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ColBase閲覧メモ

調べものして、あらためて「ColBase」に入った。公開されてまだ4年、その充実ぶりには驚いた。個人的には、いまでも関連リソースはもっぱら「e国宝」を利用しているので、いろいろと新鮮なことに惹かれた。二、三の閲覧経験をメモしておく。

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開発運営元は、「e国宝」も「ColBase」も同じく四つの博物館と一つの研究所だ。所蔵公開の対象がかなり重なるので、両者の違いをよく読めば、前者は国宝、重要文化財に限定し、後者はこれを含めながら、さらに所蔵と、かなり広がったと分かった。知っている資料を実例に調べてみても、たとえば『男衾三郎絵巻』について前者は重要文化財の一点のみに対して、後者はこれに加えてさらに模写と断簡と、あわせて三点と数える。さらに、一部には音声データまで添えられている。有料利用が前提で作られたコンテンツなので、クリック一つで聞けて嬉しい。

利用者の目からすれば、画像の真下の目立つところに設けられた「ダウンロード(作品画像一式)」がとりわけ有難い。「利用規約」には、出典記載などの条件さえ守れば、商用利用まで含め、複製、公衆送信、翻訳・変形等の翻案などすべて自由に利用できるとのことが記されている。これなら、引用、紹介などの発信に安心して使えるものだと、深く納得した。

「ColBase」利用方法の案内などを調べれば、サイトの制作者、運営者からのとりわけつぎの二つのアプローチが印象的だった。

村田良二氏が学術誌に寄稿した「ColBaseとジャパンサーチの連携」との一文は読み応えがある。データベースの制作にあたり、「ジャパンサーチ」との連携をはじめ、さらに「国立国会図書館サーチ」、「文化遺産オンライン」との連携が大きな課題であり、それぞれのサーチエンジンにあわせて慎重に作業を積み重ねたことが分かる。日々変わっているインターネットの環境のもと、膨大なデータを相手に、設計一つで利用の様相が大きく変わってしまう現状を、利用者には分からないが非常に多いだろうが、もっと知られるべき、忘れてはならないことだ。

もう一つは、田良島哲氏(Tarashima Satoshi)の特設ページだ。「遠隔学習に!自由に使えるColBaseのリソース」。「学習」という切り口から、親しみやすいテーマごとに「ColBase」への案内を分かりやすく、魅力的に記している。いうまでもなく学習のリソースとして、「ColBase」はまさに最高級のものだ。これをめぐり、教育現場の人や学習者たちからの反応を読みたい。さらに言えば、そのような人々を巻き込んでの工夫などは、つぎのステージとして取り組む課題の一つだろう。

最後に、苦言を一つ書きたい。「ColBase」という名前の意味は伝わらない。前出の二つの記述を読んでも、これには触れていない。システムの英語名は、「ColBase: Integrated Collections Database of the National Institutes for Cultural Heritage, Japan」。ここから察すと、CollectionsとDatabeseの二語からそれぞれ一部取っての造語だろうか。いずれにしても、簡単に覚えられず、とりわけ日本語の文脈でこのタイトルには違和感が拭えない。ここまで世の中から高く受け入れられた「e国宝」の姉妹編だから、すなおに「e至宝」、「e所蔵」としたほうが遥かに理解しやすいと、つい勝手に思った。

ColBase: 国立文化財機構所蔵品統合検索システム


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