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混沌時代・種牡馬戦国時代の東京優駿(日本ダービー)から2024年ダービー予想・考察



◆1.昨年に続きディープ・ハーツ・キンカメ直仔全盛時代終焉後のダービーとなる2024年

2024年日本ダービーが近付いてきました。
昨年2023年はノーザンダンサー系サトノクラウン産駒タスティエーラがダービー馬となり、1995年以降キングマンボ系(主にキングカメハメハ/ドゥラメンテ産駒)サンデーサイレンス系(主にサンデーサイレンス/ディープインパクト/ハーツクライ産駒)が大半だったダービー馬の歴史に久々に風穴を開けました。

昔の日本競馬の血統傾向は良くも悪くも混沌としていて、そのおかげかダートや地方からの転向組も活躍する例が多かったり、そもそものレベルの問題もありますが海外馬が日本のG1で好走することも珍しくなかったのですが、近年は日本らしい、日本の芝で走りやすい血統というのがサンデー系またはキングマンボ系に固定化されてきました。

しかし、クラシックの好走率が高いディープインパクト、ハーツクライ、キングカメハメハらが種牡馬を引退したことで、産駒が減り、日本のクラシック戦線の黄金血統を持つ馬が少なくなり、2023年は新種牡馬の台頭となり前述のように2006年メイショウサムソン以来久々にノーザンダンサー直系・サトノクラウン産駒が勝ちました。
今年も血統的には例外的なダービーになる可能性があります。

◆2.時代別のダービー&オークスの種牡馬傾向

サンデーサイレンス直仔が台頭し始めた1995年(サンデー初年度産駒タヤスツヨシが制覇)以来、日本ダービー馬はヘイルトゥリーズン系(サンデーサイレンス、ブライアンズタイム)トニービンの産駒が大半で、それ以外の馬の制覇は1996年フサイチコンコルド(ニジンスキー系カーリアン産駒※ノーザンダンサー系)、2006年メイショウサムソン(サドラーズウェルズ系オペラハウス産駒※ノーザンダンサー系)のみ。

1995~1996年2006~2007年といえば、それぞれ種牡馬戦国時代の真っ只中でもあります。
1996年は前述の通り、サンデーサイレンス初年度産駒が台頭した翌年。サンデー系の勢いは強かったものの、まだ日本の競馬や馬場は2000年代以降ほどにはスピード色は強くなく、今だったら重たく感じる欧州血統もかなり好走率が高い時代で、当時はまだサンデーサイレンス産駒も「早熟で距離適性が短い」などと噂されおり、つまりサンデー産駒の黄金配合はまだ分かってない時代でした。

1986年~2000年のダービー&オークス馬の種牡馬

調べてて驚いたのですが1993~1995年は輸入した大物種牡馬初年度産駒がダービー&オークス勝ち馬を順番に独占してました。

ブライアンズタイムは初年度産駒ナリタブライアンがいきなり三冠馬に。古馬では勝てませんでしたが翌年の菊花賞馬マヤノトップガンが古馬でも活躍。
この大物輸入種牡馬御三家の台頭期も混沌の時代であり、サンデーサイレンス産駒は初年度に牡馬クラシック上位を独占するような旋風を巻き起こしつつ大物はなかなか出ませんでした。
大物と噂された1995年世代フジキセキ、1996年世代バブルガムフェロー&ダンスインザダークらが故障に悩まされ素質ほどの活躍をできなかったことが響いた所もあります。
そんな中で1995年オークス馬のサンデー産駒ダンスパートナーが牝馬ながらダービーの時計がオークスより遅いことを見て菊花賞に挑戦。1番人気5着に敗れるもののダービー馬タヤスツヨシ(6着)に先着しています。
その後、1998年のダービー馬スペシャルウィークや古馬で覚醒した1997年世代サイレンススズカらが強さを見せつけてからは完全にサンデーサイレンスの時代となり、1998年から2000年までダービー3連覇

1996年はノーザンダンサー直系カーリアン産駒フサイチコンコルドがダービー優勝していますが、ここでも同じカーリアン産駒の阪神3歳牝馬S馬ビワハイジダービー挑戦(13着)。後の牝馬にして現役最強馬となるエアグルーヴ(オークス馬)が同世代にいてオークスでは敵わないと思ったことも一因でしょうが、結果的に同じ父を持つ馬が勝ったので、レース後に骨折で休養となりますが、故障などがなく順調に使えていたらダービーも好走できていたかもしれません。
こういう種牡馬戦国時代というのを陣営も分かってるのかそういう時代に牝馬の牡馬クラシック挑戦が起こりやすいのかもしれません。
2007年のウオッカ2024年(今年)のレガレイラもそれに該当します。


2001年~2010年のダービー&オークス馬の種牡馬

2001年くらいからはサンデーサイレンス産駒1強というほどではないもののクラシック戦線、牝馬戦線にしても古馬戦線にしても、上位争いに他の産駒はいない時があってもサンデーサイレンス系の馬がいないことはないような時代が続き、完全にサンデーサイレンスの時代になりました。
2003年には牝馬三冠馬スティルインラブ、2005年には牡馬三冠馬ディープインパクトを輩出し、牡馬・牝馬ともに三冠馬を輩出。
2000年の時点で牡馬三冠全てをサンデーサイレンス産駒(エアシャカール&アグネスフライト)が制覇というのを成し遂げているので1頭の種牡馬でクラシック三冠独占を3回やってることになります。
2003年はサンデー産駒ネオユニヴァースが皐月賞&ダービーの二冠、サンデー系ダンスインザダーク産駒ザッツザプレンティが菊花賞を勝ち、父仔で三冠独占もやっています。

しかし、サンデーサイレンスが2002年に死去し、サンデー産駒が減ってくるとサンデー産駒の少ないサンデー産駒最後の世代2006年頃から種牡馬戦国時代、混沌の時代が始まります。

2006年にはダービーをノーザンダンサー直系サドラーズウェルズ系のオペラハウス産駒メイショウサムソンが制覇、オークスはノーザンダンサー直系リファール系キングヘイロー産駒カワカミプリンセスが制覇
つまり2006年はダービー&オークスともにノーザンダンサー直系産駒による勝利でした。これは1986年以来、20年振りで、種牡馬戦国時代の様相を象徴しています。

さらに2007年には牝馬のウオッカダービー制覇まで成し遂げます。まさに混沌、カオスです。
この頃はサンデー直仔種牡馬同士での繁殖牝馬争いが激しかったことも混沌の時代形成に影響してると思います。

2009年にキングカメハメハ産駒2011年にディープインパクト・ハーツクライ産駒がデビューしてからはサンデー系&キングマンボ系の天下が始まり、種牡馬戦国時代が落ち着いてきます。

2011年~2024年のダービー&オークス馬の種牡馬

2011年以降は国内G1未勝利馬ステイゴールド産駒が二冠馬・三冠馬を出しつつも、ディープインパクト・ハーツクライ・キングカメハメハの種牡馬御三家が中心の時代になっていきます。
オークスこそフランケル産駒ソウルスターリングが勝つことがありましたが、ダービーはこの御三家中心にサンデー系かキングマンボ系の産駒で独占していました。

ところが前述の通り御三家の産駒が減った昨年2023年には2006年以来ノーザンダンサー直系のサトノクラウン産駒タスティエーラがダービー馬になり、まさに種牡馬戦国時代・混沌の時代が再び始まったという感じです。


◆3.種牡馬戦国時代(私の独断偏見)のダービー&オークス馬の種牡馬

1993~1997年の種牡馬戦国時代

基本的に大物輸入種牡馬3頭で分け合う時代で、まだサンデー系の天下というほどではありません。
ダービーオークス以外も比較的多様な系統の種牡馬が勝利・好走しています。
完全に日本競馬は種牡馬の墓場だった時代、内国産種牡馬不遇の時代にメジロライアン産駒メジロドーベルが気を吐いています。

当時はG1馬の生産牧場なども多種多様で、現在(2010年代~)のような社台系1強の時代でなかったことも良い意味で混沌の時代を生んでいたと思います。

2006~2010年の種牡馬戦国時代

この頃には社台グループが輸入した種牡馬サンデーサイレンスの圧倒的影響が固定化されつつあり、社台系1強の時代が形成されつつありました。
サンデーサイレンスが存命時はサンデーが最優先で、産駒は父とも他の馬とも繁殖牝馬を争い合うという状況だったため、後継種牡馬が生まれにくい状況でした。
また、当時サンデー直仔で最も実績がある上で印象度も高い馬というとスペシャルウィークでしたが、彼は非社台系牧場の生産(所有は途中から半持ちに)であり、他のサンデー系種牡馬は社台系生産馬だったため、扱いに影響してた部分もあったかもしれません。

2006年には1986年以来ノーザンダンサー系によるダービー&オークス制覇となり、2007年には牝馬ウオッカがダービー制覇

1993~1997年の戦国時代も1994年には外国産馬ヒシアマゾンが牝馬ながら現役最強の一角として活躍し、当時は外国産馬にクラシック出走権利がありませんでしたが、もし出走権利があれば、ウオッカのようにオークスではなくダービーに挑戦しナリタブライアンと勝負というドラマが生まれていた可能性もあるかもしれません。

2023~2027年の種牡馬戦国時代

2023年にはノーザンダンサー系の産駒がダービー制覇。2006年以来のことでした。
そして今年2024年には牝馬レガレイラが有力馬の1頭としてダービーに挑戦。
この時代の混沌具合を考えると2007年ウオッカ以来のダービー制覇もありうるように思います。
ダービーよりは比較的欧州血統が走りやすいオークスですが、基本的にはサンデー系&キングマンボ系が強い中で2024年はノーザンダンサー/ダンジグ系ハービンジャー産駒チェルヴィニアが制覇。
ダンジグ系がオークス制覇というのもこれも非トニービンのナスルーラ系が勝った2007年に続いて、種牡馬戦国時代ならではに感じます。

まあなんだかんだ言っても基本はサンデー系かキングマンボ系の主流血統馬の活躍が多いとは思いますが、従来よりドンピシャで2010年代以降の日本らしい血統構成の馬が減る影響で欧州要素の強い血統の馬の活躍も増えると思います。

そうなると、従来のデータを覆すG1好走馬やG1勝利馬が出てくるかもしれないと思うので、少し期待したいところです。

◆4.2024年以降の混沌戦国時代に起きるかもしれないこと

1.牝馬によるダービー制覇
2.ダービー好走馬の法則を覆す馬の好走・勝利

(1)牝馬によるダービー制覇

個人的にはウオッカは特別で、アーモンドアイでも2018年のダービーは早熟性の差やレース適性の問題などで簡単には勝てなかったと思ってますが、その理由の一つがウオッカのダービーが種牡馬戦国時代期だったことではないかと思います。
ウオッカと同世代の牡馬は結果的に春秋グランプリ制覇のドリームジャーニーなどを擁しレベル低くはなかったのですが、東京競馬場の適性が高い牡馬がおらず、それがまさに種牡馬戦国時代の影響でダービーに合う血統の牡馬が少ない世代になってしまったのだと思います。
なので、似たような年に牝馬にダービーに強い適性の馬が生まれて、参戦したらあっさり勝ってしまうということは起こりうるように感じます。
それが2024年のレガレイラになるかもしれません。

(2)ダービー好走馬の法則を覆す馬の好走・勝利

①青葉賞組のダービー制覇
今年は難しいと思ってますが、クラシック戦線のパワー・適性バランスが戦国時代は良くも悪くも崩れているので、青葉賞組からダービーを勝つ馬が現れることもあると思います。昨年はスキルヴィングが勝つと思っていたのですが…。

②皐月賞人気薄惨敗組のダービー好走
1998年のボールドエンペラー以来覆す馬が出てきませんがそろそろ覆す馬が出てきてもいいかと思います。
適性が日本競馬にバッチリの馬の割合が減るため、波乱も起きやすくなるのではと思います。

海外馬のダービー好走
そもそも出走馬がほぼ出てこないので起きる確率は低いですが、戦国時代ならば海外馬のダービー好走もありうると思います。
海外馬ではありませんが外国産馬で凱旋門賞馬の全弟であるシンエンペラーが今年ダービー出走予定で、好走可能性も十分ある状況というあたりからもうかがえるように思います。
また、同時にこういう時代の日本馬は本質的に日本適性より海外適性が高い可能性があるので、この時代のダービー馬なら凱旋門賞などに挑戦しても好走確率が例年のダービー馬より高いかもしれません。


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