
食いしん坊競走馬のメモ
◆食欲旺盛、食いしん坊エピソードのある競走馬
メジロラモーヌ(1986)
オグリキャップ(1988)
メジロマックイーン(1990)
スペシャルウィーク(1998)
グラスワンダー(1998)
シュヴァルグラン(2015)
ブラストワンピース(2018)
サリオス(2020)
ドウデュース(2022)
実際には彼らと同等かそれ以上の食欲を持つ馬も他にもいる可能性があると思われるが、たまたま食欲旺盛さが有名になるエピソードが残っている馬や、食欲旺盛だった馬の中でも歴史的名馬で、各種エピソードが残りやすい馬が大食い競走馬として有名になりやすい。
日本の競馬をモチーフとした競走馬擬人化作品「ウマ娘」でもオグリキャップら中心に食いしん坊なキャラ付けや場面が多く描かれる影響もあり、情報が錯綜している。
最近では2022年ダービー馬ドウデュースが実績だけでなく、食欲旺盛で常に元気一杯な馬として人気を博して有名になった。
メジロラモーヌ(1986)
他の牝馬の倍近くの飼い葉を食べていたほど食欲旺盛だったという。
一方で、調子が悪い時には当時の牝馬特有の体調管理の難しさもあって、遠征時などに飼い葉食いが悪くなることも多々あったという、食べる時はよく食べるタイプだったようである。
オグリキャップ(1988)
日本競馬史上最高のスターホース、アイドルホースにして大食い馬としても代名詞のような存在。
競馬をモチーフとしたゲーム・アニメ作品「ウマ娘」でも最大の大食いキャラとして描かれている。
有名なのが常に食事の際は飼い葉桶から顔を上げなかったオグリキャップが珍しく食事を止めて顔を上げたのがジャパンカップで名勝負を繰り広げる牝馬ホーリックスが目の前を通った時という話。
そこからオグリキャップはホーリックスに恋をしたのではという逸話になっているが、そのことがそんなエピソードになるほどに食欲が凄い馬だったことも同時に語られている。
他にも、餌以外、寝藁や道端の雑草も食べるほどに食欲が旺盛だったという話で有名。
また、幼少期に馬体に問題があったものの、それを克服し立派に馬体が成長した一因としても当時から食欲旺盛だったことが挙げられている。
オグリキャップの食欲旺盛さについては反論する者は誰もいないと思われるほどで、通常食欲が減退しやすい暑い夏やハードなローテーションをこなす中でも常に食欲は旺盛だったという。
しかし、そんなオグリキャップでも食欲が衰えたこともあったようで、それが不調だった引退間際の1990年秋のことで、通常残すことがない飼い葉を残していたらしく、それでやっぱり体調が悪いんだなと思ったというようなことを厩務員が特集番組で述懐していた。
ただ、それは当時マナーの悪い取材陣、撮影陣がオグリキャップにストレスを与え続けたせいだったと言われる。
メジロマックイーン(1990)
「ウマ娘」でも主にスイーツ限定で人一倍(ウマ一倍?)食欲旺盛なキャラの1人として描かれている。
史実でも食欲旺盛だったらしく、食べることが大好きという関係者証言が多くあるという。
一方で食事量は目立って多くはなく、自分でレースに向けて食事量を調整していた賢い馬だったと言われている。
スペシャルウィーク(1998)
「ウマ娘」でも大食いキャラの1人として描かれている。
史実でも食欲旺盛で体重が増えすぎたキャリア最大体重時に唯一の惨敗を経験し、体重が軽い時の方が走ることが最晩年に明らかになる。
また、白井厩舎のハードなトレーニングに加えてハードなレースローテーションを戦い抜いても馬体の故障と無縁だったのは食欲旺盛だったおかげと著書に書かれている。
ただ、白井調教師は後に「食欲は普通」と語っていた(2020年代のトークイベントにて)。また、夏負けで体調不良時には食欲が落ちていたという。
一方で、現役当時のスペシャルウィークらの特集番組で1999年秋に不調になった際、白井調教師が「飼い葉は噛みつくほどの勢いで食べてる」といった調子で体調に反して食欲は問題ないと連絡を取り合っている場面がある。
グラスワンダー(1998)
元々馬体重は重く筋肉質で500kg以上だったが、キャリア晩年に10kg以上の体重増でレース出走していたり、放っておくと体重が増えてしまう逸話からから食欲旺盛な馬だったと言われる。
また、現役引退後、種牡馬時代晩年にも、放牧場のたんぽぽをずっと食べていたことが有名となったが、「ウマ娘」ではそれほど大食いキャラとしては描かれていない。
一方で、大食いというよりも、気性が落ち着いているのんびり屋なせいで食べ続けてしまうだけで、大食いというほど食べるのが好きで食べているわけではないという説もある。
シュヴァルグラン(2015)
シュヴァルグランは食欲旺盛で「馬体重のコントロールが課題」と言われていた。
寝藁を食べてしまって太ることもあったようで、間食を防ぐために口かごをつけられたこともあったという。
一方で体調が悪い時には食欲が減退するところもよく見せていたらしく、オグリキャップやドウデュース(体調の悪い時自体がほぼなかったらしいが)らのような食欲の無い時が稀なタイプとは異なるとも思われる。
ブラストワンピース(2018)
現役当時から馬体重が増えやすかったが、引退後に人懐こさと食欲旺盛さで人気を博すなど食いしん坊エピソードが紹介されている。
現役当時も3歳時有馬記念優勝後に「食欲だけは落ちない」と評されたほど、食欲旺盛さに定評があった。
一方、そんなブラストワンピースでも海外遠征後は食欲が落ちて体調に不安が出て、予定したレースを回避したことがある。
サリオス(2020)
馬格が大きく、体重は530kg前後、最大550kgに達した。
牧場関係者からも「牛」と呼ばれるほど体重も増えやすくボリュームある馬体を誇っていた。
現役時代はその馬格の大きさや馬体重の増減が時折話題になっていたが、自身最高馬体重550kg(+8kg)だったG1高松宮記念では初の短距離G1ということもあり15着惨敗。
しかしその次走、-22kgの大幅体重減528kgで臨んだG1安田記念ではタイム差なし3着と復活の好走を見せている。
イメージ通り食欲は旺盛で安定していたと言われている。
ただ、海外遠征時などは一時的に、飼い葉を残すなど食欲減退を見せることもあったものの、数日で食欲が戻っている。
ドウデュース(2022)
3歳時から大食いとして有名で、飼い葉桶から頭を上げないほどに食欲旺盛。
文字通りの道草、道端の雑草をも食べるほどに食事が好きなようで、ネット、SNS全盛時代ということもあり、各種取材陣や厩舎関係者らの発信により食欲旺盛で大食いな馬であることが有名となった。
精神面もタフで、3歳時、初の海外遠征のフランス遠征時も食欲は衰えず、フランスでも道草を食うなどし、体重の増えすぎも凡走の要因という説がある。
また、競走馬は長距離輸送のストレス等で馬体重が大幅に減ることも珍しくなく、それを前提に輸送前体重が調整されたりするが、ドウデュースの場合はメンタル面のタフさと食欲が上回り、長距離輸送を経ても体重が減らないどころか増えてしまうということもあった。
その食欲のおかげで馬体もタフで、現代の競走馬に珍しく疲労の残りにくい、疲労回復が早い体質として有名だった。
一方で晩年5歳秋には、いつも与えた分だけ飼い葉を完食していたドウデュースがレース直前、輸送前に飼い葉を残すようになったという話があり、食欲が衰えたわけではなく、レースを察して備えて自ら食事量を調整するようになったと言われている。