長月輝伝の配信開始によせて
昨今の中国ドラマ上陸速度短縮の波に反して、一向に上陸の話題が聞こえないまま1年と5か月、唐突にU-NEXTでの配信が始まった長月輝伝(原題: 长月烬明)という推しドラマについて、未視聴の方に向けたもの書こうと思います。
最初にこのドラマについてわたしから伝えたいことをまとめると、
・最初から最後までマジでつらい
・決して万人受けしないがうっかり刺さった時の傷が深い
・画が強い
・大きく3つの時間軸があるうえに話がややこしい
・サブキャラの話が話数短縮で削られている
・最初から最後までマジでつらい
こんな感じです。
あらかじめひとつ断っておくと、このドラマは落ちるナイフのような尋常でない虐展開が最初から最後までひたすら続くので、端的に言って見る人を選びます。彼らが直面する絶望的な出来事の数々に辟易し、好ましくないと思う人もきっと多いことでしょう。でもこの物語を乗り越えた100人のうちの何人かにでも好き、刺さったと言ってもらえたら、わたしが勝手に喜びます。
沼の中で感想をお待ちしています。
長月輝伝(長月燼明)とは
1万年前に倒した魔神が復活して世界を滅ぼす未来を変えるため、転機となる500年前に送り込まれたひとりの仙女が魔神の器となる存在を殺しにいくけれど、ただ殺すと即魔神になって世界が終わるので、その前にいくつかこなすべきミッションがあって、、というお話です。
なるほど殺す対象を好きになっちゃうやつね! というのは間違いないのですが、今回の仙女=女主は世界を最優先にすることを忘れず、当初は一部の負の感情以外を持っていなかった魔神の器=男主はどんどんスケールの大きい愛を学んで視聴者を切り刻んでいきます。
また転生(悪女)ファンタジーもよくある展開ですが、今回は仏教的な概念を取り入れた世界観設計を採用しており、時が輪のように「循環」している点は新鮮な要素かと思います。
毎年星の数ほど制作される中国ドラマの中でもトップクラスの莫大な制作費がかかっており、これはVFXのとんでもなさからも一目瞭然かと思います。最近の古装に欠かせない例の場所(↓)は、このドラマの撮影時に新しく建てられたセットです。
特記事項としては中国ドラマとしても尋常でない頻度で吐血します。
主演の方々
・魔神の器=澹台燼(羅雲熙)
産まれたときから疎まれ、敵国に人質として送られ、いずれ魔神になることを運命付けられた感情のない王子様。
本当に器用な中の方、成長するキャラクター·澹台燼はもちろん、我らが戦神·冥夜、3パターンある魔神姿と見た目も演技も全部違うので、彼のお芝居を見るためだけでも価値のあるドラマだと思います。
特に、こんなの人間を、世界を憎まざるを得ないでしょう?となる温かみのかけらもない酷い仕打ちを繰り返し受けるやせっぽっちのレオ様の儚さを、とくとご覧あれ〜!
・仙女=黎蘇蘇(白鹿)
人類滅亡の危機に500年後から葉夕霧という澹台燼の妻(悪女)に乗り移った賢く美しい仙女。
色々な立場で真っ黒な大きい目に涙を浮かべる白鹿がたくさん見れます。
有言実行の女·黎蘇蘇のがんばりなくしてこのドラマは成り立たないので、どうか信じてあげてください。
一方で善良なお姫様·桑酒が魔女となるまでの1万年前の物語がどうしようもなく切なくてわたしは好きです。
みんなの初恋·陳都霊、長相思でお馴染み·鄧為、そのほかコロナ禍に横店に缶詰だった組のみなさんを中心に、大勢のキャストが出演しています。
世界観
神仙-魔-人が入り混じる世界で、とにかくややこしいのですが大きく3つの時間が出てきます。
①現在
黎蘇蘇が元いた時代、新しい魔神が世界を混沌に戻そうとする
②500年前
澹台燼が産まれた時代、ここが世界滅亡のターニングポイント
③1万年前
初代魔神を殺した上古の神々の時代、妖蛟の夢で追体験
要は新しい魔神によって①の世界が終わりそうになると、1万年前の神様たちが先を見越して用意していた保険が発動して黎蘇蘇の魂を②にいる葉夕霧の中に飛ばすことで時の流れを輪のようにねじ曲げ、滅亡を回避することが繰り返されている、という背景があります。
この無限ループを打破するのが今回の周回になるので、過程の苦しみとその先を見届けてあげてください。
この段落はフーンと読みとばしてください。
③は般若浮生という時空における追体験(ロールプレイ)なので、見た目が便宜上②の人々になっているだけで実際の見た目とは異なます。そして中に入れられただけで未来人の前世ではありません。またあくまで追体験なので未来人は観測しかできず、過去に起こったことを変えることはできませんが、追体験終了後の入魔するかしないかだけは冥夜ではなく澹台燼の選択です。なお追体験ながら時空は繋がっており、1万年前時点の神々は追体験している未来人の存在をほんのり感じ取る事ができます。
ややこしいですね( ͡° ͜ʖ ͡°)フーン
ちなみに原作は転生しますが、ドラマでは転生が(正攻法では)許容されていない物語だとわたしは思っています。
(ただし仙や魔が魂だけ人間界で修行することはある)
全体的に本当にややこしいのですが、《与凤行》や幻の《皓衣行》などの世界観設定を担当する花田概念芸術という会社の仕事で、よくよく見ると裏設定が読み取れる仕組みが散りばめられているので、何度も見ていただきたい部分です。
視聴時の注意
1話60分近くが40話あるという長いドラマですが、配信前に放送規定の変更があり、撮られたもののカットされたエピソードは少なくありません。
明らかに合わない台詞と口元や物語の展開から察することのできる製作陣の涙ぐましい努力のお陰で、主cpの物語は概ね保たれています。
しかしながらサブキャラの一部は尻切れトンボの結末になっており、納得のいかない気持ちになる方が続出することでしょう。
という訳で、特に鄧為(邓为)を目当てに見る方は事前にお覚悟願います。
最後に
口を酸っぱくして言いますが、いまのところ見るハードルも高い上に本当にしんどい展開の連続なので全員にはお勧めしません。
けれども、一部の人にはきっととんでもなく深く刺さって、しっかり何度も見る価値のあるドラマだと思っています。
この作品が、縁あるどなたかの心に届くことを願っています。
存分に楽しんで/苦しんでいただけますように。
配信先(U-NEXT)
「長月輝伝~愛と救世の輪廻~」をU-NEXTで視聴
ところでわたしこのサムネ↑が受け入れ難くて
(すみません上陸してくれただけでありがたいしうれしいです だまります)
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