わざわざ教えてくれない?始める前に知っておきたい資金調達実務まとめ
はじめまして。クロスマート 管理部の當間(@kesuuyo1106)と申します。
既に1か月以上経過してしまいましたが、クロスマートはシリーズBにて約5.3億円の資金調達を実施しました。
今回の資金調達に当たっては、代表 寺田が投資家とのバリュエーションや出資金額の交渉、私がその後の詳細な条件確定や契約実務、という形で役割分担をしていました。
私自身は全くファイナンスバックグラウンドではなく、資金調達の実務経験もほぼなかったため、多くの書籍やnoteを参考にさせてもらいました。
そのため、自身と同様に実務経験が乏しい中でこれからチャレンジしていく方に向けて、少しでも参考になればと思い本noteを執筆しています。
本noteの内容について
資金調達におけるバリュエーションの考え方については投資銀行出身CFOの方のnoteが多数あるため、本noteでは資金調達における契約実務タスクの全体像や、ミスなく効率的に遂行するTipsなどを記載しています。
まずは簡単に自己紹介
大学卒業後、都市開発を行うデベロッパーにて約5年勤務し、2014年にベンチャー企業に転職しました。
当時は今ほどベンチャーへの転職が一般的ではありませんでしたが、若さゆえの無知と野心??で飛び込むことを決めました。
転職当初は営業職でしたが、様々なめぐり合わせによりコーポレート業務担当となり、何の知識も経験もないままで経理を始めました。
その後、会社の成長に伴い、経理だけではなく「財務」、「労務」、「法務」、「総務」、「内部監査」、「IPO準備」など様々なコーポレート業務を横断的に担わせてもらい、現在のキャリアのベースとなっています。
最近では投資銀行、監査法人出身の方がベンチャーのコーポレート業務を担うケースも増えていますが、私の場合は本当の0ベースからスタート、という点でかなり珍しいかなと思います。
(未経験スタートゆえ、良くも悪くも多くの地雷を踏み抜いてきました、、、。その当たりのエピソードも多く話せますので、もし直接会う機会があればぜひお声がけください。)
契約実務タスクの全体概要
時系列で記載すると、ざっくり以下のような流れになります。
1. 契約書他の各種ドラフト作成(作業期間:2週間~1か月程)
一般的には、「投資契約書」、「株主間契約書」、「総数引受契約書」、「定款変更案」等が必要となります。
作成方法としては、VCがリード投資家であればフォーマットを持っていることもあると思いますし、前回ラウンド時の書面をリバイスする形でも良いと思います。
2. 臨時取締役会の開催
株主とすり合わせをしながら各種書面が固まったら、取締役会にて決議をします。
書面作成が完了するまでの期間を見越した上で、開催日程を調整します。
決議事項に漏れがないよう、招集通知や取締役会議事録は弁護士にレビューしてもらった方が良いと思います。
※調達と合わせて減資も実施するのであれば、減資の取締役会決議も実施します。
3. 臨時株主総会の開催
取締役会の決議が完了したら、株主総会でも必要な事項を決議します。
忘れられがちですが、種類株式を発行している場合は種類株式毎の株主総会も忘れずに実施します。
種類株式の株主総会が漏れていると、増資登記が実施できなくなるので要注意です。
リアル開催による決議、書面決議のどちらで対応するか株主と協議し、実施方法に応じて、弁護士と相談しながら提案書、同意書、株主総会議事録等の必要書面を作成します。
このプロセスを全て紙ベースで実施すると膨大な時間がかかるので、後述の「smartround」を使うのがオススメです。
4. 増資登記の実施
出資金全ての着金が確認できたら、増資登記を実施します。
増資登記については、払込期日(払込期間を定めたときは払込期間の末日)から2週間以内に登記を申請する必要があります。
こちらは司法書士に依頼することになるかと思いますので、司法書士とも事前にスケジュールやタスクのすり合わせをしておきます。
出資者候補から出資の意向を取り付けた後も、ドラフト作成~着金まで最低でも2、3か月はかかると見込んだ方が良いと思います。
また上記はあくまで一例で、もちろん個社の置かれた状況等によってタスクもスケジュールも大きく変動します。
当社も今回の資金調達は、1stクローズ、2ndクローズと段階的に契約、着金準備を実施しました。
リード投資家は8月末で決まりましたが、当時はロシア・ウクライナ間の戦争で世の中の先の見通しが全く立たない状況でした。
そのため、万が一にも契約締結前に話が白紙とならない様、フォロー投資家が確定する前に、リード投資家との手続きを先行して走らせることにしました。
諸々の状況を鑑みながら、柔軟に対応することが重要だと思います。
実務Tips
初めて調達実務を担当する際に、意識しておいた方が良い、知っておいた方が良い点をTipsとしてまとめています。
その1. 株主とのコミュニケーションは細かく、丁寧に
資金調達の各種手続きは、全株主の了承を得ながら進めていきます。
株主毎に要望が異なる状況も多く発生するため、それらを上手く調整、とりまとめをすることが必要となってきます。
時間も限られた中で進めていくので、連絡漏れにより進んでいた作業に手戻りが発生することが一番のリスクです。
そのため、多少しつこい位にコミュニケーションを取り、確認事項のすり合わせをした方が良いと思います。
まずは上部に記載したタスク時系列をベースに、株主への依頼事項とスケジュール感をざっくりとでも共有、握りをしておきましょう。
その2. 契約書ドラフトの修正はGoogleドライブでやろう
複数の株主がいる場合、当然株主によって契約書への要望は異なるため、契約書の文言修正が大量に発生します。
修正要望をエクセルやメールで受け取っていると追いきれなくなるので、 Gooleドライブで契約書ドラフトを関係者全員で共有し、編集していく形が一番楽だと思います。
その3. ペーパーレスで進めよう
資金調達の各種手続きで地味につらいのが、必要書面の印刷→製本→送付→回収の作業です。
全ての書面を紙でやりとりすると、膨大な印刷量となり、送付や回収にもリードタイムが発生して時間がかかります。
当社も以下システムを使い、できるだけペーパーレス、事務負担を減らす形で対応しました。
・株主総会smartround
株主総会の招集通知・委任状の作成、送付がオンラインで完結でき、回答状況もリアルタイムで確認できるサービスです。
個人的にはこのサービス抜きで今回の調達手続きは乗り切れませんでした、、、
※議題によってはsmartroundで対応不可の場合もある様なので、きちんと確認の上で導入をオススメします。
・クラウドサイン
投資契約書他の捺印も、電子契約への置き換えが可能です。
電子契約、便利です。
その4. 良い意味で、専門家にしっかり頼ろう
資金調達の各種手続きにおいては、契約書をはじめとして作成必要となる書面が大量にあるため、特に弁護士の協力を仰ぐことが必要不可欠となります。
実務経験が浅い場合、そもそも弁護士に依頼が必要な事項が判断できない、ということもあると思います。
そういった場合、丸投げするのはなく、当然自身でも調べてキャッチアップをしつつ、できないこと、不明なことは先方にも素直に伝えて力を借りた方が良いと思います。
そのためには、当たり前ですが相手へのリスペクトを持ったコミュニケーションを心がける必要があると思います。
今回の調達を振り返って
実は今回の資金調達は、私にとっては入社直後にアサインされた最初の大仕事でした。
まだ既存株主との関係構築もできておらず、事業に対しても十分な情報を持たぬ中で任された責任重大な仕事で、12月末に最終の着金を確認した時は、「これで年を越せる」と心から安堵しました、、、笑
大変な仕事ではありましたが、今回の資金調達を通して「投資家が着目しているクロスマートの可能性や強み」を理解することができ、とてもありがたい機会でした。
経験の浅い中で資金調達実務をこれから対応される方で、もっと話を聞きたい!という方がいらっしゃいましたら、ぜひ下部のカジュアル面談フォームよりご連絡ください!(現状未作成ですが、これから私のフォームも作ります) 特に採用関係ないお話でも大歓迎です!
今回の資金調達に限らず、私自身も色々な方に助けて頂きながらこれまでやってこれてきていますので、少しでもそれを還元できればと思っています!
最後に。 採用やってます!
資金調達も完了し、これからクロスマートは強くアクセルを踏んでいくフェーズに入ります。
少しでも興味を持っていただいた方、まずはカジュアルにでもお話させてください!
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