『死にたくなったら電話して』を読んで
時々強烈に破滅願望が沸き上がる
死ぬまで食い続けないといけないから色々我慢してまともに働いて
欲求を抑えて貯金したり、食い扶持としての組織に属し続けるために
自分の感情を抑えたり
そういう未来を見据えての、今この瞬間に存在している私の実存を押し殺す立ち回り
そういうスタンスをぶっ壊したくなることがある
だから破滅的な物語に強烈に惹かれる
李龍徳さんの『死にたくなったら電話して』も破滅的な物語
ただし破滅的で退廃的な、耽美性を含んだ心地よさにおさまらない物語
正直、感動ポルノならぬ退廃ポルノ?的な体験を求めて読み始め、期待通りの心地よさを感じながら読み進めたけど読了後は意外な感覚に着地した
この小説は『絶望的』『救いがない』といった謳い文句で語られてるけど、そう単純なものではないなと思う
最近の日本では厭世主義や反出生主義がマイノリティから地味にマジョリティに侵食し始めてる気がして、それが現代日本のヤバさだと思うんだけど
人間であることに絶望する人はもう『病んでしまった』扱いじゃなくて当然のように発生するよね、じゃあそれは大前提として僕らこの先どうしようか?という問いがベースに潜んでる気がして、そうじゃないかもしれないけどいずれにせよ僕ら考えていかないといけないよね、と感じた読書体験でした。