新馬戦のハイパフォーマンスから将来性は分かるのか考察
◆2024年6月9日新馬勝ちクロワデュノールは名馬確定なのか
2024年6月9日東京競馬場5レースの2歳新馬戦でクロワデュノールが快勝。
走破時計1分46秒7は1800mの新馬戦史上最速。
しかも2歳新馬戦が始まって間もない2歳6月の段階でこの時計ですから、凄まじいパフォーマンスです。
確かに当日はメインのエプソムカップでもレースレコードが出るほどの高速馬場ではありましたが、後半5F57.3のラップも優秀で、「ダービー馬は早くも決まった」「新しいイクイノックス(クロワデュノールもキタサンブラック産駒)」と注目が集まっています。
ただ、個人的には新馬戦の時計とか勝ち方だけでは将来はあまり分からないと思ってるので、現状何とも言えないと思ってるのですが、なんとなく調べてみました。
※一方で2024年宝塚記念では初勝利まで9戦を要したブローザホーンがG1初勝利。新馬は2歳11月で1分37秒3の4着で、他馬の後の活躍を見てもレベルが高いメンバーでもありませんでしたが、早熟化の激しい昨今の競馬界でもこういうこともあります。
◆新馬戦好時計勝ち馬のG1勝率
1800m新馬戦 1:47.9以内
30頭中3頭とはいえ、その3頭がのちのダービー馬2頭、ダービー2着馬1頭なのを見ると1800m新馬戦の好時計勝ち馬は結構有望かもしれません。
とくに8月以前時点での勝ち馬に限れば5頭中1頭がG1馬、それが歴史的名馬イクイノックスということで、有望感は増しますが、イクイノックス以外は重賞も勝ってません。
6~8月に1分47秒台以下の時計を出した新馬戦勝ち馬はイクイノックス含め全5頭が2021年以降、というか2021年でした。(内1頭は6月)
それを考えると単純に近年の芝コースは時計が出やすい&育成が早熟化してるので、6~8月時点の2歳馬でも速い時計が出やすいだけかもしれません。(新潟・小倉・阪神とコースも異なる中で出ている)
1600m新馬戦 1:34.9以内/1:34.0以内
1600m新馬戦の好時計勝ち馬にも歴史的名馬グランアレグリアがいますが、割合でいえば高いという感じではありません。
6~8月に限っても割合はあまり高くありません。
サンプル数が少ないものの1:34.0以内で見ると7頭中2頭、6~8月に限ると3頭中2頭。
ただ、どちらにせよ伝説の新馬戦であるグランアレグリア&ダノンファンタジーの2頭しか該当しないので、データからの信頼性はそこまで上がらないかもしれません。
1800m新馬戦 後半5F58.9以内/58.5以内/58.0以内
後半5Fのラップで考えても単純に時計の速さがのちの活躍を保証するとまでは言いがたいですが、58.5秒以内となると2歳6~8月では4頭中2頭、58.0秒以内となると2歳6~8月では過去に後の皐月賞馬ジオグリフのみの100%のため、のちのG1馬の可能性はかなり高いといえそうです。
また、ジオグリフの新馬戦には3着にのちの菊花賞馬アスクビクターモアがいます。
稍重馬場でこの速い後半ラップの新馬戦を勝ったベラジオオペラ、ダノンプレミアムはG1馬になるとともに、古馬G1でも通用する馬に成長しています(ダノンプレミアムは古馬G1未勝利も2着2回)。
稍重で後半5F58.9以内でのちのG1馬は全6頭中2頭でした。
稍重で後半5F58.5以内でのちのG1馬は全2頭中2頭でした。
稍重で新馬戦後半5F58.5以内の勝ち馬は今の所必ずG1馬になってるので、サンプル数は少ないですがもし今後同じような馬が出てきたら注目してみたい所ですね。
◆まとめ
新馬戦で好時計や優秀なラップを出した馬でも高確率で名馬確定というわけではないですが、後半ラップや2歳6月に叩き出したことを加味して考えると、80%くらいの確率でクロワデュノールはG1馬になるのではと思いました。
故障なく順調に2歳G1に出走できれば、少なくとも2歳G1は勝ちそうだなと思います。
ただ、これでもしG1勝てなかったら凄まじい早熟馬だったか、育成の早熟化や馬場の高速化が極まってきているということだろうと思います。
◆余談 印象に残ってるリアアメリアの新馬戦など
個人的に最も衝撃的だった新馬戦はリアアメリアの新馬戦で、全くの持ったままで後続を延々と突き放していく走りに衝撃を受けました。
しかし、リアアメリアは結果的には主戦の川田騎手曰くその新馬戦以降悪い癖を覚えて頑張らなくなってしまったようで、大物になるどころかG1で3着以内に入ることも1度もないまま(最高着順オークス4着)引退してしまいました。
また、巷の評判でいうと、コントレイル世代のマイラプソディが2歳時点ではダービー馬有力候補として注目されていたものの、2歳時は無敗で3連勝しましたが、3歳以降は三冠馬コントレイルのライバルにすらなれず、G1どころか重賞好走すらできないまま引退となりました。
正直マイラプソディは巷の評判は何故か高かったものの、個人的には何故そこまで評判良いのか分からなかったので、結果活躍できなかった時は残念に思いつつも「やっぱり…」という印象もありました。
まあ、武豊騎手が久々にクラシックを勝てそうな馬の主戦騎手になったかもという期待で下駄を履かせてた所もあるのでしょう。
一方、マイラプソディと馬主が同じドウデュースは父もマイラプソディと同じハーツクライであり、武豊騎手主戦ということで、2歳G1朝日杯出走前の時点で無敗とはいえレース内容は大人しく、マイラプソディの再来ではと個人的には思ってました。
そのため、朝日杯も3番人気とはいえ武豊騎手人気含めての人気だと思っていて、適正人気は5~7番くらいだと思ってましたが、余裕を持ったレース内容で勝ちきったのを見て、驚きました。
その時に実は大物ではという可能性を感じ始めました。
血統や勝ち方が似ているマイラプソディがあまり活躍しなかった影響も多少あるのか、ドウデュースは2歳G1を勝った後でも評判は高くなりにくく、武豊ファン以外には朝日杯は低レベルメンバーだったからと思われ、特にダービーではイクイノックスやダノンベルーガなどの大物候補に到底敵わないスケールの馬という評価が大半でしたがそれらを倒してダービー馬になりましたし、競馬評論家・予想家の大半に低レベル扱いされていた朝日杯も結果的には後の皐月賞馬ジオグリフ、NHKマイルC馬ダノンスコーピオン、同年マイルCS馬セリフォスがいたハイレベルメンバーでした。
そんなわけで若駒時代の巷の評判というのは、今でも良くも悪くも完全には分からないものだと思います。
まあ、2歳時からパフォーマンスの評判が高かったイクイノックスは3歳時こそジオグリフやドウデュースに負けつつも結局その後しっかりG1を勝って最強馬になりましたし、昔だとデビュー前や2歳時朝日杯勝つ前からも評判が高かったグラスワンダーが故障を経た後も古馬G1を勝って最強馬の一頭として活躍するなど、評判通りになることも十分ありますが。