【つの版】ニンジャスレイヤーTRPG簡易リプレイ【ナックルズ・ホワイト・ドライ】
邦題:白く乾いた拳(Knuckles White Dry)
これは2019年5月5日から6日にかけてTwitter上のnjslyrタグで行われた、ニンジャスレイヤーTRPGの簡易版ゲームでのつののリプレイを纏めたものです。公式のソロアドベンチャーシナリオとしては第四回です。
前回は3月。シャープウォーカー=サンがUNIXハックに失敗してふわふわローン死しかけましたが、温情により救済されました(DKK2獲得)。
今回、成長させて持ち越ししてもいいと公式から告げられましたが、いつもの三忍はお仕事中ですし、SW=サンも一仕事終えたばかりです。せっかくですので新たなニンジャを創造してみることにしました。とはいえ4月のソロアドベンチャーに備えて既に作っておいたものですが。
◆ニンジャ創造◆
今回誕生した新たなサンシタニンジャはこいつです。サンシタ出力や診断メーカーを組み合わせたらこうなりました。最近ニンジャを作る時にサイコロを振っていませんが、リプレイではちゃんと振っていますのでごあんしんください。妙に出目がいいですがイカサマではありません。いいですね?
◆マーダーシュトロム(種別:ニンジャ) PL:つの
カラテ 4 体力 5(サイバネ)
ニューロン 6 精神力 6
ワザマエ 4 脚力 2
ジツ 3 万札 0
DKK 2 名声 0
◇装備や特記事項
◆ジツ:ミナヅキ・ジツ(カトン扱い)
◆オーガニックスシ:体力を3回復(使い捨て)
◆戦闘用バイオサイバネ(片腕、毒手):ダメージ2、体力+1(ローンあり)
能力値合計:20 サイバネ数:1(バイオ)
◆忍◆
つの版ニンジャ名鑑
【マーダーシュトロム】
ソウカイヤの女ニンジャ。悪徳デッカーにセンド・ニンジャクランのソウルが憑依。白ニンジャ装束を纏い、毒手カラテとミナヅキ・ジツを操る。綺麗好きでトーフが好物。時々何もないところで転ぶ。
◆殺◆
イメジはPicrewの「ダウナー女子の作り方」で作りました。アムニジアとジャスティスとホワイトドラゴンとススキを混ぜて薄めたような感じになりましたね。診断メーカーのオラクルにより片腕がバイオサイバネ化されましたが、能力値が高いのでふわふわローン死はしないでしょう。悪徳デッカーだったので既にDKKを積んでいます。多少のぽんこつ成分を検出しました。
ではリプレイの様子から、このニンジャのアトモスフィアを感じ取っていきましょう。例によってパルプ小説仕立てでやります。
◆ソロアドベンチャーパート開始な◆
PRRRRRRR!IRCに通知。何事だ。二日酔いの頭痛を堪え、ベッドから起き上がる。新たな職場も労働環境はブラックだ。「……トーフ工場」寝ぼけ眼をこする。ラオモト・カンの子息。急行命令。ナビゲート・ドローン、モーターロクメンタイ(D6)が浮き上がり、お節介なガイドを開始する。
◇🎲ドーモ、モーターロクメンタイです。大丈夫、私がそばでナビしますよ。あなたはたまたま近くにいたため急行命令を受けました。ラオモト・チバがトーフ工場内に取り残されてしまっているようです。シックスゲイツ級もすぐに到着するでしょうが、ここは名を上げるチャンスですね。急ぎましょう!◇
「ほう、私にもツキが回ってきたか。カネの臭いだ」武装アナキスト集団などニンジャである私の敵ではない。シックスゲイツに先駆けて工場へ行き、ラオモト・チバとやらを救出すれば、キンボシ・オオキイだ。カネも名声もアブハチトラズ。「暴徒を鎮圧し、子供を救う。カトゥーンヒーローだな」
素早くニンジャ装束に着替え、白いマスク・メンポを装着。「行くぞ。イヤーッ!」D6をひっつかみ、窓から飛び出す!アヤセ・ジャンクションならすぐ近くだ。ニルヴァーナ・トーフ工場も知っている。「さあD6=サン、ナビゲートしてくれ。情報を寄越せ」夜の空を跳ぶ。眠気と頭痛は消し飛んだ。
ネオサイタマ上空の暗雲から、重金属酸性雨が容赦なく降り注ぐ。しかし、彼女は濡れもしない。雨はぶつかる前に、乾いていく。
◆工場入口◆
ニルヴァーナ・トーフ工場のエントランス前。モータルのデッカーだった頃に何度か来たことがある。「トーフはニルヴァーナに限る。私の装束も白く汚れがないからね」重金属酸性雨が降り注ぐ中、暴徒たちが工場を襲っている。何百人も。セキュリティをどう抜けた。手引きする者がいたか。
「ウオーッ!」BLAMBLAMBLAM!「アバーッ!」「アババババーーッ!」両手に拳銃を持った男が、逃げ遅れた労働者を虐殺している。Tシャツには「アナーキー」と書かれている。アナキストに間違いない。わかりやすい。「邪魔だな。アナキストごとき、これで充分」クナイを取り出す。
「イヤーッ!」アナキストの額へめがけ投擲!
難易度NORMAL、目標値4。ワザマエは4。4D6で[3,3,3,5]=成功。
「アバーッ!」アナキストは額からクナイを生やしソクシ!「フン、薄汚い非ニンジャめ」死体を乗り越え、足早に先へ進む。イッキ・ウチコワシでもなさそうだ。私はデッカーであった時から社会のクズを数え切れないほど始末してきた。ニンジャになり、ソウカイヤに入ってもやることは変わらん。
悪徳とはいえ元デッカー。スリケンやクナイよりは、デッカーガンの方がまだ手になじむ。正義や法律の威を借りてクズどもをブチのめし、カネを稼ぐのは快感だ。だが…足りない。乾く。喉も心も乾いていた。酒を浴びるように飲んでも満たされない。
◆工場内◆
工場内を走り抜ける。そこかしこに銃弾の跡や死体。労働者のも、反撃を受けたアナキストのも。「ウオオオーーーーッ!」通路を曲がったところで、武装アナキストのアホが角材で殴りかかってくる。D6のノーティス。言われるまでもない。勝手につけられた毒手を振るう。「イヤーッ!」
難易度NORMAL、目標値4。カラテ4。4D6で[1,2,4,6]=成功。
「アバーッ!?」アナキストは全身が黒く染まってソクシした。ナムアミダブツ。アナキストの懐を探り、カネを奪う。勝手につけられた毒手には、勝手にローンもかかっている。期限までに支払いできねば…「バカバカしい」あと9人ばかりアナキストを倒すか。いや、目的はそんなことではない。
ニルヴァーナはヨロシサン系列で、ソウカイヤとは良好な関係だ。労働者を守り、アナキストを殺し、工場の奥へ。プラントには「四角い存在」「凝固したアモルファス」などの製品名がショドーされている。ライバル会社サカイエサンのトーフは大豆を使うが、ニルヴァーナは大豆オフが主力だ。
トーフは好きだ。白く、四角く、水気が多い。白くないのもあれば四角くないのもあるが。栄養は大してないが腹は膨れる。余計なものを体内に入れなくていい。走るうちに、アナキストの死体に蹴躓く。このアナキストどももカルテット食いだろう。ならば襲撃はサカイエサンの仕業か……。
大ホールへと細い廊下を駆ける。ラオモト=サンのご子息とやらはそこにいるだろう。だが……妙な気配。こういうところには得てして罠がある。
難易度HARD、目標値5。ニューロン6。6D6で振って[1,1,3,5,6,6]=成功。
鋭敏なニンジャ第六感が危機を知らせた。対侵入者用トラップだ。ガゴンプシュー!前後の隔壁が閉まる!だがバック転をうって難を逃れる。
「ニンジャをトーフにしようってのかね」大量のトーフエキスが隔壁内へ注がれる音と臭い。捕まっていたら、ぞっとしない。私には何もないところで転ぶ癖があるが、今日はまだ幸運だ。いかに白いとはいえ、肌や髪や装束がトーフエキスやユバで汚れるのは嫌だ。
「トーフは大豆オフに限る。アレルギー成分もオフだ」
◆工場最深部◆
最深部に到達。両側がガラス張りの回廊を駆け抜ける。左手に大ホール。プラントから漏れた大量のトーフエキスが氾濫し、大勢が死んでいる。大惨事だ。そして、ラオモト・チバらしき少年はそこにいた。トーフエキスまみれでIRC端末にがなりたてている。「おい!フジオ!早く来い!」
「……あれがラオモト・チバ=サン?」D6はYESと答えた。よくわからんが、色んな意味で大惨事だ。その元凶は……『ドーモ、モーターヤブです。直ちに休憩してください』BRATATATA!「「「アババババーッ!」」」大ホールの反対側にモーターヤブがいて、ガトリングガンで職員を虐殺している。
ガトリングガンはプラントをも破壊している。いかにモーターヤブのAIがアホで有名とはいえ、これは異常。アナキストたちがセキュリティを簡単に抜けたことを合わせて考えれば、外部からのハッキングで操られているというわけか。 「つまり、あれを止めればいいわけだ」D6が同意する。
ガラス窓を破ってダイブすれば、モーターヤブの近くへ行ける。
カラテで壊すか、ワザマエで躱すか。私は…
「LAN直結でハッキングする。それが一番手っ取り早い」
カラテを挑んでもいいが、相手は重装甲。負ける気もしないが、シックスゲイツ級のカラテもない私にすぐ破壊できるとも思えない。もたもたしていれば救援が来て片付けてしまう。それではキンボシにならぬ。
連続側転でチバを救出することも可能。カラテで重装甲ヤブを壊すよりは楽だろう。しかし当然ガトリングガンの掃射を受ける。私が多少食らってもダイジョブだろうが、チバが食らえば危険だ。キンボシどころではない。
よって、LAN直結あるのみ!ガラス窓を突き破ってヤブの背後へ跳び乗り、ハンドヘルドUNIXからLANケーブルを引き抜き、背面端子へと直結攻撃!「イヤーッ!」だが……プロテクトが堅い!
6D6でU-HARD![2,2,3,4,4,6]=危うく成功!ゴウランガ!
『ピガガガガガガガーッ!』直結攻撃成功!モーターヤブは制御UNIXを焼き切られて機能停止!「フーッ…ちょっと、ヤバかったか」だが最も分のいい手段はこれだ。万札5ほどのデータも獲得。あとは、報酬か。
ヤブから跳び降り、救出対象へ近づく。深々とオジギ。「ドーモ、ラオモト・チバ=サン。マーダーシュトロムです。お助けに参りました」「ああ」チバは顔をむくれさせた。「乾かしましょうか」「ああ」手をかざすと、チバに纏い付いていた白いユバがカサカサに乾いて剥がれた。「ほう」
ミナヅキ・ジツ。ニンジャソウルが授けた特殊なジツだ。タタミ数枚ほどの範囲にいる対象の水分、液体を蒸発させる。人体程度ならたちまちカサカサに乾かし、殺してしまう。加減すれば雨を蒸発させ、ユバを乾かすことも出来る。ただ……機械には通じない。オイルを蒸発させて軋ませる程度だ。
チバは笑った。「便利なジツだな!」ニンジャが目の前でジツを使ったというのに、このモータルはNRSのひとつも起こさない。彼はラオモト・カンの子息で、周囲に大勢のニンジャがいる環境で暮らしてきたのだ。そうだろうと思っていた。「だが、このスーツはもう着ないぞ!帰ったら捨てる!」
「……遅れました」背後にオブシダン色の装束を纏ったニンジャ。ゾッとするようなカラテの気配。ダークニンジャだ。「遅いぞ、フジオ!こいつの方が有能だな!」チバが喚く。私は恐れ、深々とオジギした。「ドーモ、マーダーシュトロムです」「……ドーモ、ダークニンジャです」
フジオ・カタクラ。ラオモト・カンの懐刀、ダークニンジャの本名。
◆トコロザワ・ピラーな◆
トコロザワ・ピラーへ帰投。ラオモト・カンの子息を見事に救出した私は、最上階に通されて褒美を授かる栄誉を受けた。広大なタタミ敷きの部屋にはラオモト・カンとチバ、金髪のオイランたち、クローンヤクザ、そして大勢のニンジャ。私に集まる嫉妬羨望の視線。ダークニンジャもいる。
「ムハハハハ!見事な働きぶりであった!」ラオモト・カンは上機嫌で万札10を投げつけた。チバも万札5を投げつけ、こう告げた。「ムハハハハハ!お前はなかなか見所のあるやつだ。特別に、ぼくのボディガードの一人にしてやってもいいぞ!」「ありがたき幸せ」深々と頭を下げる。
アナキストから1、ヤブから5、報酬15。合計万札21。このうち10はローンの返済にあてる。残り11。さらに名声3を獲得。
キンボシ・オオキイだ。カネだけではなく名声、信頼を勝ち得た。野心を燃やす。チバの側近となり、寵愛を受けてのし上がる。ただ…ダークニンジャの不興を買ってもよくないが。居並ぶニンジャたちが嫉妬して私を殺すかも知れない。それは上も承知か。「追って沙汰する!今日はこれまで!」
ラオモト・カンがそう告げて退出し、表彰会はお開きとなる。タイムイズマネーだ。私はチバとダークニンジャに会釈し、退出する。キョート流なら二度断るところだろうが、ソウカイヤでは強欲な方がいい。嫉妬者が襲って来れば返り討ち。出来ねば所詮そこまで。ならば徒党を組むとするか。
そして、私がモーターヤブから入手したデータによれば……あれはザイバツの仕業だ。暴動を煽動し、ダイダロスを出し抜いてセキュリティをハックしたのだ。サカイエサンがザイバツと繋がっているらしいことも判明した。ならば次は、サカイエサンの工場が襲われる番だ。理由は何でもいい。
「せいぜい忠誠心を見せてやろう」愉しくなって来た。乾きが癒される。
【ナックルズ・ホワイト・ドライ】終わり
◆リザルトな◆
◆マーダーシュトロム(種別:ニンジャ) PL:つの
カラテ 4 体力 5
ニューロン 6 精神力 6
ワザマエ 4 脚力 2
ジツ 3 万札 11
DKK 2 名声 3
◇装備や特記事項
◆ジツ:ミナヅキ・ジツ(カトン扱い、範囲内の液体を蒸発させる 機械には無効)
◆オーガニックスシ:体力を3回復(使い捨て)
◆戦闘用バイオサイバネ(片腕、毒手):ダメージ2、体力+1(ローン返済)
能力値合計:20 サイバネ数:1(バイオ)
野郎ばかりでも花がないので、女ニンジャにしてみました。トーフエキスに塗れることはありませんでしたが、チバキュンがえらい目に遭ってポイズンバタフライ=サンが卒倒しました。美少年は世の宝です。ヤブのハックで多少ヒヤヒヤしましたね。ホワイトナックルとは「ハラハラするさま、手を強く握りしめて拳が白くなるさま」を言います。white,dryなどの単語でググるといい感じの曲が見つかったのでタイトルにしました。
マーダーシュトロム=サンはムーンライトスロース(MS)=サンとイニシャルがかぶるので略称はMShとします。マシュと略すと別の誰かになります。時々どんがらしますが、PB=サンタイプの仕事人です。チバやフジオと因縁が出来てしまいました。チーム・ヒップのリプレイでも時系列的にサカイエサン・トーフ襲撃が近いので、なんか絡ませられるかも知れません。三忍で行動するとかなり楽ですし、二忍チームにしてみましょうか。
以上です。つの産のこうしたニンジャたちを、あなたは自由に活用して下さい。つのはとても喜び、あなたの記事にスキをつけたりするでしょう。
【以上です】