カルタ詩

あ　藍色に暮れる港に
い　いさきの群れ
う　産土がおめかしして
え　えくぼの形に
お　お山との区別がつかなくなる
か　かんかん照りの道はいつまでかなあ
き　希望は
く　くるくる空回り
け　袈裟固めでならした
こ　恋のゆくえ
さ　さらさらと
し　子音が欲しくて欲しくて
す　砂を噛むビンの中
せ　背中合わせに
そ　そっと一礼
た　棚から棚へ
ち　痴呆を責めないロータリー
つ　つづら折りのアコーディオン
て　てらてら眩しいから
と　トタン屋根でねむる
な　仲間が欲しい
に　庭に腰掛け
ぬ　塗り絵に没頭するのよ
ね　ネロリの香りがしてくる、どこかから
の　喉元まで突き出せ
は　端数をメモする人の癖は治らない
ひ　菱形の
ふ　震えるこめかみに　
へ　ヘモグロビンが生きています
ほ　ほっとして一服
ま　マラケシュからの通信が
み　三つ点滅している
む　ムラなく塗ったおかげで
め　目と目で会話ができる世界線
も　諸人こぞりて声が
や　闇夜の国に灯っていく
ゆ　ユーカリ食むコアラの慈悲が
よ　夜毎に移り変わっていることを知らない
ら　駱駝の歩く道まできた
り　理路整然と語る効果を
る　瑠璃色に委ねよう
れ　連弾をした春を夢みて
ろ　路面電車に積まれた花が舞う
わ　わらうそばから
を　をんなたち仲間になって
ん　ん、な、と引っ込める