2023年東京優駿(日本ダービー)予想
東京競馬場 芝2400m
皐月賞前もそうでしたが、これまでと違い血統的にもローテ的にも何が起こるか分からない感じがするので、今回のダービーはかなり楽しみです。
予想印
普通に考えればソールオリエンスはかなり強いと思いますし、戦法や枠順的にも死角がなく本命にするべきという感じです。
実際、ソールオリエンスを勝たせたい空気が蔓延していてる感があります。ですが横山武史騎手はまだ年齢的にも若いですし、経験値も武豊騎手の同時期と同じくらいには至ってなくて隙があります。
こういう時に空気読まずルメール騎手のスキルヴィングが勝つような、そっちのキタサン産駒かいという感じになりそうです。
そこを横山家包囲網でカバーし誘導したい所ですが、横山和生騎手のベラジオペラ、横山典弘騎手のトップナイフも決してノーチャンスな馬ではないので、横山武史騎手の援護に集中するというのはいかがなものか…。
あとは今年は順当に決まるかカオスになるかの2択な気がするので一番意味の分からないローテとはいえ力は無くはないドゥラエレーデ、血統的にまだ従来の傾向が続くならロジャーバローズのように大仕事をする可能性があるハーツコンチェルトなどを評価しました。
従来の傾向やジンクスが通用しなくなる?
今年はダービーで圧倒的に強かったディープインパクトやハーツクライといった主流サンデーサイレンス系の産駒やキングカメハメハ、ドゥラメンテといったキングマンボ系の産駒に有力馬がおらず、新興種牡馬のキタサンブラック産駒2頭が1番人気を争っています。
ソールオリエンスは異例のローテで京成杯から皐月賞を制覇。勝ち方も強く、一気に世代のトップに立ちました。しかし血統表には近年のダービーで相性が悪いサドラーズウェルズがいます。
もう1頭の有力馬スキルヴィングは今まで勝ち馬を輩出できていない青葉賞からの制覇を本気で狙ってきています。
それらに次ぐ有力馬のファントムシーフも68年間ダービー勝ちがないテン乗り騎手を鞍上に迎えてダービーに挑みます。
他にも密かに期待が高まっている馬はいますが、皐月賞組では5番人気以内または5着以内の馬しかダービーで馬券内には入っていないというのが近年の傾向です。(それに当てはまらない最後の例は25年前1998年皐月賞9番人気6着でダービー2着ボールドエンペラー)
しかし、人気馬も期待が高まってる馬たちもデータ的には不安要素を持っている馬が多いです。
つまり、人気通り順当に決まっても、波乱が起きたとしても、どっちにしろ例年の傾向やジンクスがいくつか覆された結果になる可能性が高いのではと思われます。
サドラーズウェルズの血
そもそも元々は1999年ダービー3着テイエムオペラオー(父父サドラーズウェルズ)、2006年ダービー馬メイショウサムソン(父父サドラーズウェルズ)などサドラー直系がダービー好走してたくらいなのですが、馬場や展開の高速化が著しい近年はサドラーズウェルズを持っていると人気になっても好走すらできない例が増えていたので血統派に人気のある説になっていました。
例:2019年1番人気4着サートゥルナーリア(母母父サドラーズウェルズ)など
2021年に父母母父にサドラーズウェルズを持つのエフフォーリアがレコード決着のダービーで2着に入りました。まあ圧倒的人気馬でありながら勝てなかったという意味ではサドラーの血が邪魔だったと捉えることもできますが、ハナ差負けですし、母母父のサートゥルナーリアよりはサドラーの血が薄いので適性も近付いたと捉えることもできます。
そう考えるとソールオリエンス(母父父父サドラーズウェルズ)も既にサドラーの血が薄くなっていますから十分適性も足りる可能性が出てきます。
青葉賞
青葉賞からのダービー制覇は前述したサドラーの血を持つ馬や後述するテン乗り騎手のダービー制覇と違って、前例が少ないのではなく全く前例がありません。もし優勝馬で有力馬のスキルヴィングまたは2着馬のハーツコンチェルトらが勝てば史上初めて青葉賞出走馬のダービー制覇となります。
これも不思議なジンクスですが、東京芝2400mという3歳馬には過酷な距離のレースを連戦させるローテーションの疲労面、状態面でのマイナスが大きいのだと思われます。
一応同じローテからともにダービー僅差2着だった2002年シンボリクリスエス、2003年ゼンノロブロイなど好走馬はそれなりに出していますが、この2頭が後に現役最強馬として活躍する歴史的名馬だったのでなおさら「これほど強い馬たちでも青葉賞からダービーは勝てなかった」と青葉賞ローテの悪印象が強くなります。
ただ今回のスキルヴィングは最初から青葉賞からのダービー制覇という道をわざと狙って組まれたかのように青葉賞前に余裕を持たせたローテを組み、余裕を持たせた仕上げで青葉賞を勝ってきているので、初めて青葉賞からダービー制覇という偉業を達成しても不思議じゃないように思われます。
ただ、心配なのは勝てたとしても、その後の疲労や消耗の問題かもしれません。
皐月賞、NHKマイルカップ、日本ダービーのG1レース3連戦出走でダービーを制覇したタニノギムレット、NHKマイルCと日本ダービーの変則二冠を達成したキングカメハメハはともに3歳秋に故障引退しています。
テン乗り騎手のダービー制覇
ファントムシーフの鞍上はテン乗りとはいえダービー最多勝利記録を持つ武豊騎手ですから、テン乗り騎手がダービー勝てないというジンクスを覆すにはこれ以上ないといった騎手です。
また、テン乗りではないですが2021年ダービー馬シャフリヤールの鞍上は前走から乗り替わった福永祐一騎手でした。
まあ日本ダービーの格式を考えるとテン乗り騎手や乗り替わり騎手のダービー制覇が当たり前のようになるのはあまり良いことじゃない気はしますが…。
今後も繰り返される?ジンクス
ダービー初制覇は2度目の正直?
ソールオリエンス鞍上の横山武史騎手は2021年のダービーで1番人気エフフォーリアに騎乗し先行策からハナ差差され僅差2着を経験しています。
もしソールオリエンスで今年ダービーを勝てばエフフォーリアでの惜敗から2年後のダービー初制覇ということになります。
横山武史騎手の「武史」という名前は「“武”豊騎手の歴“史”を超えられるように」という意味を込めて名付けられたそうですが、
武豊騎手は1996年のダービーで1番人気ダンスインザダークに騎乗し先行策からクビ差差され僅差2着となった2年後の1998年にスペシャルウィークで中団から差してダービー初制覇をしています。つまり、惜敗から2年後のダービー初制覇でした。
横山武史騎手とソールオリエンスもダービーで中団または後方からの差し追込の戦法をとる可能性が高く、横山武史騎とソールオリエンスは武豊騎手とスペシャルウィークのように鮮やかな末脚でダービー初制覇を成し遂げて、「武豊の歴史」の再現となるかもしれません。
各馬見解
◎ スキルヴィング C.ルメール騎手
当てに行くならこの馬だなと思います。
ルメール騎手は説明不要のトップ騎手で、東京競馬場も得意で、ダービーでも有力馬に多く乗ってますが、その割にダービー通算1勝は少ないので、ここらへんで2勝目を持って行きそうです。
懸念点は結局はローテーションが響いてしまったという形になることと、同じく青葉賞を勝っているオーソリティのような、強くて東京も得意だが何故かG1に微妙に届かないタイプの馬になりそうな雰囲気が少しある所です。
○ ファントムシーフ 武豊騎手
戦績的には能力十分で実際3番人気想定、前走も皐月賞1番人気の馬です。
しかしハービンジャー産駒、血統的にもテン乗り騎手で挑むというのもイメージが悪く、例年通りならせいぜい好走まで程度の印象です。
ですが、上述したように今年からは従来のダービー主流種牡馬産駒の有力馬が減っていき、血統傾向が変化していく年だと思われるので、サンデー系、ロベルト系、トニービン系、キングマンボ系らの全盛時にオペラハウスからテイエムオペラオーやメイショウサムソンが生まれたような形でハービンジャー産駒からG1戦線で活躍する大物が出ても不思議じゃない気がします。ファントムシーフはそれこそ現状では善戦ホースというか十分実力はあるもののこれといった決め手が無いように見える、高評価もできないが軽視もできないといった微妙なタイプの有力馬ですが、まさに当初はそんなに目立つ印象が無かったものの結果的には王道G1で活躍し世代の頂点に立ったテイエムオペラオーやメイショウサムソンのようになるかもと思います。
また、昨年の同時期、結果的には強烈な決め手を持っていましたが皐月賞時点では多くの評論家や予想家が早熟なだけで距離不安もあり、絶対能力は大したことないと軽視されていたドウデュースが、ダービー終わった後は手の平返して「武豊が積極的に乗っていれば皐月賞もドウデュースが勝って三冠馬狙えた」なんて声が出てきてたくらいですから、ファントムシーフもダービー終わってみたら「落鉄がなければ皐月賞も勝ってたのはファントムシーフだった」なんて言われていても不思議じゃないのではと思います。
当初は◎も考えたのですが希望的観測も大きいので2番手評価にしました。
なんだかんだで昨年のドウデュースとは違ってあそこまでの決め手は持ってない気がします。
そうなると勝つためにはそれなりの策が必要だと思いますが、武豊騎手はダービーを通算6勝してますが、そのほぼ全てが後方からの追込での勝利となっています。スペシャルウィークが中団から差した以外は全て外を回しての追込での勝利。
普通に考えると末脚を活かす競馬をする可能性が高く、善戦止まりになる可能性が高いように思われます。
ファントムシーフが勝つなら武豊騎手が初めて差し追込以外の戦法でダービー勝利をするか、馬がドウデュースのように想定以上の脚を持っていたことを示すかのどちらかかと思います。
▲ ソールオリエンス 横山武史騎手
皐月賞は展開に恵まれた面はあるとはいえ見たこと無いくらいの鮮やかな勝ち方でした。
皐月賞を追い込んで好走した馬はダービー好走率が高いので、順当に考えたらこの馬を中心に予想しないといけないと思いますが、重馬場だったのと、展開に恵まれたことでどこまでの評価が妥当かが難しい所です。
また、横山武史騎手はこのソールオリエンスの皐月賞で久々にG1勝利を果たしましたが、近年G1では有力馬に多く乗っていながら人気の割に好走が少ないことを考えるとまだ調子に不安があります。
まあ正直言えばそこまで評価高くしないのは直感が大きいので、オークスのリバティアイランドのようにあっさりと圧勝するかもしれませんが、個人的にリバティアイランドは普通に勝つと思っていて、実際楽勝だったものの、ソールオリエンスはそこまで信じられない印象です。
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