アジア人のハリウッド映画。『クレイジー・リッチ』アメリカ、2018年
ミシェール・ヨー(楊紫瓊)のファンなので楽しみにしていた映画。娘と二人で見てきました。期待通りに面白かったです。
今回、初めて知ったのは、海外華僑の階層。なんと、中華系とひとくくりにはできず、シンガポールの場合、中華系シンガポール人が圧倒的に上位だとのこと。アメリカ系は見下されるだなんて想像もしなかったです。
あとは、ハリウッド映画でアジア系の役者さんたちで固めたってのも、かなり画期的だった模様。確かに、原作がアジアの物語でもハリウッドで映画化すると登場人物をみんな白人にしたり、いろいろ売れそうに改編されますから。でも、今回は原作者がそのあたりをかなり気にしたので、ちゃんとアジア人ばかりで映画化が実現した模様。
単純に勘違いしていたのだけれど、原作者のケビンさんって女性じゃなくて男性でした。こういうシンデレラ的なお話は、女性の作者さんだと思い込んでいたので驚きです。ミシェール・ヨーが、大富豪のマダムという実生活と同じ役をやるのもすごい。彼女は本当に大好き。
91才のリサ・ルーの存在感もさすが。『ラスト・エンペラー』の西太后。そして、『再会の食卓』のヒロイン。いくつになっても、活躍して欲しい女優さんです。
ストーリーの重要シーンに女性たちの囲む雀卓があることや、苦労する母娘の物語、移民ってことで、久しぶりに『ジョイ・ラック・クラブ』も観たくなりました。でも、『ジョイ・ラック・クラブ』は、中国の革命や戦争、古臭いしきたりから逃れて、アメリカに来た女性たちの物語。アメリカでも、やっぱりアジア系ということで苦労します。
なのに、『クレイジー・リッチ』はアジア人たちがただひたすらお金持ち。なんでもお金で解決しようとするし、また、できる。時代は変わったなあと、ハッピーな映画を見てシミジミしてしまいました。
後日、原作も読んでみました。映画と違う…という部分は少しありましたけど、そんなに決定的に違うわけでもなかったです。大体同じ。ただ、一番違ったのは、主人公のボーイフレンドのお母様。映画みたいに誇り高い人ではなくて、原作はもっと俗物でした。お金が行動基準の中心にあって、邪険にしていた主人公に、金持ちの父親がいたことがわかると、ころっと手のひらを返します。
なるほど、映画のインタビューでミシェール・ヨーが「アジア人を皮肉るだけの映画なら出ない」と言っていたのは、このあたりのことを指していたんですね。ミシェール・ヨーを出すために、脚本は大富豪の奥さんの性格に手を入れたと。
気になって、ネットで関連記事を探してみたら、洋書をバリバリ読まれている方のブログを発見。すごい。そして、ありがたい。