神の仕事2
ひらめきは突然訪れた。
ボーイフレンドのクリスチャンがわたしのブランド、クロノスのために音楽を作ってくれたからだ。クリスチャンの音楽は100%外れがない。最近、デザインのアイディアが全く思いつかない、というスランプに陥っていたのに、クリスチャンの音楽がわたしにひらめきを与えてくれた。
そして、モデルのMayumiちゃんがこの音楽に合わせて深淵なる森の中でパフォーマンスをしている姿が脳裏に浮かんだ。
コロナ・・・?
時間がない・・・・?
お金がない・・・・・?
そんなこと、関係ないように思われた。頭に浮かんだことはやりたい、と思えばやれることができるのだ。
こういう物事はとんとん拍子に進む。
Mayumiちゃんの快諾を受けて、ドレスを作るための日にちが忙しいスケジュールの合間、ぽっかりとできた。
そして、Mayumiちゃんのスケジュールに合わせて仮縫いなしでドレスの製作を進める。うまくいくように、撮影の日までに間に合うように、何回も何回もドレスを頭の中で完成させた。頭で描いたことはうまくいくようになっているからだ。
大まかなドレスのデザインを決めて細かいデザインは作業しながら一挙一動で生み出す。デザインが実際の形に起こせるかどうかもわからないのに、材料たちはその生命がこのドレスのために生まれたかのようにその形を成していった。
撮影予定日の天気を一週間前から確認。
降水確率が60%〜30%の間をうろうろしながら、雨・曇りの予報が前日になって、夜、雨の予報に落ち着いた。最終的に最高気温が13°で肌寒さが気になった。モデルに無理をさせるのは心苦しい。
Mayumiちゃんが乗るバスが到着するのを待っている間に念じた。雲間に太陽が現れるところを。
奇跡とは簡単に起きるものだ。
バスが着いたのとほとんど同時に雲間に太陽が現れた。
暑いくらいにまでなった。
撮影場所に到着時は曇りになっていたが、太陽がしばらく出ていたので気温が高い。くもりの光加減もちょうど良い感じ。
しばらく前にぶらぶらしているときに発見した秘境が今回の撮影地。
水が湧き出る神聖な地。
仮縫いなしで縫ったドレスもぴったりと身体に収まった。
全ては順調・・・と思いきや。なんと予備のバッテリーを忘れてきた。カメラに入っているバッテリーも充電してきたはずなのに、充電切れのサインがピカピカしている、まさかのハプニング。
でも、今回の撮影もうまくいくと信じて充電が切れるまで撮影を続けた。
頭に描いている映像をなんとか撮ることができ、無事、撮影終了。
わたしは撮影の最初と最後に祈りを捧げることにしている。
それこそが全てを順調に行かせる魔法なのだ。
宇宙よ、ありがとう☆