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夕遊の本棚

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ひと仕事終わって、おいしい珈琲や紅茶を片手に読みたい本。仕事で読む本。とにかく、たくさん読みたい、楽しみたい私の本棚をご紹介します。
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#第二次世界大戦

歴史は政治で”現代史”。『中国の「よい戦争」』ラナ・ミッター

サブタイトルは、「甦る抗日戦争の記憶と新たなナショナリズム」。中国にとって、第二次世界大…

夕遊
1年前
30

今だから読みたい1冊。『世界史としての「大東亜戦争」』細谷雄一編著

「大東亜戦争」というのは、戦前、日本が英米に宣戦布告して以降の戦争のことで、正式には19…

夕遊
2年前
21

メディアが煽った戦争。『帝国日本のプロパガンダ』貴志俊彦

『ゴールデンカムイ』に石川啄木が出てきた話のとき、ちょうど国内外の新聞に写真が載せられる…

夕遊
2年前
25

文化工作だった映画や小説やまんがやアニメ。『大東亜共栄圏のクールジャパン』大塚英…

第二次世界大戦のときに、映画や小説が「文化工作」――作品としての価値よりも、「宣伝」とし…

夕遊
2年前
23

コメディなのに笑えない映画『帰ってきたヒトラー』ドイツ、2014年

第二次世界大戦末期、自殺したはずのヒトラーが2011年の未来に蘇って、人気者になるという…

夕遊
2年前
28

戦争で残された人たちの物語。『銃後の社会史』一ノ瀬俊也

この本は、一ノ瀬先生が、全国各地の遺族会(第二次世界大戦までに戦争で家族を亡くした人たち…

夕遊
2年前
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イメージ戦略が「事実」として歓迎された話。『日本の古都はなぜ空襲を免れたか』吉田守男

京都や奈良が文化都市だったから、空襲がほとんどなかったという話は、たまに聞きます。昔ほどじゃなくなってホッとしていたら、youtubeで古代史とか文学専門の偉い先生がエピソードとして話している動画に出会って、「!?!」となったり。 京都を空襲しないように進言したとされるのは、日本学者のウォーナー博士。彼の功績をたたえる記念碑が、法隆寺をはじめ、日本にはたくさん建立されているとのこと。 ウォーナーはアメリカ・ケンブリッジの名門の家に生まれ、戦前には2度来日して、岡倉天心の下

戦争があると、本が焼かれる。『書物を焼くの記』鄭振鐸

以前読んだ『戦地の図書館』では、ナチスが「ドイツらしくない」有害図書を焼いた話が、強烈な…

夕遊
2年前
19

海を超えた一億四千万冊の本『戦地の図書館』モリー・グプティル・マニング

戦争は、攻める側と攻められる側がある。「戦地の図書館」というと、攻められている側が、苦労…

夕遊
2年前
15

あるカンボジア人の人生。『淡淡有情』平野久美子

この本は、平野久美子さんが、第6回「小学館ノンフィクション大賞」を受賞した作品です。平野…

夕遊
2年前
20

インタビューの難しさ。『誰か「戦前」を知らないか』山本夏彦

大正4年(1929年)生まれの山本夏彦さんが、自分の知っている戦前や知らない戦前まで、若…

夕遊
3年前
18

あの時代の空気を刻印した物語。『『ビルマの竪琴』をめぐる戦後史』馬場公彦

あまりにも有名な『ビルマの竪琴』という物語。私も大昔に読んだことがあって、素直に感動した…

夕遊
3年前
13

公文書、私文書、オーラルヒストリーからみる。『帝国軍人』戸高一成、大木毅

『独ソ戦』がベストセラーになった大木毅さん。ドイツ軍事史の専門家だと思っていたけど、若い…

夕遊
3年前
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圧倒的なインテリジェンスの差。『太平洋戦争日本語諜報戦』武田珂代子

サブタイトルは「言語官の活躍と試練」 太平洋戦争中、アメリカ側が日系アメリカ人の青年たちをどう使って、日本側の情報をつかんで戦争を有利に導いたかという話。日本軍の捕虜の供述や、押収した日記がかなりアメリカの作戦に役立ったというのは聞いたことがあったけど、ここまでまとめられるとすごいの一言。 一般的に、日本の軍隊から家族への手紙は検閲が厳しかった……みたいな話はよくドラマや映画に出てくる。でも、実はアメリカに比較するとかなりゆるかったらしい。あと、日本軍は兵士が日記書いてもO