引用から

――たとえばジャケットの場合、着て、前のボタンを一つかけると、そこにジャケットの重心がすっとかかる。その瞬間に服が命を得て、ボタンは役目を終える。扇のかなめと言い換えてもいいけど、成仏する、その位置を探すことが、服を生かしも殺しもします。三つボタンでも六つボタンでも、ポイントになるのは一個だけ。残りのボタンやカフスボタンは、単なる飾り、様式美にすぎません。ついでに言うと、ボタンをはずしたとき、身頃が少し脇にいくはず。しめてもはずしても同じ服は、どこかが間違っています。

山本耀司「ファッション進化論」


詩作にも通ずるところがあるような気がした。

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