スタンピード
カナダ・カルガリーより、ローカルの祭典の様子を数枚の写真で伝えよう。
行事の名前をスタンピード、ロッキー山脈沿いのロデオだ。馬や牛を操るカーボーイたちが主人公となる伝統的なものだが、いまや都市一大のイベントに成長した。毎年は七月中旬の十日間に開催し、今年の日程は九日から十八日までだった。去年は始めての中止で、二年ぶりに開かれたが、パレードがバーチャルなど、いろいろなやりくりや苦労が伴った。
実際の感覚では、例年の二割程度の人出ではないかと思われる。それでもスタンピードグランドに入ると、熱気に包まれる様子が目の前に広がる。このグランド、アドベンチャーランドになっているが、毎年この短い間だけ稼働する、じつに贅沢な作りになっている。
目指すのは、夜のグランドショー。カーボーイたちの競技、カントリーミュージックなどに続き、日没の十時まえにようやく大きな移動ステージが真ん中に引っ張られ、設置された。観客席はすでにほぼ満員状態だ。ちなみによく見ると、マスクはごく少数派に過ぎない。
出し物の一番は、まずはかなり膨大な数の少年少女たちのバンドだった。ステージに入りきれずに裾まで広がる。とにかくその数が圧倒的で、観客席から応援が絶えず、子供たちの親たちもかなり入っているのだと想像できた。
演目はジャンルに捉われず、とにかくエンタメの一点に尽きる。サーカスの定番なるバイクのパフォーマンスもあり、空飛ぶ様子はまさに高い席からの視線を満足させるものだった。
バレーの踊りがあり、舞台の演出も工夫を凝らしたものだった。噴水と炎との共演は素晴らしく、目を疑い、目を惹きつけるものだった。
ゆっくり時間を割いたのは、原住民の伝統や文化を歌うものだった。例年のカナダ国歌をメインとする演出を取りかえた。晴やかな舞台は一転して神秘で幻想的なものとなり、中心で踊る踊り子の服装も踊りぶりも素敵だった。
演出の途中に数回も花火があがり、そしてやがて一晩の終わりに盛大な花火ショーが繰り広げられた。音楽に合せた花火はつねにその魅力を倍僧させるものだが、ステージにはかなりの数の若者がずっと歌い、踊りつづけた。盛大に炸裂する音や強烈な火薬の匂いに伴い、短い一瞬は観客を十分に陶酔させた。