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夕遊の本棚

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ひと仕事終わって、おいしい珈琲や紅茶を片手に読みたい本。仕事で読む本。とにかく、たくさん読みたい、楽しみたい私の本棚をご紹介します。
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#中国人

中国社会の暗部に挑む男たち。『検察官の遺言(長夜難明)』紫金陳(大久保洋子訳)

中国ドラマの名作『ロング・ナイト』(沈黙的真相)の原作。私は先にドラマを見ているので、ド…

夕遊
1か月前
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「14億分の10憶」のリアル『中国農村の現在』田原史起

読む前から、間違いなく田原先生の本なら面白いだろうなと期待させられる本。そして、実際隅か…

夕遊
7か月前
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ダサいけど無視できない。『戦狼中国の対日工作』安田峰俊

今から50年ほど前、当時国交のなかった中国と交渉するために訪中した田中角栄は、ホテルの部…

夕遊
11か月前
33

中国ドラマや小説を楽しむために。『古代中国の24時間 秦漢時代の衣食住から性愛まで…

出版直後からすごく話題でしたが、ようやく手に取ることができました。きっかけは、中国ドラマ…

夕遊
1年前
42

激変する社会と悩める若者たち『シン・中国人』斎藤淳子

日本では、世の中がすさまじく変わるという状況は、なかなか実感することができません。でも、…

夕遊
1年前
38

日本生まれの台湾人で、北京放送のアナウンサー。『陳真』野田正彰

私が初めて、NHK中国語講座をみたときに、穏やかな笑顔で発音を担当されていた陳真さん。て…

夕遊
1年前
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移民焼き畑国家、日本『「低度」外国人材』安田峰俊

安定の安田峰俊さんのノンフィクション。悪名高い「技能実習制度」で騙されて、日本に来てひどい目にあったベトナム人や中国人たちを取材したもの。普通、こういうテーマの本は社会問題を告発する重たいものになりそうですが、安田さん独特の筆致で、ユーモアを交えた語りがおもしろく読ませてくれます。 安田さんによれば、一般的な技能実習生をレポートした、「真面目で誠実なアジアの若者が、日本の悪辣な仲介業者に騙されて」という型にあてはまるパターンは少なく、騙される側にも知識不足や誤解・思い込みが

難民、遺民、抵抗者。 国と国の境界線に立つ人々『境界の民』安田峰俊

一気に読める、読ませる本です。著者の安田さんは、大昔のblogの時代から文章がうまかったです…

夕遊
1年前
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「天安門事件」から香港デモへ『八九六四』完全版、安田峰俊

ゴルバチョフのペレストロイカがあって、ベルリンの壁が崩れて、社会主義の国は多くが別の体制…

夕遊
2年前
25

映画のような物語。『碁を打つ女』シャンサ

舞台は、1937年の「満州」。中国東北部の厳しい寒さの中で、広場に集まって男たちが碁を打…

夕遊
2年前
18

日本人にだって難しい。『ポンフェイ博士の知れば知るほど「はてな?」のニッポン』彭…

ある年配の日本人を、空港に迎えに来たときの彭飛(ポンフェイ)さんのエピソード。 著者の当…

夕遊
3年前
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江戸時代から薄給・兼業だったとは!?『<通訳>たちの幕末維新』木村直樹

文句なくおもしろい1冊。長崎のオランダ通詞が、組織として歴史上名前が登場してくるのは16…

夕遊
4年前
22

中国との商売が牧歌的だった時代。『中国てなもんや商社』谷崎光

首の入らないTシャツ。プリント部分がくっついて、蛇腹のようになってしまったシャツの山。ジ…

夕遊
4年前
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怖すぎて、おもしろすぎる社会派ミステリー。『十面埋伏』張平(荒岡啓子訳)

タイトルの十面埋伏というのは、周囲に隙なく伏兵が潜んでいること。この小説の場合、警察組織と行政組織の複雑な関係の中で、誰が敵で味方かわからない状況がたまらなく怖いです。幽霊よりも、妖怪よりも、一番怖いのは人間。主人公とその仲間たちは、中国社会の闇をえぐるような刑務所と公安、そして政府機関にまたがる汚職をあばいていきます。つまり、実話ベース。 公安(警察)と刑務所に巣食う闇、それ自体も恐ろしいけれど、さらに怖いのは事件の詳細が明らかになるたびに闇が深まり、主人公たちへの圧力が