生成AIを使った映像作りと日々の所感
前回の記事から少し時間が経ちました。その間にFlux.1の登場や、音楽・効果音生成ツールのLoudMe、Gen-3のExtend機能、DreamMachine 1.5など、日々新しい話題がいくつも登場しています。
やったこと
インタビュー動画
ふつふつバンバン
いくつか作ってみて、今回も前回と同様の制作過程を記事にまとめようと思っていたのですが、実際のところ「大量に生成する→いい感じにつなげる」だけの作業に過ぎないので、それ以上書くことがないと感じ、記事にするのはやめました。
やってみてどうだった?
生成AIを使って映像を何度も作る中で、数ヶ月前には不可能だったことが今では(ある程度)実現可能になっていることに改めて感銘を受けました。
しかし、現状では大量の素材をただ繋ぎ合わせる作業に過ぎず、メッセージ性のない非連続的な夢のような映像や、ハルシネーションを逆手に取った不思議な短編映像が、今の生成AIらしさを活かしたひとつの解答なのかもしれません。
綺麗な映像は、今では一日練習すれば誰でも生成できるようになりました。
ただ商業映像のクオリティが高いのは映像が高品質なだけではなく、特定の演者や一貫したモチーフ、ストーリーを通じてクライアントのメッセージを伝達するためのディレクションが行われているからで、そのようなコストは依然として人間に依存しています。
文脈を持たせようとすれば途端に工数が跳ね上がるので、そういったことに当分チャレンジはしないと思います。
現時点では専門外の自分にとって、生成AIを遊び感覚で使いながら、ゆっくりとポイントをキャッチアップしていくのが良いのかなと感じています。
どう向き合う?
生成AIらしさってなんだろう?と考えはじめるとキリがなくなってきたので、先に生成AIに対する考えみたいなものをまとめました。
自動外観検査やRAGなど、製造業や物流の課題を解消する可能性がある 実際に稼働してる事例も多い 超大事
生成AIもPhotoshop等と同じ道具であって、ひとつの選択肢
クオリティのハードルだけが上がるのではなく、クリエイティブ職を1秒でも早く家に帰せる有意義な道具になってほしい
文脈やストーリーには価値があるが、手段(AI)自体に価値はないので、使わない方が価値が出る場合は無理に使わん方がよい
人を代替する生成AIと、人を補助する生成AIとは分けて考えたい
人手不足を解消したり、現場作業の安全性向上に活用できる技術として大変価値があると思います。
クリエイティブ分野での価値については、正直わかりません。毒にも薬にもなるので推進することに反対でも賛成でもないです。
ハルシネーションが好き
生成AIで動画や画像を作ると、現実世界に描画バグが発生したようなものや、自然界の計算処理が間に合わず暴走したような描写がよく出てきますが、こうした表現に自分はすごくワクワクします。
Lo-fiやGlitchノイズのような意図的に不完全さを取り入れる表現は生成AI以前から存在するアプローチですが、ハルシネーションには人の現実認識も捻じ曲げるような強力さがあります。
こういった手法は独自の美学を生み出し、作家性や創作ジャンルの一部として強く根付くこともあります。
リンクを辿っていくと面白いものが色々見られました。
一般的には綺麗で破綻のないものが正解なのですが、生成AIを使ってクオリティを意図的に崩すことで新たな視点や感覚を引き出す手法は非常に興味深いです。
技術が進化しても「不完全さ」や「意図的なズレ」を追求するアーティストが増えているのは、現代のクリエイティブなトレンドを象徴しているようにも感じられます。
ワークフロー図
制作を進める中で徐々に作業の流れが整理されてきたので、現時点のワークフローを図にまとめました。赤い部分が人間の作業で、黒い部分は生成AIによる作業です。
次回以降にしたいこと
Runway Unlimitedで制限がなくなり色々なお試し生成が可能になったので、次回以降は制作に役立ちそうな細かい情報を共有できればと考えてます。
お疲れ様でした。