つなぐもの、つながれるもの [V音Advent Calendar 3日目]

この記事は『Vtuber音楽周りの人々 Advent Calendar 2018』 http://adventar.org/calendars/3348 3日目のエントリです

くろゑです。
なんだか急に年末感が出てきましたね。

こんな記事を覗いてるくらいですし、あなたにとって2018年は特別な年だったんじゃないでしょうか。私にとってもそうでした。

まず私は誰なんだって話からしたほうが良いですね。
でろーんこと樋口楓さんのイメージソング『Harmony!!』を勝手ながら作ったご縁で、こうして寄稿させていただくことになりました。

でろーんさんとの出会い、そこに至るまでと、
Harmony!!の制作に関することなどをつらつら書いて参ろうと思います。

キズナアイ~月ノ美兎

Vtuberという存在を知ったのは2017年初夏、
Twitterに転載されていたキズナアイさんの動画を目にしたのが最初です。
純粋な技術的な興味だったり、可愛らしい見た目に反するブラックな振る舞いを目にして、ファンになるのに時間は掛かりませんでした。

そして11月ののじゃおじショック、12月の輝夜月ショック&シロちゃんの発掘といった王道ルートを通り、ウカ様やカルテちゃんのような個人勢にも興味を惹かれつつ迎えた3月初旬。

TLのサブカルな人たちが「委員長」とか「月ノ美兎」といった単語を次々と口にするようになりました。
YouTubeのAIも『10分で分かる月ノ美兎』を観ろと強く薦めてきました。

なので観てみたらヤバかった。

腋でおにぎりを握るおじさん声の狐娘も、常に酔っ払っているような猫耳娘も、笑顔で猟奇的なゲームを遊ぶシロイルカも十分ヤバかったですが、
一見清楚なこの黒髪ロングの高校生は、ご存知の通り彼らに負けず劣らず、もしくは彼ら以上にヤバかった。
己の凡庸さに謎の悔しさすら覚えてしまうほど。そして夜通しアーカイブを観ました。

今では特段珍しくもないですが、企業所属でありながらバックの影を感じさせず、枠に囚われない雑談主体の生放送というスタイルも新鮮でした。

にじさんじ沼に足を踏み入れた瞬間でした。

樋口楓 in にじさんじ

委員長こと月ノ美兎の動画を追っていくうち、彼女が"にじさんじ"というグループの所属であること、さらにその中の"JK組"というトリオの一員であることを知ります。

そこで初めて、樋口楓さんの存在も知ることになるわけですが……。
ごちゃごちゃと語るのはやめましょう。

委員長との探り探りな深夜トークの中で、百合から死生観に至るまでが語られる最高の動画です。先にJK組のコラボ配信を見た時には「普通の人」だった彼女のイメージがガラッと変わった動画でした。
彼女の十八番は"溺れ死ぬボーちゃんのモノマネ"ですが、浅瀬と思って軽い気持ちで興味を抱き、その深みに足を取られたファンは多いことでしょう。

このエモすぎる動画をキッカケに、今度は彼女のアーカイブを漁っていくことになります。

こちらも最高。
当時、私は仕事のプレッシャーで精神を病みかけていました。
寝付けず朝を迎えることも珍しくなかった中、布団に入りながらiPhone片手にYouTubeを開き、"かえる"のくだらない掛け合いと笑い声に釣られて笑った夜は、妙にホッとして安眠出来たのを覚えています。
そんなファンもやっぱり多いはず。

一方では「元気・明るさ」、一方では「影・深淵」というギャップ、そして同業者やファンとの絆を重んじ、委員長の言葉を借りると「誰に対しても隔てない」
そんな彼女の魅力に気付いたのが3月の中旬でした。

夢のバーチャルアイドルへ

時を同じくして、彗星の如く投稿されたのが、イメソン文化の始祖とも言えるiruさんの『Moon!!』です。
まずファンアートとして曲を作るという発想は自分には全然なかったので驚きました。(iruさん自身、sasakure.UKさんの『Kizuna AI to AI』に触発されたと仰ってるように、実際はさらに何人か先駆者が居るのですが)

拝聴してみて、委員長が愛するデレマスを意識したクオリティの高い楽曲、人力ボーカロイドという根気が必要な技術、愛とネタに溢れる歌詞に、改めて驚きました。

しかし凄いなと思いつつも、自分も追随しようとはまだ全く思っていませんでした。
そのまま数日が過ぎ、3月16日『でろもい(仮)+みと』の配信を観ていた時のことです。

【1:09:41~】
み「まあワタクシたちもね、オーディションをくぐり抜けてきたアイドル、ですからね?」
で「ナッハッハッハッハw」
も「その言い方は照れるのだわ//」
で「アイドルか……」
み「でも実際公募の時も"アイドルを募集します"って書いてましたからね?」
で「たしかにバーチャルアイドルねー…」
み「ワタクシたちはバーチャルアイドルのオーディションに受かったんですよ?」
も「あ……っ! そっか! アイドルか! あ、そうか…!」
で「ライバーとしてでもあり、アイドルでもあり……なるほどねー…」
み「そうですよ? うふふふ」
も「今までなんか、アイドルという実感が……//」
で「本当本当!」
み「そうですよモイラ様アイドルなんですからね」
で「うん、もいもいはアイドルって感じ」
も「なんか、みとちゃんに"アイドルなんですからね"って言われると、すごく、胸に来るのだわ」
で「"委員長がアイドルww"ってめっちゃコメント流れてんねんけどw」
み「アイドルですよ。なんか文句ありますか?」
も「アイドルなのだわ。だってね、歌のやつもね、作られてるもんね?」
で「うんほんとだよー。アイドルだよ」
み「あのー是非ね、皆さんもあの、作詞作曲に自信ニキがいらっしゃったら、楓ちゃんモイラ様のキャラクターソングとか、良いのではないでしょうかっていう感じですね」

これを挑戦状あるいはお墨付きと受け取った翌朝、ハーモニー(仮)が出来上がりました。

(色々雑なのであんまり聴き返したくないVer)

Harmony!!

タイトルに込めた意味は、当時のツイートから引用しておきます。

「Harmony!!」のタイトルはでろーんが吹奏楽部というのもあるんですが、他のメンバーとのコラボでの親交だったり、ファンとの交流を大切にしているというところでの『調和』という意味で名付けました。
あと語源の"Harmonia(ハルモニア)"には「連結」という意味もあるらしいので、お絵かきリレーだったり、にじさんじメンバー同士を繋ぐという意味でも。NARUTOだし。

ハーモニー(仮)をTwitterに放流してみて、御本人からも他のファンの方たちからも悪くないレスポンスをいただけたので、いよいよワンコーラス作ってみよう! となりました。
今でこそそんな心配は要らないですが、当時は結構不安というか、怖かったです。「作って良いのだろうか?」「Moon!!の二番煎じって言われないだろうか?」「イメージと全然違うって怒られないだろうか?」みたいに。

歌詞も極力、語録や設定などソースのあるものから引用するような形にして、私による創作が入らないようにと意識していた記憶があります。
でも、そんな中でいかに明るく、聴いた人を元気付ける歌詞にするかこだわったのが楽しかった。
特に思い入れがあるのは結びの「笑い疲れて ほんま幸せ」の部分です。
まるで笑顔のおすそ分けのような配信に癒やされていた身として。

曲調はMoon!!の影響や上述の”でろもい”の経緯もあり、思いっきりアイドルソングを意識しました。
Bメロのリズムも、本人恥ずかしいだろうなあと思いつつPPPHを強行採用しました。Bメロ前半の恥ずかしさは音色も含めて嫌がらせレベルだったかもしれません。ごめんなさい。

もう一つごめんなさいなのは、でろーんさんがラブライブ好きなのは存じていたものの私自身詳しくなく、かつアニマス&ミリシタが結構好きだったので、結果そっちに寄ってしまった感が否めないこと。
でも神前暁先生は神。佐藤貴文先生も神。

でろーん要素としては、
・『偶然天使』(極上生徒会 ED)
・『DREAM SOLISTER』(響けユーフォニアム OP)
・『いちごコンプリート』(苺ましまろ OP)
をちょこっとだけ意識してます。

そんな感じで楽しみつつビビりつつ作ったHarmony!!ですが、いざニコニコに投稿すると温かいコメントを沢山いただけて、やっと安心出来ました。嬉しかったです。

あの日はほぼ同時に『Maple』『Liver's High!!』『放課後Melty』が投稿されて、ある意味休まらない日ではありましたが……。お祭りみたいな深夜でした。一生忘れられないです。
そして翌日早速ギターを弾いてくださった方々、特に急遽オケに使用させていただいたうぉるさん、ありがとうございました。

そして何より、素晴らしい表現力で歌い上げてくださった、でろーんさん。
配信でカラオケ音源を流して軽く歌っていただけたらラッキーくらいに思っていたので、MIXを経て、しかも動画まで仕上げていただいて驚いたと同時に本当に嬉しかったです。
YouTubeのコメント欄に寄せられた数々の「元気が出た!」という言葉に、私自身元気を貰いました。
改めて、ありがとうございました。
音楽続けてて良かったなって、強く思えた経験の一つです。

繋ぐ者、繋がれる者

Harmony!!のタイトルにも込めたように、でろーんさんは人を結び調和させる存在という印象が強いです。
でろーんさんをキッカケに、他のにじさんじメンバー、ピーナッツくん、ぽんぽこ、おめシス、ケリン……。などなど、芋づる式に? 多くのVtuberの魅力を知ることが出来ました。

彼女が繋いだ多くの人々には、我々イメソン制作者も含まれます。
もしかするとこれが、最大の恩恵だったかもしれません。

まさかあの半年後、
楓組を始めとしたイメソン制作者たちと『にじそうさく』(にじさんじオンリー同人イベント)で実際に顔を合わせ、翌日よみうりランドコラボのVtuber Land!で一緒にアトラクションに乗ることになるなんて予想だにしませんでした。

イメソン制作者が集うDiscordでは「オススメ曲」「ソフト音源・サウンド素材情報」のチャンネルがほぼ毎日活況を呈しています。
(これが本当ありがたい)

今回も『Maple』のろくげんさんの呼びかけで、こうしてAdvent Calendarを書いています。
そして不思議と、にじさんじやVtuberとは全然関係のないところでも縁に恵まれる1年になりました。
2018年の漢字を勝手に選ぶとしたら個人的には間違いなく"縁"です。

素敵な2018年をありがとうございました。
少し早いですが、2019年も皆さんにとって、そしてでろーんさんたちにとって良い年でありますよう。

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