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北大の二外ロシア語

難易度:★★★
おすすめ度:★★★

ロシア語は北海道にとって馴染み深い言語でしょう。ロシア語を公用語とする国の一つであるロシア連邦は、北海道から一番近い外国でもあります。実際、道内にはロシア語表記のある道路案内標識も存在します。北海道大学に入学したならば、第二外国語にロシア語を選択しない理由はありません。

言語としてのロシア語は、実に複雑なことばです。まず、日本人にはあまり馴染みの無いキリル文字が用いられ、第二外国語の中では最多の6つの格を持ちます。また、定動詞・不定動詞とそこから派生するアスペクトの表現など、履修者を苦しめる要素は枚挙にいとまがありません。生半可な気持ちで履修すると痛い目を見ることになります。

しかし、努力をすれば必ず結果が返ってくる、とてもやりがいのある言語であるとも言えます。その方が都合の良い学生もいるでしょう。しかも、その努力の向こう側には、ドストエフスキー、チャイコフスキー、レフ・ランダウなど、ロシア語圏の文学、音楽、物理学が待っています。あなたも第二外国語に収まらないロシア語の世界に旅立ちませんか?


掲載情報について
この記事は 2022 年度の経験を基に書かれています. 最新の情報についてはシラバス等を参照してください.

学習内容

教科書には朝日出版社の『ロシア語をはじめよう』が用いられます。全 20 課で構成され、各課ごと学習する文法事項が簡潔にまとめられていて、次頁に練習問題と長文が付いています。前期は 9 課まで、後期は 17 課の前半までが統一試験の範囲でした。

前期

  • ロシア語キリル文字と発音

ロシア語ではキリル文字が用いられているため、キリル文字を覚えなくてはロシア語学習が始まりません。とにかく早くキリル文字を覚えましょう。

世界が拡がるキリル文字
キリル文字はロシア語だけで用いられている文字ではありません。ウクライナ語やタジク語、モンゴル語でも違いはあれどキリル文字が用いられています。ロシア語キリル文字を覚えてしまえば、これらの言語の学習にも道が開けますので、頑張って覚えましょう。一度覚えたら抜けることはそうありません。

  • 名詞の単数格変化

ロシア語の名詞はひとつひとつに性が与えられており、数・格によって語尾が変化します。

まず始めに、単数形と複数形の主格を学びます。他の格については、前期では単数形のみ扱われます。単数形の格変化は比較的単純なので身構える必要はありません。

また、それぞれの格ごとに、その格の名詞をとる前置詞を学びます。名詞の格によって意味の変わる前置詞もあります。

覚え方は簡単で、何度も暗唱するだけです。

  • 形容詞の性・数変化

形容詞は、それが修飾する名詞の性・数・格によって語尾が変化します。前期では主格の形容詞の性・数変化を学びます。語尾にアクセントがあるかで若干形が変わります。また、正書法の規則によって取る文字に制限があり、それによって形が変わることもあります。

変化は覚えるしかありません。とにかく覚えましょう。

  • 動詞の現在形、過去形、未来表現

動詞の現在形と過去形を学びます。現在形は人称・数によって語尾が変化しますが、過去形は性・数で語尾が変化します。また、不規則な変化もあるので注意してください。

ロシア語の未来表現は比較的簡単です。安心して覚えましょう。

後期

  • 定動詞と不定動詞

ロシア語の移動を表す動詞には、定動詞と不定動詞の区別があります。前者は「一回限りかつ具体的な一方向の移動」に重点を置いている動詞で、後者はいわばその補集合、つまり複数回にわたる移動または抽象的な移動または往復の移動を表す動詞です。単純に単語の数が 2 倍になるだけと考えれば覚えられますね。

ちなみに、移動を表す動詞は人称変化が規則とは若干違うことが多いです。後述のアスペクトにも関わる変化なので、怠らず覚えましょう。

  • 形容詞の格変化と短語尾形

前期では主格の形容詞の性・数変化を学びましたが、後期では主格以外の性・数・格変化を学習します。表を覚えるだけです。

また、形容詞は短語尾形を持ちます。副詞や述語として用いられ、語尾変化は性・数についてのみなので簡単です。ただし、たまに男性形とそれ以外の性で母音が出没することがあります。気をつけて覚えましょう。

  • 名詞の複数格変化

前期では名詞の単数形の格変化を学びましたが、次は複数形の格変化を覚えます。複数生格は性のみならず、その語の単数形の語尾によって複雑に変化します。ここは特に注意して覚えましょう。それ以外の格は素直に変化するので覚えましょう。

  • 動詞のアスペクト

動詞は完了体・不完了体で形が異なります。変化にはいくつかの種類がありますが、普遍的な規則はありません。これも単語の数が 2 倍になっただけと諦めて、セットで覚えましょう。

移動を表す動詞とアスペクト

移動を表す動詞について、定動詞と不定動詞にそれぞれ接頭辞を付けると、完了体と不完了体の組が作られます。この変化は二外ロシア語の天王山です。接頭辞によって付随する意味、後に続く前置詞とその格支配、動詞自体の活用に注意して覚えましょう。

  • 数詞と順序数詞

ロシア語の数詞はそれ自体を覚えただけでは終わりません。数詞は数によって、それが修飾する名詞の数・格が変わり、同時に個数詞自体も性・格で変化します。数詞の位取りが十進数なのは救いでしょう。

順序数詞は数詞とは形が異なり, 形容詞のような変化をします。安心して覚えましょう。ただし 3 の順序数詞の変化には注意です。

  • 形容詞と副詞の比較級・最上級

形容詞の比較級・最上級の作り方は比較的簡単です。ただし、よく使われる形容詞は不規則な変化をします。注意して覚えましょう。

単語尾の比較級・最上級は副詞や述語に用いられます。「何よりも」と「誰よりも」の違いに注意して、作り方を覚えましょう。

  • 仮定法

作り方は簡単ですが、仮定法によって付加される意味をしっかり理解しましょう。

授業形式

ロシア語の講義は前期後期とも座学です。クラスによって異なりますが、毎課、和訳・露訳などの小テストがあります。これは教科書からの抜粋であり、先に与えられたリストから出題されます。また、宿題が出されることもあります。内容はクラスによって異なります。

毎回の小テストや宿題に真剣に取り込むことで、段階的に単語や変化表などが習熟できます。逆に言えば、一度怠るとずるずると置いてかれてしまいます。最初にも述べましたが、努力をすれば必ず結果が返ってくるので、諦めずに頑張りましょう。

統一試験とは別の中間試験、期末試験などはありません。

統一試験

統一試験は各学期末に行われます。ロシア語の統一試験は、和文露訳、露文和訳、文法問題によって構成されます。和文露訳、露文和訳はそれぞれ10問あり、1問あたり2文程度で構成されます。また文法問題は、空欄補充形式の四択問題や、指示に従って語形変化をする問題などが30問程度続きます。殆どの問題は教科書から出題されるので、十分に対策してから挑みましょう。

ロシア語の統一試験では、リスニングや自由作文などはありません。

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