にしんずしの可能性を探る
こんにちは。敦賀市地域おこし協力隊の西山です。
突然ですが、敦賀の皆さん。
「にしんずし」を食べたことはありますか?
わたしは敦賀に来て知った食べ物だったのですが、敦賀の伝承料理なのだとか。身欠きニシンを大根や人参などの野菜と麹に漬け込んだ、不思議な匂いと味の料理です。
江戸時代中期から明治30年代、大阪と北海道を日本海周りで物の売り買いをしながら結んでいた商船群のことを「北前船」と言います。
敦賀も北前船の商売舞台となる寄港地の一つ。京都・大阪へは陸路、北海道へは海路と、陸路と海路の接続地として重要な港だったそうです。敦賀を通過点に京都や大阪へ北海道の昆布が渡ったために、昆布の加工が敦賀で栄たのだとか。
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そんな交通の要所「敦賀」の歴史に欠かせない北前船によって生み出された文化の一つが「にしんずし」。
敦賀や小浜では、おふくろの味として、各家庭に伝わるにしんずしの味があるのだそう。しかし、街の飲食店などでは見かけたことがありません。
そんなにしんずしに興味をもち、福井県嶺南振興局二洲農林部の方に、伝統的なにしんずし作りの講習会などをする方をご紹介いただき、お話を伺ってきました。
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今回お話を聞いたのは、生活改善実行グループの柴田さん。
柴田さん曰く、にしんずしとは、当時堅くて食べにくく、肥料にするしかないと言われていた北前船で運ばれるニシンを、なんとか食べられるようにと考えられた料理なのだそう。しかし、最近はにしんの価格が高騰し、ハレの日の食べ物として、9月の敦賀まつりや正月に食べられていると言う。
毎年生活改善実行グループにより、公民館で伝承料理のイベントが開催されており、今でも地元の人たちに人気のプログラムなのだそう。しかし、今年はコロナで公民館の使用ができず断念。特別に、個別講座を開催していただくことになりました!
参加メンバーは地域おこし協力隊のわたしと、ビューティーハウスイカリ(化粧品店・脱毛サロン)の碇さん、そして福井市のイベント制作会社に務める山本さんの三人。
異色な三人が集まりました。
とあるイベントで知り合った山本さん(敦賀出身)とわたしは、世代も近かかったこともあり飲みの席で意気投合。敦賀で何か小さなイベントをやろう!と盛り上がりました。その会話の中で出てきたキーワードが「にしんずし」。
一方、別コミュニティにて「にしんずし」を愛して止まない人がいるという噂を聞いていたわたしは、山本さんとの企てにその人を加えてみることにしました。
そのにしんずしを愛して止まない人と言うのが、ビューティーハウスイカリの碇さん。通称王子。
かつて食料品店に勤めていたという碇さんは、冬になるとにしんずしの材料がよく売れる光景を見ていたのだそう。食料品店で材料が売れるというのは、各家庭でにしんずしが漬けられていたと言う証拠。しかし近年は、そんな光景も少なくなり、にしんずしを知っている人も少なくなったりと、文化の消滅を危惧していたのだそうです。
一方のわたしは、この日初めてにしんずしを食べてみた”にしんずし初心者”。不思議な匂いにドキドキしましたが、美味しい。
柴田さんから、にしんずしができるまでの歴史や手間ひまを聞いていたこともあり、尚更美味しく感じました。
「にしんずしを敦賀の名物に」
これを目標に、三人でにしんずしの可能性を探っていきたいと思います。