ユダヤ教の文化とミステリーの組み合わせがうまい。『水の戒律』フェイ・ケラーマン
本書の事件は、アメリカの閉鎖的なユダヤ教正統派のコミュニティで起こります。
私はこの本を読んだ当時、宗教にはさっぱり詳しくなくて、キリスト教については、ちょっと知っている程度。そして、ユダヤ教にもいくつか宗派があるぐらいの知識はありましたが、実際にどうなのかは、この本を読んで初めて知りました。
事件背景としても、アメリカのユダヤ教の文化の話としてもよくわかって、とてもおもしろかったです。本編のミステリーより、ユダヤ教のディテールがいちいちおもしろく感じる部分もあるくらい。
この本の事件は、推理の派手さはないけれど、堅実な刑事ぶりの主人公と敬虔なユダヤ教正統派のヒロインの恋物語が、まさに大人の恋愛で、しっとりいい雰囲気だったり、ハラハラさせてくれたり。宗教文化と恋愛は、結婚がからむので、面倒くさい分、興味深かったです。
ユダヤ関連の仕事を頼まれて、宗教用語なんかを調べる中でみつけた本ですが、かなりいい収穫でした。この本はシリーズ第1作だそうなので、続きも読んでみたいです。