今買える中国SF、華文ミステリー⑤
華文ミステリーでは、まず陳浩基『13・67』(文藝春秋)を挙げないわけには行きません。2017年に大ヒットを記録しました。
文藝春秋はこの年、「陳浩基『13・67』の魅力とは」というムックを発売しています。
更に翌年には、「華文ミステリーvs.日本ミステリー アジア発、ミステリーの新潮流」というムックも発売しました。
力の入れようがわかるというものです。
しかし、陳浩基が日本に紹介されたのは、2012年の陳浩基『世界を売った男』(文藝春秋) が最初です。
つまり、評価を得るまでに5年ほどもかかっています。その間、《現代華文推理系列》で「見えないX」が翻訳されたりもしていますが、なかなか紹介は進みませんでした。
台湾では、ミステリーばかりでなく、SFやホラーなども手掛ける多彩な作家として知られています。
そういう意味では、自選短編集である陳浩基『ディオゲネス変奏曲』(早川書房)が、全貌を知るには現時点では最適かもしれません。