今こそ日朝首脳会談を考える
Twitter(現X)を眺めていたら衝撃的な内容を韓国メディアが報じていた。『[속보] 김여정 "日 악습 털어버리면 총리 평양방문 날 올수도"』日本側が態度を改めれば、日本の総理が平壌に訪問する日が来るというような内容で、日朝首脳会談に向け、朝鮮高官が具体的な言及をしたと見ることもできる。
私はチョソンクラスタとしても、日本政局オタクとしても末席中の末席ではあるが、自身の備忘録がてら、この日朝首脳会談について、日本側の動きを中心に考えていきたい。
もしかして伏線?日本の動きを振り返る
思えば岸田政権における日本外交を振り返ると、時折日朝首脳会談に向けた伏線のようなものが見られた。それについて一個ずつ思い当たるものを紹介していきたい。
23年3月 ウクライナ電撃訪問
岸田首相は3月に訪問したインド訪問の帰り、電撃的にウクライナを訪問した。この訪問はかなり高度に気密化されており、メディアや近しい閣僚でさえも把握していなかったという。私の考えるに、この電撃訪問成功は、岸田官邸サイドにとってどのように動けば情報が外部に出ないかや、外国への電撃訪問のモデルケースとして採用できる余地があり、もしかしたら日朝首脳会談に向けてこの経験が生きる可能性はある。
https://www.nhk.or.jp/politics/articles/feature/97138.html
23年5月 拉致奪還の国民大集会での発言
「私自身、我が国自身が主体的に動き、トップ同士の関係を構築していくことが極めて重要であると考えている。(中略)日朝間の懸案を解決し、両者が共に新しい時代を切り開いていくという観点からの私の決意を、あらゆる機会を逃さず金正恩委員長に伝え続けるとともに、首脳会談を早期に実現すべく、私直轄のハイレベルで協議を行っていきたいと考えている」
当時は少し踏み込んだ発言だなあという程度で聞き流していたが、一方で「私直轄のハイレベルで協議」という表現に違和感を覚えた。もしかしたら例の"見舞い電"はこのハイレベルでやり取りがされたのかもしれない。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA26DMO0W3A520C2000000/
23年3-7月 相次ぐ日朝実務者接触報道
確認できる限り、3.5.6月に東南アジアで日朝実務者が接触したという報道がなされた。従来多用されていた北京ルートではなく、東南アジアルートということにも関心があるが、ベトナムやシンガポールでの米朝会談を考えれば、朝鮮の対西側外交の中心は東南アジアにあるのかもしれない。ちなみに日本の松野官房長官(当時)はこの事実を否定している。
https://search.yahoo.co.jp/amp/s/www.jiji.com/amp/article%3Fk%3D2023092900553%26g%3Dpol%26usqp%3Dmq331AQGsAEggAID
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM035XX0T00C23A7000000/
23年10月 中国大使交代
各界で有名だった垂秀夫大使が金杉賢治氏に交代した。金杉氏は外務省のいわゆる「チャイナスクール」出身者ではない大使であり、一部メディアに書かれていた日中関係改善の切り札として些か難しいように思える。しかし金杉氏といえば東南アジア系に強いことで定評があり、米朝首脳会談においても情報収集を担うなど、先述したように、朝鮮外交が東南アジア方面に軸足があるのであれば、少し匂う人事である。
https://www.sankei.com/article/20231024-4AFOCDCSIVM4DBPQFC25ORLIQI/
24年1月 見舞い電
金正恩氏が岸田首相を「閣下」と呼んで見舞い電を送ったことは記憶に新しい。私が注目したいのはこの見舞い電のルートである。大使館経由だという意見も散見されたが、官邸側がルート公表を避け続けるあたり、少なくとも大使館経由でない可能性が高い。先述の通り"ハイレベル"なルートなのだろうか。
https://www.asahi.com/sp/articles/ASS162QJBS16UHBI006.html
少しばかり野獣先輩新説シリーズ並みな感じもするが、こう並べてみると日朝首脳会談を期待するなという方が難しいくらいには匂うイベントが多い。場合によっては高位級会談とかはあり得るのではないだろうか。
日朝首脳会談、もしあるならば
本項では日朝首脳会談がある場合の動きについて考えたい。ターニングポイントとすれば2月・3月のサッカー日朝戦や4月頃の通常予算成立が一つのキーになると考えている。
まず2月には、サッカー朝鮮代表の日本訪問がある。朝鮮側から政府高官が随行して日本の実務担当者とつめの協議に入る可能性があるのではないか。そして3月には朝鮮もしくは第三国での日本側によるサッカー遠征がある。この時期に合わせて日本側から担当者を派遣し、2月の要件に対する返答などを含めた協議を行う可能性もある。
そして4月になると日本ではボチボチ通常国会予算が可決するタイミングになる。この後に訪朝して、その成果次第では解散選挙という形も十分にあり得るだろう。
次にどんな人が会談するだろうか。理想は両首脳きよる会談だが、日本側がトーンを下げた場合は上川陽子外相などの訪朝が考えられるだろう(まあオウムキラーだし…)。そうなると朝鮮側もあのおばちゃん外相なのかなぁ…。まあお互い鉄の女という感じだ(小並感)
そして問題は何を話し合うか、だろう。従来どおり、日本側は拉致問題を、朝鮮側は国交正常化などを述べるだろうから、そこの溝をどう回避して、もしくは埋めるかというところに会談の成果が掛かっている。日本側も下手にお土産を持って行くと国民世論の反発は避けられないし、そうなると選挙を考えていたとしたら不利になるだろうから、実際にところはそこまで踏み込んでめるかが焦点だろう。
以上を踏まえて今後の様子を注視していきたい。