そのままでいいんだよ
1.羽田トンネルでの体験
タクシーでお客を羽田空港で下した後、ちょうど羽田空港のトンネルを通過中のことだった
昼間に都内から羽田空港に行けば7,8千円の仕事になり、だいたいが帰りは鼻歌まじりの上機嫌になるのも珍しくない
そんなハッピーな気分がそうさせたのか?
トンネル通過の運転中、ふいに『そのままでいいんだよ』という声がまるでテレパシーのように胸の奥の方から聞こえてきた
というより、突然、なんの前触れのなく、それはやってきたのだ!
気づけば激しく体が反応して胸の奥がかっと熱くなり激しく嗚咽して涙がとめどなく流れていた
反対に『んっ、何でだ?』と驚いているもう一人の冷静な自分
しばらく泣いてはあとからしくしくと子供のようにしゃくり上げている
でもなんか気分がいい
泣きながら心の奥のわだかまりやこだわりや痛みや苦しみなどネガティブなものがサッと洗い流され
心に爽やかな風が吹いているようなさっぱりした感じが残った
2.クリシュナムルティの言葉
それから何年たっただろうか
「クリシュナムルティ解読」(那智タケシ著)という本に出会い、その中の一節に強く惹かれた
「あるがまま」以外の「何者かになる」「何者かになりたい」という欲求こそが、心に矛盾、分離、葛藤を生み、人を苦しませ、不幸にしている
「あるがまま」という言葉が特にこの時、強く心に響いた
この一節に出会うためにこの本を選んだと思うくらいだ
自我は他と比較しては、良し悪しを決めつけ、自分の向上心がいつしか他人より抜きん出たいという欲求に変質する
それがやがて人に認められたい、成功したいという欲望に変わり、世間の価値観の中であくせくしている自分になってしまっていたのだ
クリシュナムルティは「あるがまま」とは世間の仕事や成功には関係なく、自分が生来持っている才能に気づき、それを活かすことだという
自分には何ができるかということか?
「与えることと、受け取ることは真実においては一つです
与えたものしか、受け取ることはできない」
(奇跡のコース)