スーパーマーケットなどで買った揚げ物をもっともおいしく温める方法
揚げ物が好きだ。
いい加減、揚げ物の呪縛から離れ、煮魚が好きなどと言ってみたいが、普段から揚げ物を好んで食べている。
しかし、家で揚げ物をするかというと、客が来た時しかやらない。
理由は面倒くさいからだ。
自分一人なら買ってきた揚げ物を温め直して食べればいい。
僕のような考えの人は多いはずだ。
家族がいても台所が汚れるから揚げ物をしないという人も多い。
その時、もっとも大切なのはどうやって揚げ物を温め直すかだ。
電子レンジなんかで温め直したら衣がふにゃふにゃになる。
オーブンの高熱だと表面が焦げても、中まで温まらないことがある。
そこで僕が編み出した、簡単で失敗が少ない温め方をお伝えする。
まず、揚げ物の購入先だが、なるべく専門店が望ましい。
高カロリーの揚げ物を食べるなら、おいしいほうがいいではないか。
僕は広島市域くらいしか知らないが、スーパーマーケットの揚げ物においしいものはほとんどない。
野菜のかき揚げを稀に買うけれど、基本的にうま味調味料などの味付けが強く、揚げ油の質が悪く、素材の味が感じられない。
芋コロッケなのにジャガイモの風味が感じられないのだ。
また、あらかじめカットされたものはNGだ。
とんかつに多いが、衣部分が分厚いのではなく、肉の部分が分厚いのですよと伝えたいので、カットして断面を見せている。
見せ方としては誠実と思うが、温め直す前提だと断面から乾いてしまってパサパサになる。
温めずに食べたい人向け商品なのだろう。
今回はとんかつ専門店「さぼてん」のロースかつを買ってきた。
これ以外にも、セルフうどんの店で天ぷらを買って帰るという手もある。
弁当専門店で単品購入するのもアリだ。
当たり前だが、元々おいしい揚げ物でなければ、どんなに上手に温めてもおいしくならない。
多くの店ではこのような容器に入れてくれるはずだ。
油が染み出ないようにという配慮だが、このまま放置すると蒸れて衣がベシャベシャになる。
そのため、帰宅したらすぐに蓋を開けて蒸れないようにする。
この時、下になっている部分が特に蒸れやすく、重力で余分な油や水分が集まっていることが多い。
それらを早めにケアしないと衣がズルリと剥げるという大惨事が起こる。
余分な油と水分を取り除くため、キッチンペーパーで包むのだ。
下になって湿った部分に多くの紙が集まるように巻くのがコツ。
ここまでの作業は帰宅したらなるべく早めに行うこと。
揚げ物の状態によっては、30分も置くとキッチンペーパーが油で染まってしまうことがある。
その際は再び新しい紙で巻いてやる。
2-3時間置いても油染みがまだらな状態であれば問題ない。
なお、放置する際は絶対に蓋をしないこと。
熱を持っている場合は特に蒸れるので、開放状態で放置してほしい。
ここまでやって、完全に冷めていればそのままラップフィルムで包んで冷蔵庫で保存することができる。
翌日でもそこそこおいしい揚げ物が食べられるのだ。
なお、冷蔵庫から出してすぐではなく、常温に戻してから温めることを忘れないように。
今回のとんかつは、紙を変えなくても大丈夫だった。
紙の油染みに白い部分が残っているということは、これ以上油が出てこないということ。
これが完全に染まっていたら変えたほうがいい。
こうすることにより多少なりとも油の総量を減らすことができる。
そのまま食べるよりもおいしくなるし、いくらかヘルシーになる。
大した手間ではないので、揚げ物を購入したら、すぐキッチンペーパーで包むことを忘れないように。
そして肝心の再加熱だが、コンロに付属している魚焼きグリルを使う。
火加減はもっとも小さい火にするのがおすすめ。
それほどたくさんの魚焼きグリルを使った経験がないのだが、強火は向いていない。
できるだけ弱火で加熱したほうがいい。
ウチにあるのは水不要タイプの魚焼きグリルなので、受皿の上にクッキングシートを敷いて使っている。
こうすると油や衣が落ちてもクッキングシートごと捨てることができるからだ。
落ちた油や衣をそのままにしておくと、次に使用した際、料理に酸化した油の匂いがついてしまうので要注意。
しばらくすると、上火の場合、揚げ物の裏側の部分に油が集まる。
そのままポタリ、ポタリと油が落ちたりする。
それは全く問題なくて、余分な油が抜けているので喜べばいい。
この魚焼きグリルは上火で、片側からしか加熱されないので、しばらくするとひっくり返す必要がある。
かなり焦げやすいのでつきっきりで様子をみながら、頻繁にひっくり返すことを勧める。
程よく再加熱されたのが写真のとんかつだ。
少し焦げがあるけれど、こういう粗いパン粉は再加熱すると、どうしてもこうなる。
もっと細かいパン粉が使われていれば、焦げは少なくなる。
天ぷらでも花が咲いたような衣は焦げやすい。
気になるようなら焦げの部分をこそげ落としてもいいだろう。
しっかり油が抜けていれば、皿に油が残らない。
揚げたてに比べ、油をしっかり抜いていることもあり、おいしさの質は異なる。
それでも内側まで温かく、衣はさっくり、パリッとして油っぽくない。
自分で揚げない、買ってきて再加熱した揚げ物としては上々のおいしさだ。
おいしい揚げ物を食べたいが、自分で揚げるのは面倒という僕が編み出した、現状における最適解である。
ぜひ一度、試してもらいたい。