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なぜ日本のUIデザインは世界で流行らないのか

先日、ある急成長中のTIベンチャーの社長の方とお話しする機会があり、面白い議論ができたので共有したいと思います。

なぜ日本から世界的な規模のwebサービスが生まれないのかについて話しました。
日本で1億ユーザーを超える世界的なwebサービスはLINEだけです。(それも韓国にルーツがある)

一方、GAFAMなど世界で億単位の規模ユーザーを抱えるwebサービスの多くはアメリカから誕生しています。
なぜアメリカからは世界的なwebサービスが数多く生まれているのでしょうか。

理由はさまざまはあると思いますが、アメリカが多人種国家であるからというのが原因の一つだと考えられます。
多人種国家あるアメリカは、さまざまなバックグラウンドを抱えた人がいて、英語が分からない人が多いのに加えて、識字率も先進国の中では低い方です。

サービスを開発するにも、色んな人種が使うことを想定して作らなければならない。そのため、必然的にグローバルスタンダードなwebサービスが多く誕生するのです。
amazonと楽天を比べるとその違いが顕著に現れています。
皆さんはどこが違うのかお気づきでしょうか。

Amazon
楽天

Amazonの方が情報量が少なくスッキリしているのに比べて、楽天の方はなんとなく情報多い感じがしますよね。
なぜ楽天の方が情報量が多いと感じるのでしょうか。さらに深く言語化してみると、

アマゾンは画像による情報が多いのに比べて
楽天は文字による情報が多い
のです。

その背景を考えてみると、なぜこのようなデザインになっているのか納得できます。楽天が主に対象のユーザーとしている日本人は識字率が高く、文字が多くても理解できるのでたくさん情報を盛り込んでも問題ありません。
一方Amazonは世界中のユーザーが対象になります。世界には文字が読めないユーザーも数多く存在しますから、その人たちのことも考慮したデザインにするために、文字ではなく、画像で情報を伝えているのです。

アクセシビリティ、ユーザービリティの概念が普及し、ユーザーにとって使いやすいデザインが追求されている昨今ですが、様々なバックグラウンドのユーザーがいることを想定することも、「誰もが使いやすいデザイン」に繋がってくるのです。

全ての人にとって使いやすいデザインは、全ての人にとってちょっと使いにくいデザイン
でもあります。

「誰もが使いやすい」ということは「誰か特定の人が使いやすいデザインにしない」ということでもあります。
日本では、サービスを開発するとき、ペルソナを定めて、特定の誰かの使いやすさを追求することが一般的です。しかし、それでは「誰もが使いやすいデザイン」を実現することが難しいのです。

また、「誰もが使いやすい」デザインを作るためのもう一つの考え方があります。
(私はこの考え方がシューエツだと思ったのですが)
レゴブロックとプラモデルを想像してみてください。
レゴブロックはブロックの種類が数種類しかないため、構造がシンプルで、実物を見ただけでどのように組み立てられたのかが一目瞭然です。
一方プラモデルはパーツが何十種類にものぼり、特定のパーツを特定の部位にしか使えません。そのため構造が複雑で作るために説明書を読む必要があります。

この考え方をプロダクト開発に転用すると、特定のユーザーが特定の状況でしか使えない機能を増やすと、かえってプロダクトの機能を複雑化し、使いにくさに繋がる可能性があるのです。
そのため、「誰もが使いやすい」デザインを作るには、過半数ユーザーにとって必要十分な機能を追加する必要があるということです。(BtoBのプロダクトだと少し考え方が変わるかもしれません)

自分も元々、
・デザインによって言語の壁、文化の壁を取り除くことにより、様々な文化的背景を持った人が同じように使えるデザインを追求したい
・コミュニケーションの障壁をなくし、誰もが気軽に交流できるようなサービスを作りたい

という思いを持っていました。

「この事業を、早く世界的に成功させて、この考え方を証明したい」と社長が話していて、その目がとてもキラキラして見えました。

確かに、この事業が成功すれば、日本のUIデザインにおけるユーザービリティの考え方が変わるかもしれない。とても挑戦し甲斐のある事業でワクワクしました。

(ワクワクしますね!と言ったら社長に「君もこれから一緒にやっていくんだよ」と言われました。ということでこの会社の最終選考を突破しました。)


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