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アルバム『PROMISED LAND 〜約束の地』
地球を俯瞰するような壮大なスケール感のインストゥルメンタルから始まり、“希望ヶ丘ニュータウン”という街で起こる男女の出来事を描きつつ、社会全体の問題にも視線を向ける、コンセプチュアルで重層的なアルバム。そんな中「片隅にひっそり存在する」佳曲、「ややこしくない」ラブソングも愛らしく優しく存在感を主張している。
こんにちは。
どうも、けこぜろです。
今回は1982年に発売された浜田省吾8枚目のアルバム『PROMISED LAND 〜約束の地』について。
PROMISED LAND 〜約束の地
『PROMISED LAND 〜約束の地』は1982年11月21日に発売された、浜田省吾の8枚目のアルバムです。
このアルバムは1980年の『Home Bound』と1981年の『愛の世代の前に』から続く3部作の完結作で、『マイ ホーム タウン』や『僕と彼女と週末に』に象徴される社会派としての色合いが濃い作品となっています。
『FLAMMABLE』と書かれた核弾頭の前に佇む浜田省吾の姿が示すように、反核の思想が強く表現されており、「約束の地」というタイトルは地球を意味しているそうです。
浜田省吾がホリプロ在籍時代に発表した最後のアルバムで、本人が「父親の棺の中に入れたアルバム」と語るほどの自信作でした。
![](https://assets.st-note.com/img/1710977825874-UNsZG8ZRbM.png?width=1200)
また、本作から浜田省吾のアルバムはCD盤も発売されており、1999年にはリマスタリングして再発売もされました。
この際ジャケット写真が縮小され、それによって生まれた上下の空白部分にオリジナル盤にはなかったタイトルの表記が追加されました。
当時、来日公演中だったブルース・スプリングスティーンが、プロモーターにドライブに連れられた際、車の中にあったこのアルバムを聴いて「声がいい」と語ったという話も残っています。
OCEAN BEAUTY
1曲目の『OCEAN BEAUTY』はインストゥルメンタル曲。
このテーマのメロディーは、すでにライブで演奏していた『僕と彼女と週末に』の間奏としてありました。
浜田省吾が作ったそのメロディーが最初にあり、このメロディーでオープニングのインストゥルメンタルをストリングスオーケストラでやりたいとアレンジャーの水谷公生さんに渡しました。
編曲する段階で水谷さんが何小節かメロディーを足して曲を膨らませて共作した楽曲となっています。
マイホームタウン
『マイ ホーム タウン』は「希望ヶ丘ニュータウン」を舞台にしたメッセージソングです。
前曲『OCEAN BEAUTY』の最後の部分に、『マイ ホーム タウン』の冒頭のドラムソロが重なる形で始まります。
かなり社会派な曲で、この曲に出会った2010年頃はあまり好きではなかったのですが、何度も聴くうちにその良さを実感できた曲でした。
2010年のベストアルバムに収録された際に英語表記になったり、2005年のライブでは歌詞の一部が現代的になっていたりもしていました。
ですが、やっぱり印象的なのが2011年のアリーナツアーのライブと、昨年春に観た1988年の渚園での演奏でしたね。
パーキング・メーターに気をつけろ!
『パーキング・メーターに気をつけろ!』は前曲『マイ ホーム タウン』と同じ「希望ヶ丘ニュータウン」を舞台にした楽曲です。
曲のストーリーとしても繋がっており、『マイ ホーム タウン』の歌詞の一部を切り取った上、それを拡大して歌われています。
かなりヘビーなストーカーの歌ではありますが、『マイ ホーム タウン』と同様あり得る社会の闇を描いた楽曲となっています。
重いテーマの曲をポップに歌う浜田省吾らしい楽曲でもありますね。
ロマンスブルー
『ロマンスブルー』は非常に完成度の高いラブソングです。
浜田省吾自身も次の『恋に落ちたら』と合わせて「アルバムの片隅にひっそりと存在する、でも好きな曲」と称しています。
2006年のベストアルバムにも収録されましたし、ライブでのパフォーマンスが本当に素敵で心に沁みる名曲となっています。
恋に落ちたら
『恋に落ちたら』もラブソングで、若者同士の絶妙な距離感が感じられる素敵な曲となっています。
10代の繊細な心情が描かれており、そんな恋模様を気恥ずかしいですが応援したくなるような気持ちになりますね。
愛しい人へ
『愛しい人へ』は歌詞もメロディも非常に美しいラブソングです。
オーケストラアレンジを聴いて、そのメロディの良さに惚れ込んだ楽曲でした。
僕の中で何だか強烈な印象のある楽曲でしたが、今年の1月に参加したアリーナツアーで聴くことができました。
ライブが終わってから大好きな曲だったことに気がついたので、ライブ中の印象があまり残っていないのが残念ですね。
DJお願い!
『DJお願い!』は浜田省吾の楽曲としては珍しいアカペラによるドゥワップとなっています。
ライブでも何度か聴いたことがありますが、アルバム同様次の『バックシート・ラブ』とセットで歌われるので非常にテンションが上がる曲となっています。
バックシート・ラブ
『バックシート・ラブ』はテンションの上がる楽曲で、ライブでも盛り上がる曲となっています。
若者特有の勢いのある歌詞が印象的ですね。
2005年のライブDVDで素敵だと感じましたし、2016年のライブで実際に聴いて本当に盛り上がりました。
さよならスウィート・ホーム
『さよならスウィート・ホーム』は『DJお願い!』『バックシート・ラブ』から繋がるストーリーの楽曲です。
この3曲では高校生のカップルが付き合い始めて、やがて結婚するも擦れ違い別れていく様子が描かれています。
今年1月に参加したアリーナツアーで初めてちゃんと聴いた曲でした。
ライブでは勢いがあって盛り上がりましたが、歌詞を見ると中々にビターな内容でした。
浜田省吾らしさを感じるストーリーの曲ですね。
凱旋門
『凱旋門』は2019年にリメイクされた楽曲です。
重くて暗い印象の曲ではありますが、ストーリー性のあるラブソングでもあります。
ただ、これについては色々と想像の余地のある楽曲であるとも感じています。
僕と彼女と週末に
『僕と彼女と週末に』はアルバム最後の楽曲にして、『PROMISED LAND 〜約束の地』を象徴する名曲です。
間奏にはアルバム1曲目の『OCEAN BEAUTY』と同じメロディーが演奏されており、アルバムのオープニングと繋がっているという構成になっています。
80年代初頭の時代背景を知っているとより深く理解することができる曲ですね。
この曲最大の特徴は間奏に挟まる語りの部分です。
まるで朗読のような形で語られるこの部分は、「週末にドライブに出かけたある男女」の様子が描かれます。
この部分については当時の時代背景を知っておくべきがありますが、この語りがあるからこそ『僕と彼女と週末に』という楽曲を名曲へと昇華させている気もします。
2010年のベストアルバムにもリメイクされて収録されましたし、2011年のアリーナツアーでもテーマソングという位置付けでした。
1982年当時を謳っているはずでしたが、2011年の時点でまるで今現在のことを謳っているかのような印象を受けましたね。
今でも当時のライブを思い出して泣きそうになってしまいます。
いつまでも胸の中に残る名曲です。
まとめ
こんな感じで、浜田省吾のアルバム『PROMISED LAND 〜約束の地』の紹介でした。
社会的な曲が多い印象のアルバムでしたが、最近改めて聴くと非常に完成度が高くて素敵なアルバムでした。
途中のラブソングはどれも素敵ですし、アルバムを象徴する『僕と彼女と週末に』の存在感がまた非常に大きいものとなっています。
40年以上も前のアルバムですが、今になっても色褪せない良さを感じました。
それでは、また。