広島お好み焼「さっちゃん」系列まとめ
広島市西区庚午の人気お好み焼店「さっちゃん」が閉店した。
2019年11月、店主の山根小智子さんが鉄板前で倒れ、そのまま亡くなってしまったのだ。
手伝われていた娘さんは店を継がれなかったようだ。
「さっちゃん」の特徴は次のとおり。
▶ 焼き方は広島スタンダードスタイル
▶ 蒸し麺を使い、昆布ダシを加えてほぐし、下味をつける
▶ 仕上がりの形はやや厚みがある(見出し画像のとおり)
▶ オタフク辛口ソースを使う
▶ 仕上げにに無料で青ネギ(「さっちゃん」では観音ネギ)をかけてくれる
創業は1981(S56)年3月。
豪快だけれど愛嬌のある女性で、広島に多い、典型的な「お好み焼のおばちゃん」だった。
最初は自宅で始められ、移転されるまでに少しブランクがあったようだが、38年間という長い間、おいしいお好み焼を提供してくださり感謝しかない。
ご冥福をお祈りする。
本店格の店は閉店したが、そこから派生した店は残っている。
「さっちゃん」ロスの人たちのために、僕が把握している範囲で、系列店をまとめる。
広島市西区草津南「ぐん」
ご夫婦で切り盛りしておられ、高校生の頃から「さっちゃん」のお好み焼を食べていたと言われ、材料もほぼ同じものを使われているため、味としてはかなり近い。
ご店主曰く「どうやっても同じ味にはなりません」とのことだが、鉄板も違うし、お好み焼は同じ鉄板で焼いても、焼き手が変われば味が変わる料理なので、それは仕方がないだろう。
「さっちゃん」の思い出をたくさん話してくださった。
オプションに特徴があり、牛切り出し(しょぶり肉)、肉味噌、エビ天があった。
広島市内でエビ天がある店は珍しいと思ったら、三次市出身の客からのリクエストとのこと。
僕は肉味噌を試したが、麺にたっぷり絡めてくれるので、肉感たっぷりの一枚になった。
広島市東区東蟹屋町「辰」
こちらもご夫婦で切り盛りしておられ、しっかりと時間をかけ、とても丁寧に焼いてくれる。
麺を油で揚げたようなパリパリではなく、香ばしい煎餅のようにパリッと焼いてあり、その旨さは「さっちゃん」の進化系と呼ぶに相応しい。
モヤシの芽髭が除いてあり、ここまでやるのは広島県内にも数店しかない。
ただし、調理時間だけで30分くらいかかるので、時間に余裕がある時に訪れるのが望ましい。
卓上にマヨネーズだけでなく、辛味ペースト、芥子マヨネーズが置いてあり、食後には珈琲を出してくれる。
こちらの店主も若い頃から通っていたようで、2年間修業したと言われた。
「暖簾分けしてもらっていないので...」と恐縮されていたが、ルーツとなる店が閉店した今では、伝統を引き継ぐ店があるというのは公開されるべき情報と僕は考えた。
広島市西区井口「かっちゃん井口本店」
初代の久保田勝代さんが「さっちゃん」で修業されており、自分の名前から「かっちゃん」と名付けた。
息子さんが広島市佐伯区皆賀に支店を出されていたが、現在そちらは閉店し、本店で二代目に就いている。
総じて水分が多く、ジューシーな仕上がり。
そのため麺と野菜に一体感がある。
広島市西区庚午「かっちゃん庚午店」(2021/6/1閉店)
夫婦で切り盛りされており、男性が「かっちゃん」で修業し、暖簾分けを許されたようだ。
メニュー構成や味わいも井口本店に近く、ジューシーな仕上がり。
その他にも修業した店があると思われるので、情報を得たら追記する。
「ぐん」の大将曰く「宮崎県と首都圏にも修業した店があるはず」とのこと。
宮崎県の店は宮崎市にある「広島焼しんちゃん」である可能性が高いと考えられるが、首都圏の店は特定できなかった。
まだまだ僕の知らないことがたくさんあると思うので、「さっちゃん」系列店などの関連情報をご存知の方はぜひ情報提供してほしい。
「さっちゃん」という店のミームを記録しておきたいのだ。
2021/6/6追記
中国新聞社「炎の鉄板2」の「かっちゃん井口本店」の記事、あつあつウラ話に以下の記述があった。
調べると宮崎県宮崎市清武町「かっちゃん」、長崎県大村市「かっちゃん」が見つかった。
宮崎市ではこれで2店目だ。
中華人民共和国大連市の「かっちゃん」も健在のようだ。
こうやって「さっちゃん」のお好み焼が広まっているのは一ファンとしてとても嬉しい。
2021/6/8追記
大変残念だが「かっちゃん庚午店」は閉店してしまった。
2022/1/25追記
ついに首都圏のさっちゃん系が見つかった。
TwitterのDMで教えていただいたのだ。
神奈川県茅ヶ崎にある「杏庵」という店で、情報提供者さんによると「さっちゃんも、お弟子さんだと仰ってました。」とのこと。
いやー、嬉しい!
かっちゃんのミームを伝える店が他にもあれば、書き加えるのでぜひ教えてほしい!