5月18日3回生ゼミCA「日本でもジョブ型人事制度を導入すべきか」
記事と前提質問
記事
現在の日本の雇用制度は現在メンバーシップ制度である。メンバーシップ制度は職務等を明確にしない雇用の在り方を指し、職務や勤務地などを限定せずに雇用契約を結ぶ雇用システムである。それに対して、ジョブ型雇用は企業が人材を採用する際に従業員に対して職務内容を明確に定義して雇用契約を結び、労働時間ではなく職務や役割で評価する雇用システムである。
欧州においてジョブ型雇用は主流であり、業務の効率化や生産性の向上などが見込まれるという。グローバル化の影響やIT技術の革新につれて、日本においても専門性の高い人材を獲得していくことが必要であるとの声が上がっている。
近年では日本のメンバーシップ制度の問題点が浮き彫りになっている。日本のメンバーシップ制度は、新卒の一括採用、そして年功序列に基づいた昇進、終身雇用といった形態をとっており、その非効率性と負担の多さが問題視されている。さらに、専門職が不足したり、会社の都合によって転勤の命令が下されたりといった問題点もある。
立論者はジョブ型制度の導入に反対の立場をとり、他のゼミ生は賛成の立場から立論する。
前提質問
意見・論点
①ノースキルの学生が働き先を見つけることができる。
→日本の教育制度は専門性を高めるものではない。メンバーシップ制度は学生の人柄や、やる気を評価するため、多くの学生にチャンスが生まれる。
②成熟した日本の制度を変えることは困難である。
→日本は他国と比べて社会が成熟しきっている。メンバーシップ制度に基づいた社会制度
(例えば年金制度など)されている以上、それらを変えることは容易ではない。
③文系と理系の非対称性をうむ。
→ジョブ型採用制度は理系を中心とした採用制度である。文系と理系を受験において分ける日本において、ジョブ型制度は馴染まない。
予想される反論・再反論
①メンバーシップ制度そのものが形骸化している。
→学生は新卒一括採用の際に自己分析やインターン等、能動的に活動を行う。そういったアプローチは多様であり、学生の自主性を養うのではないか。
②専門性が低い学生が集まると、効率性やモチベーションの観点から問題がある
→メンバーシップ制度には「同期」という概念がある。同期入社は連帯感を生み、競争相手にもなるため、有効である。
先生からのコメント
この時期において、日本の現状は論点となっているため、いい討論である。ジョブ型において、付いて行けるエリートたちは社会を引っ張っていく一方、メンバーシップ制度はエリートに付いていけない人を守る制度。そして、メンバーシップの社会面についての考えが少ない。メンバーシップ制度は、制度の悪いではなく、流れの問題であり、日本社会は無責任・先送りの体制を改善すべきである。また、メンバーシップ制度は女性活躍が進まない一因となっており、導入してもしなくてもにしても女性を排除してはいけない。女性活躍によって、家計におけるお金を増やせる。そのために、現行のメンバーシップ制度を改善しなければいけない。
参考文献
濱口 桂一郎氏 『メンバーシップ型・ジョブ型の「次」の模索が始まっている』
URL: https://www.works-i.com/column/policy/detail017.html
特集 進化するデジタル経済とその先にあるSociety5.0 URL:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r01/html/nd123510.html
三井住友銀行 ジョブ型雇用とは?従来の雇用との違いやメリット・デメリットを紹介
URL: https://www.smbc.co.jp/hojin/magazine/personnel/about-job-based-employment.html
ジョブ型雇用とは?メンバーシップ型との違いとデメリット・メリット
URL:https://www.persol-group.co.jp/service/business/article/405/
最終閲覧全て:2023年5月18日