしくして、むやみにトラブルを起こしさえしなきゃあいいの。肝に銘じておいて、特にブライカン=サン」「アッハイ。アタシのクロームハートに刻んでおきやす」かくて一行は蛇の巣へ向かう!
作戦開始
ザクロが問題のジムと連絡をとったところ、「話があるならすぐに来い」とのこと。侵入者が逃げた直後ゆえ警戒はされていよう。「タイガー・クエスト・ダンジョン」ではあるが、「先に相手の情報を知っておけば有利」と平安時代の哲人剣士ミヤモト・マサシのコトワザにもあった気がする。
「あっちの情報をもう少し詳しく知らせて」「へえ。アタシとLAN直結を」「その必要はないわ」ZZZTTT……ドミネイターは超常的なIRC通信でブライカンの脳内UNIXに直結し、情報を吸い出していく。「アバーッ!?」ブライカンはニューロンをシェイクされる感覚に悶絶!「ちょっと我慢しててね」
0101010101……ブライカンが見聞きした情報を、ドミネイターは追体験する。なぜ自分にこんな能力が備わったのかはどうでもいい。ニンジャだからだろう。ジムの奥、寝室に忍び込み……噎せ返るようなインセンスの香り……半裸のハイオイラン……複数のニンジャの気配、そして……大蛇だ!
「ンアーッ!」ドミネイターは頭を振って直結を解除!「あの大蛇は?」「さあ……カルト教団のニンジャが飼育しているペットですかね」再現されたブライカンの視界は薄暗さと香の煙で狭く、はっきりとはわからない。「とにかく気をつけましょう」「ニンジャでないならダイジョブよ」
事前準備は充分だ。ブライカンに案内され、ネザークイーンたちは問題のジムへ向かうこととなった。こちらはニンジャが5人、なんとかなろう。
ジム
「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」
ジムに到着してみると、奥からカラテシャウトが聞こえる。トレーニーたちがカラテ鍛錬を行っているのだろう。受付の褐色肌の女性は、にこやかに一行を出迎えた。「ドーモ、ようこそ。こちらはアユタヤ式フィットネス・ヨガのジム『パーターラ』です。ご見学をご希望でしょうか?」
「先程お電話したザクロです。スタッフの方に呼ばれまして」「ザクロ=サン……ハイ、アポイントメントがございます。ドーゾ」受付の女性は深々とオジギし、奥へ進むよう一行を促す。彼女のバストは豊満で筋肉質だ。「でへへへ、ドーモ」ブライカンは鼻の下を伸ばしてデレデレしている。
マップ
1ターン目
薄暗い施設内には、麝香めいた甘ったるい香りが漂っている。廊下の壁には「パーターラ」「アユタヤ式ヨガ」「健康になる」などと書かれたカケジクが並ぶ。左側にはドージョーがあり、トレーニーたちの激しいカラテシャウトが絶えず聴こえてくる。「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」
「ドージョー破りをしに来たわけじゃないわ。先へ進みましょう」廊下の奥は左へ曲がっており、その先にいくつか部屋が並んでいる。「突き当たりにオタマ=サンの寝室がありやした。ヘヘ……今はいるかなあ」「流石に別の場所に移されてるでしょ。その先は?」「そこまでは立ち入ってませんで」
2-3ターン目
ドージョーと寝室をスルーし、一行は廊下の奥の角を左折して進む。麝香めいた香りはますます強くなる。向かって右手には「キッチン」と書かれたドアがあり、左手には「アナコンダ」と書かれたドアがある。「……アナコンダね」「ええ」一行は警戒する。左手のドアの奥からは異様な気配!
『アイエエエ……タスケテ……!』微かに助けを求める声。ハイオイランではなさそうだが、助けを求める声を放置して進むわけにはいかない!「行くわよ」「「「ハイ!」」」KRAAASH!一行はドアを蹴破り突入!そこには、おお、ナムアミダブツ!巨大なアナコンダがとぐろを巻いているではないか!
◆カラテアナコンダ(種別:危険生物、カラテビースト)
カラテ 10 体力 21
ニューロン 1 精神力 -
ワザマエ 5 脚力 8
ジツ 0 万札 12
攻撃/射撃/機先/電脳 12/ -/ 1/ -
◇装備や特記事項
☆カラテビースト:体力+3、精神攻撃無効
▲▲カラテビースト上半身LV1:ダメージ2
△毒液抽出線(コブラアーム):出目4を含む攻撃に毒ダメージ+1
▲▲▲▲カラテビースト下半身LV2:体力+6、脚力+2
△△△大蛇の下半身:体力と攻撃+2、脚力+1
近接攻撃に「戦闘スタイル:拘束攻撃」追加(脱出UH)
●疾駆:通常・全力移動距離+2
●大型2×2:即死耐性、轢殺2
●長大なる肉体:移動時のみ大型1×1
●連続攻撃2
能力値合計:16
「シューッ……!」恐るべき大蛇は青白く瞳を輝かせ、チロチロと舌を出して威嚇した。その腹には何のつもりか、黒帯が巻かれている。このドージョーのニンジャが飼育しているのだろう。その巨体の背後には檻があり、4人のヤクザが閉じ込められ……虚ろな目でカラテトレーニングに励んでいる。
檻の中にはダンベル、ランニングマシン、プロテインサーバー、香煙を放つ壺などが備え付けられている。ヤクザたちは洗脳されて閉じ込められ、自我喪失状態で肉体を鍛え続けているのだ。「アイエエエ……タスケテ……」「もうトレーニングしたくない……」「筋肉が……筋肉が……」ナムサン!
「何よ、これ」ネザークイーンは訝しんだ。明らかに、ただのトレーニング施設ではない。しかし、彼らを檻から救出していいものか?「これって……こいつらをアナコンダの餌にしてるってこと?」ドミネイターはなんとなく察した。他に考えにくい。ヤクザが悪事を働いたとしても、邪悪な行為だ!
「シューッ!」縄張りに踏み込まれたアナコンダはこちらを威嚇し、襲いかかろうとする!ここは立ち向かうしかない!一触即発アトモスフィア!
4ターン目:戦闘開始
見上げるような巨体と、全身にみなぎるカラテ。常人が挑めば確実に死ぬ相手だ。だが……ここにいるのは手練れニンジャ5人!「「「「イイイヤァアアアーーーッ!」」」」BLALALAM!SMASH!SMASH!SLAASH!「アバババーッ!」サツバツ!4人の猛攻を浴びた巨大アナコンダはたちまち瀕死!
「エヘヘェ、じゃあ、ごめんなすって」「ミネウチ重点よ」「アイアイ!イヤーッ!」SMASH!「アバーッ!」さらにブライカンのミネウチ・カラテを浴び、巨大アナコンダはたまらず昏倒!戦闘不能!
戦闘終了:5ターン目
「これでよし、と」ファイアランナーは檻の扉を解錠し、ヤクザたちを外へ連れ出した。「アイエエエ……ブッダ!」「ボディサットヴァ!」ヤクザたちは感涙に咽び、深々とドゲザする。ザクロは優しく彼らの頭を撫でた。「アタシたちはニチョーム自警団よ。事情を聞かせてもらえるかしら?」
ヤクザたちによると、クランのオヤブンの愛人がこのジムでのトレーニングにのぼせ上がり、戻ってこないので連れ戻しに来たのだという。しかし、奥から出て来た「タクシャカ」という女にひと睨みされて意識を失い、気がついたらこうなっていたというのだ。「タクシャカね。教団の最高幹部よ」
ザクロは顎を撫でる。「そいつのペットをぶちのめしちゃったけど、ダイジョブかしら」「カラテを見せつけてやったってことにしましょ。命まではとってないもの」「じゃ、アータたちはとっとと逃げなさいな」「「「「ハイヨロコンデー!」」」」4人のヤクザは外へ駆け出した。
6-7ターン目
廊下に戻った一行は、さらに左手奥へ進む。キッチンの隣にはバスルームもあるが、そちらに用はない。最奥には「礼拝堂」と書かれた荘厳なドアがあり、奇怪な蛇神像のレリーフがいかめしく周囲を睥睨している。中には複数の気配。『ペットをかわいがってくれたようね。どうぞ、お入りなさい』
ドアの向こうから、蠱惑的な女の声。麝香めいた甘いにおいがひときわ強くなり、ブライカンは鼻の下を伸ばす。「でへ、でへへ……なんてェ美しい声、そして、いいにおいだァ……」「しゃきっとしなさい。アータが一番の当事者よ」「へえ」「タノモー!オジャマシマス!」突入!
【続く】
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