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バカロレアの国 フランスの教育事情『哲学する子どもたち』中島さおり


著者の中島さんは、フランス人と結婚して、慣れない異国で子育てに奮闘。そんな日常を紹介してくれる本です。日本とはかなり違う、フランスの学校制度やカリキュラム、保護者会、学級代表など、娘さんと息子さんの中学、高校を事例がおもしろくて、一気に読んでしまいました。

この本を読んでいるとき、うちも娘は中学生でした。試験がなく、学校の成績で進学が決るフランスは、かなり日本と違います。内容をかいつまんで説明すると、娘は「いいなあ~」とうらやましそう。でも、親は結構たいへんそうです。

例えば、先生がかなり個性的。ときどき、かなりいいかげん。団体行動がなく、個人単位が基本。試験は論述式や口頭試験で、日頃の勉強も親がなかりサポートする必要があります。

フランスは、昔のエリート教育をかなり引きずっているので、大衆化した現代にミスマッチな部分も多いそうです。ラテン語ができないとリッチな人たちの仲間に入れないとか、けっこうエグい。でも、逆に大衆化しすぎて、漢文不要とか議論されている日本からすれば、そのあたりはちょっと羨ましいかも。

入学式や卒業式などの面倒な式典がなく、給食でもお弁当でもいいし、なにより、公立の教育費がほとんどかからないのが素晴らしい。もちろん、アホみたいに高い制服や指定のかばん、靴、その他、靴下やカーディガンの色指定なんて、ばかばかしいものもありません。いいなあ。

中島さんの実体験にもとづいた、教養高い著者のユーモラスな文章は、よくある「フランスでは○○は当たり前、日本は遅れている!」式の、視野の狭い記事とは違うので、読んでいて嫌味がないです。

日本とフランスの作文授業の違いは、娘も頷きながら「ほんとにそれ!」って同意してました。ついでに、モーパッサンの『首飾り』も読んでみたくなった模様。その後、読んでいるところはみたことありませんがw

著者の中島さんが最初に出したのは、フランスで出産したときの本だそうで、その後も、日々のフランス生活をレポートされているらしく、本書はその中の1冊だとか。フランスでの出産ってどんなのか、ちょっと興味があります。


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