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中国ビザ申請──竹のカーテンを越えて

 中国が沿岸に分厚い"竹のカーテン"を降ろして以来、中国渡航のハードルは依然として高いものになっている。特にネックなのは、やはり観光ビザの取得だろう。
 現在第三国を経由、いわゆるトランジットの過程において中国を利用する場合で、停留時間が144時間以内ならこれらのビザ利用は免除されているが(巷ではトランジットビザという表現があるが、別にそういうビザが発給されるわけではない)、訪問できる都市などに限りがあり、中国の複数省を移動したりする旅行など、自由度の高い中国旅行をするには観光ビザが必要なケースが非常に多い。

 今回はビザ取得について、実際にやってみた経験を元に少し書いていきたい。

ビザのオンライン申請

 現在中国ビザを申請する際に、従来あったようなビザセンター・領事館の訪問予約は不要だ。なので申請する際はビザセンターに直接行けばいいのだが、その前に申請表をオンラインで作成する必要がある。

 申請表の作り方はネットで検索すれば色々出てくるので基本的に困ることはないだろうが、一つ注意して欲しいことは、寝台列車での移動などを伴う旅行を検討する場合は、予め移動日はキャンセル可のホテルを仮で抑えておくことだ。というのも中国では寝台列車等の予約は2週間前から受付を開始するので、それを手配してからビザを申請すると少しタイトなスケジュールになる。余裕を持って申請するとなると申請日までに、恐らく寝台列車の手配が不可能なので、仮押さえのホテルが必要だ。
 またもし友人がホテル等を手配してくれた場合も、キャンセル可のホテルを仮押さえしておくことを強くお勧めしたい。中国ビザ申請の際、向こうが求めるのは「申請者本人名義で予約されているホテル」なので、友人名義の場合は申請時に指摘されてしまうからだ。ただこれについては、その友人が中国人の場合、友人から招聘状を出してもらえれば解決する。

 また申請時に注意したいのが証明写真だ。独特の規格なので、自分で撮影してその規格に合わせたサイズにプリンターなどで印刷するのが早いし安上がりだろう。この辺りのことも調べれば多く出てくるので参考にされたい。
 また申請当日使う写真は2枚なので、ある程度印刷して持っていくことをお勧めする。あとちゃんとメガネは外して撮影した方が良い(自分はこのせいでビザセンターで撮り直したので。ちなみにビザセンターの証明写真機は長蛇の列なので本当にロスタイムになります)。

有明ビザセンターでの手続き

 恐らくこのnoteを読んでいる方の多くが知りたいのがこの章だろう。今回は筆者が使った有明ビザセンターのケースを紹介したい。
 ビザセンターは現在9-17時で営業しており、先述の通り予約は不要になっている。ビザ申請に係る必要書類を整えてから直接現地に向かうことになるが、もしコンビニ等で印刷がある場合、新橋からゆりかもめで行くのであれば、ゆりかもめ新橋駅にあるファミリーマートを使うことをお勧めする。
 ビザセンターの建物にもコンビニはあるが、棟が違う関係で少し離れており、またビザ申請者が不備を指摘された書類を印刷するために混雑していることも多いので、受付のことを考えるとなるべくビザセンターのコンビニを使うことは避けたい。
 ビザセンターに着いたらまずは申請の受付に並ぶことになる。この申請カウンターで書類を一通りチェックし、問題がなければ順番待ちの番号札を渡されることになる。

 そしてこのチェックされているタイミングで銀聯のロゴがついているカードを提示すると、銀聯有線レーンの待合番号が交付される。様々なケースを見ていると、恐らく中国本土の銀聯はもちろん、香港や日本発行(ANA.三井住友など)のものも対応しているので、とにかく銀聯ロゴさえ付いていれば問題ないと思われる(なお決済時に銀聯カードを使う必要はない)。

 なお銀聯カードによる優遇措置は、現状有明のみの対応であることに注意したい。少なくとも聞く限りでは、他のビザセンターや領事館ではそのような対応はないと承知している。


 待ち時間は銀聯カード利用の場合で(自分のケースでは)30分程度だった。偶然ビザセンターで顔を合わせたフォロワーは2.5時間経っても呼ばれていなかったので、銀聯の有無はかなり大きな差となっている。

 待合の時間、天井部から下がっているモニターは次々に番号を呼び出すし、音声案内はないのでかなりちゃんとチェックしていなければならない。ただ受付番号は「英字+数字」の組み合わせで、この英字の横の番号が整理番号なので、自分と同じ英字で、その横にある数字が自身の数字に近くなってきたら注目すれば大丈夫だろう。

 申請自体はあっという間に終わる。特段問題なければ恐らく5分ほどで終わり、終わる時に支払いの順番待ち番号札を交付される。支払い待ちに銀聯パワーは効かないが、これ自体は5-10分程度で呼ばれる。
 支払いは銀聯カードの提示有無にかかわらず、現金・VISA・銀聯いずれかの手段で支払い可能。なので銀聯提示だけして、支払いは現金やらVISAでも問題はない。

 現時点だと一般申請なら概ね1週間で受け取りとなる。もし宿を仮予約してたりすれば、受け取り後にキャンセルすることをお勧めする(例えば寝台列車取れなかった時はその宿に泊まればいいので)。

竹のカーテンを超えて

 中国ビザ申請の主だった流れは以上で、パスポートに無事観光ビザの紙が貼られれば、晴れて中国渡航が可能になる。
 しかしコロナ禍を経て、竹のカーテンが下された中国の旅行にはそれで多くのハードルが伴う。決済手段のデジタル化に徹底した監視社会の余波は観光客にも様々な負担となっていることは否めない。
 もはや近くて遠い国になりつつある中国。それでも依然としてその竹のカーテンを越えてまで見たい多くの魅力がそこにはあるのだ。

告知

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