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2024年天皇賞秋回顧といろいろ感想 ドウデュース衝撃の豪脚 ロッキー3のスタローンのような馬体の威力を見せつけた(個人の感想)


◆結果 

1着 ▲ ドウデュース 牡5 武豊騎手
2着 消 タスティエーラ 牡4 松山弘平騎手
3着 消 ホウオウビスケッツ 牡4 岩田望来騎手
4着 ★ ジャスティンパレス 牡5 坂井瑠星騎手
5着 消 マテンロウスカイ セ5 横山典弘騎手
6着 △ ベラジオオペラ 牡4 横山和生騎手
7着 消 ソールオリエンス 牡4 横山武史騎手
8着 ◎ レーベンスティール 牡4 C.ルメール騎手
9着 消 ステラヴェローチェ 牡6 佐々木大輔騎手
13着 ○ リバティアイランド 牝4 川田将雅騎手
14着 △ ダノンベルーガ 牡5 C.デムーロ騎手

◆レース感想 勝ち馬には納得も、他は飲み込めない内容と結果に

レースはドウデュースの強さが際立ちました。それはまあ上位人気馬ですし爆発力では元々凄いものを持ってる馬なので想像しやすい結末の1つでは一応あったのですが前残りの展開で日本国内G1勝ち馬史上最速となる上がり32秒5を繰り出して快勝という中身のインパクトが大きかったです。
1000m59.9秒で天皇賞秋としてはかなりのスロー逃げたホウオウビスケッツが3着に粘る展開の中、楽にホウオウビスケッツとそれをかわして抜けだしたタスティエーラを一気に捉えきる豪脚は鮮やかで、ゴールした時にはドウデュースのことしか気になりませんでした。

その後でよく見たらリバティアイランドもレーベンスティールもいなくて何が2着3着に来ているのかはあとで知りました。
ホウオウビスケッツとタスティエーラ。ホウオウビスケッツは可能性あると思っていたのですが、タスティエーラ…。
タスティエーラは燃え尽きた馬だと思ってましたが、ここで来るとは…。申し訳ありませんでした。この馬もダービー馬で2022・2023ダービー馬の1・2決着

レベルが低いと言われた4歳牡馬2、3着で意地を見せてましたが、爆発力ではドウデュースに匹敵するものを持つと思ったソールオリエンスも不発、隠れ世代最強馬と噂されたレーベンスティールも凡走。
そして何より4歳牡馬はともかく4歳牝馬総大将は強いぞと思われていた、1番人気だった三冠牝馬リバティアイランドが抜群の手応えからまさかの大失速。
勝った馬は天晴れでしたし、全体的には自分の現在の知識や感覚では予想不可能なレースだったという納得もありもどかしさはありませんが、次走以降のリバティアイランドや今後のレーベンスティールはどうなるだろうという不安や心配などは残るレースでした。


◆各馬感想

1着 ▲ ドウデュース 牡5 武豊騎手

★いろいろと語りたくなる要素の多い馬

勝つか凡走だと思ってましたが、想像以上の走りでした。
これまで自己最速の上がり3Fは33秒7(2022ダービー、2023JC)でしたが、32秒5を記録。
スローで逃げ馬が3着に残る展開で最後方から直線一気の1着は驚きました。凄い上がりが出てるとは思いましたが32秒5とは。
2022年のパンサラッサが大逃げして天皇賞秋のイクイノックスが32秒7(自己最速)、ダノンベルーガが32秒8(自己最速)で、ドウデュースには彼らと違って32秒台の脚は使えないと評されることもあったのですが、ここで初の32秒台それも同世代の彼らをも上回る脚を見せてきました。
陣営が「記憶にも記録にも残るレースをしたい」と言ってましたがいきなり1戦目でそれを見事に見せつけてくれました。

★案の定外回せば国内好走率100%

武豊騎手も流石に今回は腹をくくってスローでも位置を下げてでも外を回して追い込めるように立ち回りこの馬のやる気を引き出す戦法をやってきました。
次走以降もどうなろうとできる限り同じ戦法をとるでしょう。そうなった時は必ず馬券内に来ており、ダービーを見据えたこともあってか仕掛け遅れた皐月賞以外は全勝8戦7勝です。
いくら外回しても前残りの絶望的な展開なら…という不安はあったものの今回はその不安を覆す異次元の脚を見せてきました。

「ドウデュースが外を回さないと実力発揮できない馬」という説はファンの間でも以前から注目されていたことで、彼のレース戦績と内容を見てくると簡単に可能性に気がつくので陣営や騎手が考えないわけがないのですが、今年に入って海外のドバイターフでも外回さず内で進路を失ったこともあり凡走、宝塚記念でも馬群の中で追走させられ最後も外を回せずの本来の伸びを欠いて凡走。
今回はペースが遅くこれでは外を回しての追込では絶望的かと思われましたが、それでこれだけの120点回答を見せてくるんですから、次からも何があろうと外を回して追い込むでしょう。

また、武豊騎手が乗ることが大きいとも言えますし、友道康夫調教師「武豊騎手が乗ると脚の回転まで違う」と評してましたから、武豊騎手が乗って道中でしっかり脚を溜めた上で、外を回して追い込めば(良馬場なら)必ず好走するのだと思います。

★32秒台の脚は隠れてたギアなのか

ドウデュースはこれまで33秒7が自己最速上がりでしたが、ここに来て一気に1秒2も自己最速を更新する32秒5日本国内G1勝ち馬史上最速の上がり3Fを記録。
一部では隠れたギアという表現を使われてもいますが、ドウデュースの場合は隠れたギアではなく、一応32秒台の脚を使える可能性を推測可能だったと思います。
確かに現代日本競馬は馬場のスピードが上がり、上がり33秒台前半も当たり前、32秒台もそこまで珍しくない時代で、そんな中で33秒7が自己最速だったドウデュースは究極の早い上がりが使えないのではという不安を覚えるのも分かります。
ただ、ドウデュースは調教では常に日本最速くらいの時計を叩き出しており、昨年のドバイ遠征前、武豊騎手が「馬ってこんなに速く走れるんだ」と驚いていました。

 ラストの10秒6は、Cウッドの自動計測が始まった21年12月以降で最速タイ。数々の名馬に乗ってきた武豊騎手も「馬ってこんなに速く走れるんだって思った。きょうは馬場が重かったし、ハロー(整地)明けでもないし、後半(の時間帯)だし。すごかった。速すぎて追えなかった」と絶賛した。

名馬レベルの実績を残せないのに、調教では名馬にも負けない凄さを見せる馬が偶にいるので難しい所ですが、少なくともドウデュースはレースでたまたま出したことがなくても33秒台前半や32秒台の屈指の上がりの速さを出せるような隠れたギアの片鱗を、すでに調教では見せていたといえると思いますし、ここに来て初めて調教で出していた能力の全貌をレースで見せたといえるかもしれません。

距離も異なる4勝で4年連続G1勝利を達成し、内容も維持どころか充実を感じます。こうなるとむしろ今が全盛期なのではという可能性も感じますが、予定ではラスト2戦で引退となっており、惜しまれます。
武豊騎手も引退撤回してほしいと冗談半分に言ってましたが、武豊ファーストのキーファーズ松島正昭オーナーの所有馬なので、引退撤回現役続行可能性も0ではないと少し期待しています。

また、今回含め、3歳以降は2連敗のあと優勝を繰り返していますが、次走以降注目です。

★本命にはできなかったものの最高だと思った抜群の馬体

ドウデュース(2024天皇賞秋)
ロッキー3

本命にはしなかったのですが、調教後の馬体評価で巷ではリバティアイランドが最高評価の評論家やファンが多かったのですが、個人的には圧倒的にドウデュースだと思ってました。まあ実際当日にベストターンドアウト賞も受賞してましたが。
写真の写り方、光加減の影響もあるかもしれませんが、映画ロッキー3の、シリーズ最高にキレとハリがあるスタローンの体を思い出すような抜群のハリと艶がありました。

※ロッキー3 あらすじ

死闘の末、伝説的強さを誇る無敗王者アポロ・クリードを倒しボクシングヘビー級の新世界王者となったロッキー・バルボア(演:シルベスター・スタローン)は、底辺から這い上がったヒーローとして熱烈に歓迎され、10度の防衛を記録し、富と名声も得たのだった。
そんな折、引退前にかつての自分のようなハングリー精神を持った男、クラバー・ラングの挑戦を受けて試合で敗れて王座陥落してしまう。
王座も失い、恩師のトレーナー・ミッキーも亡くなってしまった失意のロッキーの元にかつての宿敵であるアポロが現れ、ロッキーの新トレーナーとして名乗りを上げ引退撤回と再起への協力を提案する。
アポロは、ロッキーに失われた闘争本能を取り戻すべく、アポロの原点でもある下町の黒人ジムに移し、1から徹底的にトレーニングをし直した。
紆余曲折があったものの妻とアポロらの叱咤激励に応え鍛えた結果、溺れるような泳ぎしかできなかったロッキーはクロールやバタフライでパワフルに泳ぎ続けられるようになり、引退後のアポロにすらまるで敵わなかった走りでもアポロを追い抜けるようになった。
元々パワーと根性だけ戦っていたロッキーにかつてのアポロのような華麗なステップワークやスピード、テクニックが備わり、生まれ変わった体で満を持して再起戦となるリベンジマッチへ向かい、苦闘の末にクラバーを倒し見事に王座に返り咲くのだった。

ロッキー3も挫折を経て、再び鍛え直して王座に返り咲く話で、ドウデュースの天皇賞秋の状況に少し似ています。プールで泳ぐシーンもありますし。

ただ、写真では前述のように抜群によく見えてたものの調教後馬体重520kg台で、昨年と比べても意外と絞れておらず不安を覚えてました。
それが当日発表では504kgまで見事に減っており、これはと思った通り、鮮烈な走りを見せました。


2着 消 タスティエーラ 牡4 松山弘平騎手

申し訳ないですが完全に来ないと思ってました…。
タスティエーラが好走した時点で馬券的には諦めがつきました。
松山騎手の騎乗も良かったと思います。
タスティエーラ自身だけのことを言えば上手く騎乗しいいパフォーマンスを引き出せていたと思います。
ただ直線では後ろのソールオリエンスらの進路に影響してる部分があり、他馬のことを考えると注文がつく部分はあります。
次走以降の評価が凄く難しくなりました。

3着 消 ホウオウビスケッツ 牡4 岩田望来騎手

一応好走可能性には気付いていたのですが…リバティ&レーベンは安定だと思っていたので消してしまいました。
ノースブリッジの出遅れもありスローの逃げを打ち、ペースを途中で落とした後は見事な持続力を見せつけて他の先行馬を寄せ付けずに好走しました。見直すと途中まで勝ちそうな雰囲気すら感じるのですが、リアルタイムではリバティアイランドの手応えに注目していました。
2着、5~8着の4歳馬とは着差ほどの能力差は良くも悪くもないとは思いますが、2023年世代は展開や条件が変わればどの馬が勝つか分からない拮抗した上位馬が多い、実はもの凄く面白い世代といえるかもしれません。

4着 ★ ジャスティンパレス 牡5 坂井瑠星騎手

進路の問題もあっての僅差4着。進路がスムーズなら、または外に出して追い込むレースをしていたら2着があったかもしれません。そういう意味では昨年の2着が展開があっただけではないという能力も見せてはいると思います。

騎乗面では馬も窮屈になった上に他の馬にも迷惑をかけたので微妙ですが、まあ若いのに遠慮しない勝負根性という面ではさすが世界でやってるだけのことはあるとも思ったりします。

この後はジャパンカップに出てほしいです。昨年も出てほしかったです。
ジャパンカップなら乗り方や展開次第ではドウデュースを逆転できる可能性がありますし、昨年も結果を見たらイクイノックスは相手が悪いと思うものの、天皇賞秋の時点ではジャパンカップでの逆転も可能性を感じるレースでした。
個人的には同じディープ産駒の春の天皇賞馬フィエールマンに近いイメージで、フィエールマンより少し弱いイメージでしたが、フィエールマンのようにルメール騎手が最初から乗っていたら同等なのかもしれません。
フィエールマンが2020年ジャパンカップに出ていたら勝ってた可能性あると思っていますし、有馬記念は昨年も4着とはいえ善戦してはいますがコーナーの機動力の差を考えても小回り巧者と勝負して勝ち切るのは難しいように思います。

5着 消 マテンロウスカイ セ5 横山典弘騎手

まさか横山父子で父が最先着するとは。しかも5~7着。
父モーリス母父スペシャルウィーク天皇賞秋優勝馬血統の力もあったのかもしれません。

6着 △ ベラジオオペラ 牡4 横山和生騎手

途中まではこの馬が勝つかもという展開にも思えましたが、意外と脚を使わされていたようですね。
あとは出来がもう一つというのが本当だったというのもあるのでしょう。

7着 消 ソールオリエンス 牡4 横山武史騎手

この馬もドウデュースと一緒で鮮やかに勝ってしまうか全然の二択だと思ってましたが、今回も着順ほどは負けておらず、進路取りがタスティエーラの斜行などで難しくなってもう一つ伸びを欠いた部分もあると思います。
しかし元々完璧なエスコートは展開次第になる馬なのは分かってる所もあるでしょうし、レース前には好位要らない控えて末脚勝負しかないみたいな覚悟決めたことを陣営が言ってたので、勝ち馬の脚などを見てしまうと、この馬にも豪快に追い込んでほしかったのですが、ペースもあるのでしょうけれど結果的には中途半端なレースになってしまったのが残念でした。


8着 ◎ レーベンスティール 牡4 C.ルメール騎手

先行して瞬発力で抜け出してくると思ってたのですが、控えるレースになりました。折り合いは大丈夫だったとルメール騎手は言ってましたが、外枠とはいえ前につけられずにルメール騎手の積極好騎乗が不発となり、残念でした。
ルメール騎手は外枠を凡走理由にしていましたが、正直言って内枠だったら好走、勝ち負けできたのかというとそれも分からないレース内容になってました。しかし一応リバティアイランド含め外枠の馬がほとんど凡走しているので、影響も大きかったかもしれません。

ルメール騎手が一週前も直前も調教に乗りに来ていて、アーモンドアイやイクイノックス級の馬でないとそこまでしっかり調教確認しに来ないみたいな話を見て、それで本命決めたわけではないのですが、期待も増していました。
あとは当日に平場でC.デムーロ騎手が勝ちまくっていて、そういう時はメインはルメール騎手が意地見せて勝つと思ったりしてたのですが、仲良く凡走になり、残念でした。
ただ本命にしたことへの後悔はありません。
枠や展開次第ではタスティエーラと良い勝負できるはずなので、ということはやっぱり勝ち負けはできるポテンシャルある馬だと思っています。ソールオリエンス共々。

13着 ○ リバティアイランド 牝4 川田将雅騎手

謎の抜群の手応えからの大失速。
しかし現状でも特に故障などの情報はなく、ジャパンカップ出走を見据えているとのこと。
馬の気持ちなのか、重くなった休み明けの馬体の問題なのか、理由が分かりません。
いくら何らかの展開やペース、初斤量などが合わなかったのだとしてもこの負け方をする馬ではないはずなので、心配です。

2~3歳頃から早熟感や年齢を重ねた後の距離不安を思わせるような馬体ではあったのですが、まだ衰えるには早く、キャリアも多くないと思うのと、距離も仮にマイルがベストになったとしてもここでこの負け方はないはずです。


14着 △ ダノンベルーガ 牡5 C.デムーロ騎手

この馬もまさかの大凡走で、当日にC.デムーロ騎手が絶好調だったこともあり、メインもダノンベルーガを持ってくるぞと噂されていましたが、残念でした。

2022年の天皇賞秋で勝ち馬イクイノックス(32秒7)に次ぐ上がり3F32秒8の末脚、後半1000mはイクイノックス以上だったという分析もあり、イクイノックスが外、ダノンベルーガが内を選択したことも考えると騎乗次第ではパンサラッサに勝ち、イクイノックスに迫れた可能性も0ではないようなパフォーマンスで、その理論で考えていくとダノンベルーガがG1勝つならここかと思いましたが…。
リバティアイランド共々、負け方が不可解ですね。

同じハーツクライ産駒のドウデュース(4角直線外回しでないと凡走率高い=上述)と違って外を回さなくてもそれなりの走りはして来ているのですが、この馬も本質的には外差しが最も合う馬なのかもしれません。
イクイノックス、ドウデュースを差し置いてダービー1番人気にさせた要因となる強い勝ち方の共同通信杯も外差しでしたし。

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