時政の花押
大河ドラマ「鎌倉殿の13人」。その時代考証がしっかりしているとの評判だ。先週放送した「名刀の主」の中にも、それを物語る光る一瞬があった。
話を山場へもっていく群像の行動には、梶原景時への連名の訴訟が作成された展開があった。その署名はしっかりと画面に映り、人名、署名、そして花押の三部構成だった。時政の名前も発起人として一番最初に書き込まれたのだが、物語では、計算高いりくによって切り落とされた結末となった。
思わぬ形で鎌倉の面々の花押が目に飛び込んできた。かつて時間をかけてそれらを眺める時期があった。東京大学資料編纂所が公開していた「花押カードデータベース」に基づき、十六代の執権を対象に、かれらが残した複数の花押を読み比べ、形への理解を得るために、その筆順を辿り、GIF動画に仕立てて、「動く花押」という特設サイトを開設した。
そこに収めた時政のGIF花押は、これだ。
特設サイトのページをぜひ覗いてください。この筆順に結論した参照のカードもあわせて添えた。念のため、上記のドラマから切り取った画面と見比べ、花押の形が正しく再現されたことがすぐ分かる。
花押の形を動きで捉える。このアプローチは、はたしてどこまで有効だろうか。もっともっといろんな意見を聞きたい。