e-Gov電子申請アプリに見た日本の深く暗い闇 〜河野太郎に届け〜
松田です。私は一応会社の社長なので、色々と役所に用事があったりします。それなりに忙しいので、できるだけ役所に行かないで済むならそうしたいと常々思っていて、電子申請が可能なものはすべて電子申請でやりたいと思って生きています!
どうやら役所側も私と同じ思いを持っているようで、行政への申請や届出は「電子申請」でやることを推奨しているようです。大企業に関しては、電子申請を「義務化」しています。
この動き自体は大賛成です!いいぞ、もっとやれ!
厚生労働省もTwitterで電子申請を勧めていますし、これは、私もこれからの行政手続きは電子申請をメインでやっていくぞ!と決意したのでした。
が、しかし・・・
「電子申請アプリ」がとんでもなく使いにくい!
私もITエンジニアの端くれなので、せっかく用意してくれた便利な仕組みは活用したいと思っています。ですが、この電子申請だけはどうにも複雑で使い辛く・・・何度か挑戦しましたが最終的には心が折れてしまいました。
今では「電子申請」と聞くだけで心が暗い気持ちになるくらいには打ちのめされました。自信を失いました。
せっかくなので、これから電子申請を行う皆様のために、どのくらい使いにくいかを列挙させていただきます!行政手続きに慣れていない皆様は、絶対にこれらのサービスを使わないようにしてください。精神をやられます。
その1 - gBizIDがわかりにくい!
厚生労働省は社会保険手続きにおける電子申請の義務化について大企業からのスタートとしました(2020年4月)。電子申請のために必要になるのが、gBizIDです。
gBizIDは、経済産業省が推進しているサービスの名称です。このgBizIDでアカウントを取得していると、様々な行政サービスにアクセスできるようになります。
「gBizIDというサービス内から他の行政サービスが使えるわけではない」です!
このgBizIDは、行政サービスに「ログインするためのサービス」のようです。gBizIDのサービスにログインしても電子申請を行うことはできません。
これ、意味わかりますか?私は意味がわかりませんでした。
正直いうと、この記事を書きはじめるまで混乱したままでした。
gBizIDで利用できる行政サービス一覧
...これは、gBizIDというサービス内でこれらの行政サービスが使えるという意味ではありません!
「gBizIDを使ってログインが可能な行政サービス」のことです!各サービスのURLからログイン画面に飛んで、そこで「gBizIDをつかってログイン」するのです。
gBizIDにログインして、さあ電子申請だ!
このgBizIDを使って、e-Gov(総務省)やIT導入補助金2020(経済産業省
・中小企業庁)などの他のサービスにログインする必要があります。
gBizID以前は、サービス毎にアカウント発行が必要だった
多少混乱しましたが、元々はそれぞれのサービスを利用するために、サービス毎にアカウントを取得し、電子証明書などを設定しなければならなかったようです。それが不要になったということで、どうやら楽にはなっているようです。すばらしい、ありがとうございます。サービス毎にアカウント作って、法人の登記簿やら印鑑証明やら送らないと電子署名ができずに使えないなんて想像したくありませんね・・・。
下の図をご覧ください、いかにも「gBizID」というサービスから各種申請できそうですが...
出典_厚生労働省のサイト: https://www.mhlw.go.jp/content/000561645.pdf?_fsi=IdsQa8rA
届出書作成プログラムというものが出てきました。これは名前が宜しくないのですが、届出書の「作成と申請」両方をこのプログラムで行います。そしてなぜか「デスクトップアプリ」です。申請する際に、gBizIDを利用する様子です。
申請データ作成 -> gBizIDにログイン -> 作成したデータを添付して申請
という流れではありませんので注意してください。
届出書作成プログラムという名前からして、書類を所定のフォーマットに従って作成してくれるソフトを想像しますが、そうではありません。このアプリケーションに「gBizID」でログインして申請を行います。
私は何度も、gBizIDのサービス内に申請ボタンを探そうとしては見つけられず途方にくれてました。
届書作成プログラムは、作成のみを行うわけじゃなく、申請もここでやります。届書作成プログラムがgBizIDを入力することを求めます。
なので、申請には届出書作成プログラムとgBizIDの両方が必須です。紛らわしいです。
ここまでは賢明なみなさんなら書類を注意深く読めば理解できるでしょう。
その2 - `e-Gov`で電子申請をやってみた
さあ、肝心の問題は、電子申請の手続きです。
昨日、試しに電子申請を試みました。ですが、開始早々下記のエラーが出てしまい、これより先に進めませんでした。
エラーの詳細も何もなく、問答無用でアプリケーションがシャットダウン!冗談きついぜ!
アカウントの再ログイン、アプリの再インストール、PCの再起動、別の端末でログインなど色々と試しましたが、お手上げでした。ずっーとこの画面がでます。
エラーが出てから、一日待ってみた
なんとなく予想してましたが、一日経ってログインしてみると不思議なことにエラーが発生しなくなってました。原因は不明ですがe-Govアカウント作成してサーバーにデータが作成されるまでにタイムラグがあるのでしょう。
みなさんも同じ状況になったら一日待ってみてください。
諦めて一旦は郵送による手続きでやることに
ちなみに私はこの時点で心が折れていて、郵送による手続きに切り替えました。
ただ、どうしても電子申請を推奨している厚生労働省の期待に応えたいので、絶対に使いこなしてやる!という謎の闘志が湧いてきて、一通り機能を触ってみることにしました・・・でも、やはり
その3 - 入力エラーが永遠に出続ける・・・
カタカナで入力すべき箇所にうっかり漢字で入力するとこのエラーが発生。何度OKボタンを押してもOKをもらえず、Escを押しても何を押しても一向に消えてくれません。仕方なく、アプリを強制終了してことなきを得ました。もちろん、途中まで入力したデータはすべてキレイに消えていました!
動画にしてあります
電子申請バンザイ!
その4 - 絶望的なUI
エラーが出るなんて序の口です。可愛いもんです。
問題はUIです。なんと、元々の紙で申請する時に使える帳票のフォーマットそのままでUIとして入力できるようになってます!
わお!ユーザーフレンドリー!
Webの良さをガン無視してますね!
UIアンチパターンの大集合!
「条件分岐」とか「分類」とか情報の整理って概念を奪われしまった人類が作ったかのようなUIです。地獄です。
立ちはだかる壁・・・何を入力するか資料を片手に調べながら入力
職種入力で、番号から職種を選択しますが01が何を表すか分かりません・・・。記載要項のリンクは申請ページ内のどこにも見当たらず、ネットで記載要項をネットで探して入力です・・・
選択欄なんだから 横に詳細を併記しても全く問題なさそうですが・・・なにか事情があったのでしょうか。
その5 - 「記載要項」の見辛さも絶望的・・・
ソフトウェアエンジニアなので、`B 専門的・技術的職業 ・・・ 02` ですね!入力するのは`B`じゃなくて`02`です。間違えないように。
「いやそもそも`B`って何!?」
そんなツッコミは心の奥にしまっておきます
ちなみにこれは2020年11月24日に下記の声明のもと、新しく生まれ変わった後のe-Govユーザーインターフェースです!これが驚愕しないでいられるでしょうか!?操作性悪すぎませんか・・・?
ただ、MacOSに対応していること、モバイル対応していることは評価できると思います。まあ、ES6に準拠したブラウザで動作するアプリ作るだけならそんなに大層な手間がかかることでもないはずですが・・・。
これでも是非使ってみたい!と思える酔狂な人は、電子申請つかってみてください!
私は、二度と使いません!
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