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ラムサール条約登録湿地をどう維持する?-中池見湿地のミニ田んぼサポーターに挑戦-

東京を離れて気づけば8ヶ月が経ちました。

「生きる力を身につける」が当初のテーマだった私の移住プロジェクト。しかし最近はPCに向かい「書くこと」が中心の生活になり、「生きる力... ?」と、近頃もやもやしてました。

そんな時に教えてもらったのが、中池見湿地の「ミニ田んぼサポーター事業」。5m四方の田んぼを、1年を通してお米が取れるまで作業をさせてもらえるということで、「自分でお米を育ててみたい!」という安直な気持ちで応募しました。

今回は、ミニ田んぼサポーターの初仕事の様子をお届けしたいと思います。

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張り切って、憧れのウェーダーも購入(笑)

中池見湿地に辿りつけない!?

存在は知っていたものの、実は初めて訪れる中池見湿地。

複雑な敦賀の道に右往左往しながら、グーグルマップを頼りに中池見湿地へ。しかし、「目的地に到着しました」のナビの声に思わず「ええ!?」と叫んでしまいまいした。

なぜなら、案内されたのは国道線のど真ん中だったから。湿地までワープしろというのか... 。

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ミニ田んぼサポーター事業を担当するNPO法人中池見ねっとさんに電話で道案内していただきなんとか駐車場に到着。

すでに遅刻の私に待ち受けていたのは、ながーい階段。途中ゴンドラのようなモノがありましたが動いてない様子。

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激しく息切れしながらも、なんとか到着。すでにミニ田んぼの説明は終わってしまい、スタッフさんが個別で対応してくださいました。(すみません)

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泥の田んぼで株踏み

予想外の連続で遅刻したものの、なんとか本日のメイン行事「株踏み」には参加できました。株踏みとは、昨年刈り取った稲の株を泥の中に踏み込む作業。重たい泥の中を歩くのは結構大変でした!

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参加者はお子さん連れのファミリーが多く、「おたまー!」「やべー!こけそう!」と、ワイワイと参加する子供たちとその親御さんを脇目に、一人参加の私は少し寂しく...。(人見知りなのでなかなか溶け込めず)スタッフの上野山さんが気にかけて声をかけてくださったので助かりました。笑

初日の作業は意外とあっさり終了。いきもの博士の藤野さんの案内でかなーりマニアックな生き物講座が自然と始まります。

この藤野さん、若者の社会貢献活動を顕彰する「未来をつくる若者・オブ・ザ・イヤー」を受賞したすごい研究者なのだそう。子供たちの「これ何ー?」の質問にものすごい知識量で返答していきます。「フィルバートケシカタビラアメンボ」など、聞いたこともない生き物の名前がたくさんでてきます。(下の写真は水カマキリを説明する藤野さんの図)

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中池見湿地には、3000種類を超える生物が生息するといいます。絶滅危惧種と言われる生き物も多く、2012年にはラムサール条約に登録された重要な湿地です。

上野山さん「ここは江戸時代に開墾されてできた田園地帯で、大阪ガスがLNG(液化天然ガス)基地計画の事業用地として取得した場所だったのです。しかし、計画が打ち切りとなった際に、大阪ガスが、ガス基地の一部に建設していた環境保全施設『中池見 人と自然のふれあいの里』の施設一式と、維持のための協力金を残してくださったんです」


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大阪ガスが託した協力金約4億2千万円を元に、上野山さんも所属するNPO法人中池見ねっとなどの、民間団体が維持活動を行っています。

上野山「自分の子供が幼い頃に、ここに連れてきたことがあったんです。それまで湿地に関心はなかったのですが、引っ込み思案で、私の手を握ったま離さないような息子が、湿地に着いた途端に一人で駆け出していって。その姿を見てこの場所がとっても大切な場所に感じて、NPOの活動に参加しました」

いきもの博士の藤野さんも、小学生の頃から中池見湿地に親しんでいるうちにここに研究で訪れる学者や研究者との交流を通じて独学で生き物の知識を学んだといいます。

上野山「ミニ田んぼサポーター事業は、単に米を作るだけでなく、昔ながらの米作りを通して中池見の豊かさを体験して、湿地への関心を深めていただく事業です。この場所は、人の心や成長、知識を育む上で非常に大切な場所ですが、近年は市からの補助金が削減されてしまったり、大阪ガスからの協力金も残り僅かとなり、継続的な維持管理が課題となっているんです」

私が途中で見たトロッコのようなものは、2020年3月まで運行していた「スロープカー」。維持管理費削減のために運行休止を余儀なくされてしまったそうだ。かつては園児や高齢者もこの場所を訪れていたが、スロープカーがなくなり、長い急坂を登って湿地へ訪れるのは困難となってしまった。

日本の原風景とも言える、穏やかな時間が流れる中池見湿地。「ミニ田んぼサポーター事業」への参加を通して知ったのは、「湿地の維持」という重要なテーマと、中池見湿地を愛する方々の想いでした。

最初の動機は「お米を作りたい」でしたが、これから米作りを通して、中池見湿地のことを知っていきたいと思います。

(個人的には、まずはgooglemapの案内なんとかしなきゃ!という気持ちです)

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