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文字絵「おのゝ小町」

北斎の文字絵六歌仙を読み続け、今週はすでに最後の一枚となる。いかにも華やかな作品で、「小野小町」だ。所蔵は大英博物館である。

まず、上段に書き込まれた和歌。

色見へてうつろふものは世の中のひとの心の花にそありける
色見へで/移ふものは/世の中の/人の心の/花にそありける

ちらし書きのスタイルを取り、最後の「ける」の二文字は、右側の端に持っていった。左側に十分な空間を残しながらの対応で、王朝文化への一つのささやかなリスペクトだと言えよう。

今度も読み取るまでに苦労した。一番に分かったのは、「の」、あとは長い時間の足踏みだった。強調された黒髪は、なんらかの形で文字に加わっているだろうと推測したが、その半分だけが生かされ、かつわざと一つの区切りを縦線に入れたとの答えにたどり着くまでには、右往左往した。それが分かるのと同時に、「小」という文字も自然と見えてきた。一方では、今度も不安が残った。「お」も「ゝ」も、答えありきで逆算して結論したのだが、はたして北斎の思いに合致するものだろうか。

おなじくGIF動画に仕立てた。

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