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【続】中国の大学に進学するのはどういう体験か

你好我好大家好!どうもMuneです。先日ついに中国の大学を卒業することができました。休学を含んで5年の間、たくさんの刺激をもらい成長できたのではないかと感じております。

さて、今回は私が3年前に書いたnote『中国の大学に進学するのはどういう体験か』の内容から続けて、あれから3年たった今、中国に進学することで新たに感じたことや考えていることを話したいと思います。


1.向上心という化け物

以前のnoteでは学習面と生活の利便性について軽く触れていました。
今回話したいのはその学習面と生活面の本質、学生と社会の向上心についてです。

日本では大学生活について想像する時、私達は講義を受ける、サークルに参加する、バイトするなどなど色んな事があり、その比重をどれにどれだけ使おうかと打算するはずでしょう。
大学一年の入学時はやる気に満ち溢れてなんでも学びたいとなりますが、だいたいの人は2、3年経つと講義は落単を探し、サークルや恋愛に勤しんだり、バイトを頑張ったりするかと思います。

私もそのイメージの通り、大学入学時から2年生の上半期までやる気に満ち溢れ猛ダッシュしました。そしてイメージの通り2年生の後半に入った時その疲労等から所謂中弛みの時期を迎えました。まあ大学生ってこういうものだよな、きっとみんなもそうだろうと思いたかったのですが、中国の大学の現実はそう甘くありませんでした

中弛み?なにそれ美味しいの?と言わんばかりに周りの中国の学生は入学した当初から失速するどころか加速する向上心に駆られていました。
初めは闇雲に講義に臨んでいた人も大学生活に慣れてくるとみんな水を得た魚のように様々なイベントやディベート大会、研究会、講座に参加し、平時の授業でも一つのトピックについての調査、討論、グループワークで決して手を抜かず我先に取り組む方が大多数でした。

いやいやそんなのガリ勉の集まりじゃないか。と思われた方のいるでしょう。その解釈も間違いではないですが、私が中国の大学生活で感じたのは、その向上心は勉強に限らず、全てのことにおいて強く、特に「競争」が発生する時一段と発揮されるということでした。勉強をめちゃくちゃ頑張る人をガリ勉と呼ぶなら、中国の学生はガリ全とでも呼べるでしょう。それくらい全てのことにおいて全力で頑張っているようだと私は感じました。

無論その大きな環境が私個人に与えた影響も大きく、その集団としての頑張りを追いかけるためにも最初は否が応でも努力する姿勢が生まれました。そして環境の中で、自ら以前よりも進んで物事に取り組み、考える姿勢がついたと今強く実感しております。

ただ、その環境に一日本人としての価値観で臨めたのがなにより有意義なことだったのではないかと感じております。

「朱に交われば赤くなる」なんて言葉がありますが、人は環境によって左右されるということでしょう。ただ、元々色彩を持ったものを朱の中に垂らすとそれ自身は赤みがかりもするが、同時に周りの朱も自身の色彩で染め、互いに中和した色を保てるのだと思います。
海外から来たという視点、現地の学生とは違う価値観でそこで生活することで彼らの良さを吸収し、決して過剰ではないレベルの染まり方をしたのではないとか今感じております。

なぜこんなことを言及するのでしょうか。過剰だとなにか問題があるのでしょうか。少なくとも私は大学生活を通して、私が日本人としての立場でその場にいたことをとても幸運だと感じました。
向上心がある、素晴らしいことです。ただ、その学生たちの向上心もその社会によって生み出され、少し目を細めてみると、一種の向上心の化け物になりかねない瞬間さえあります。その向上心には存在する確かな理由があるわけです。

以前にも『院進学が当たり前になりつつある世界線』というnoteで、中国の社会の競争の激しさについて言及したことがあります。理由はさまざまですが、これからの更なる発展を強く望んでいるからこその躍動なのでしょう。つまるところ、人々が勝ちに貪欲です。とても勝ちにこだわっているのだと私は感じました。

その結果、中国社会に生きる学生は全員が一斉に階段を駆け上がっています。それ故の向上心であり、競争心があります。そのパワーは凄まじいです。しかし、やはり人間ですから時として疲労し、盲目になり、不安にかられる人もいます。そして集団から落とされてはならないという感覚にいる人も少なからずいました。
ややもすると向上心と競争心に追い詰められてはやまるなんてケースになる人も出てくるのでしょう。

その環境にポツンと混じる外国人としての視点は学ぶものがとても多かったと思います。環境のど真ん中にいつつも一歩引いた目線で少しの心の余裕を持って考えれる。それがどれだけ貴重な体験だったのだろうと今振り返ると実感しております。

結果として、中国の大学に進学することで、自身の物事に向かい合う姿勢と同時に社会のことについて考え直すことができ、同時に日本社会のありがたさと不足さも見えるきっかけができたのではないかと感じております。


2.やはり環境が便利すぎる

数年前からモノのIT化、デジタル化が謳われ、気づけばそれらの産業も斜陽産業だなんて言われるようになったのが日本です。中国は汚い、ボロい、危ない、発展してないなんていう印象を人々に植え付けたのも日本です。

しかし、中国での学生生活を経験したことある人はきっと口を揃えていうでしょう「中国便利すぎるだろ」と。本当だから。

中国での生活はモノのIT化、デジタル化の素晴らしさに気づかせてくれました。そして日本はまだまだポテンシャルがあるんだなと考えさせられます。

以前のnoteでは中国は電子決済の普及が凄まじいという話をして、あれから三年経ちました。なんということでしょう、気づいたら光熱費も医療費も野菜市場での買い物も物乞いの人への喜捨でさえ携帯ひとつでできてしまいます。(物乞いでQRコードを出された実体験)

そして更に、三年の間で街中に無機質なモノが増え、利便性が上がりました。無人のコンビニ、食品を提供するロボット、掃除ロボット、監視ロボット、そこら中にあるモバイルバッテリーなどなど。人ならざるモノの活躍が凄まじいです。

サービスでは、9割型スマホで予約制且つ安価なタクシーシステム、チケット窓口のない映画館や観光地、どこにでもある安価なシェアバイク(自転車)、頼んだら次の日に届くネットショッピングに頼んだら30分以内に来る上に店内で食べるよりも安くなるデリバリー等とあちこちでデジタル化や効率化が進み、生活していてその利便性を享受することがとにかく多いです。

仕舞いには、レストランに入店してから出るまで一度も店員とやり取りせずにできてしまうことや現金を出して買い物をしようとすると怪訝そうに断られる時だってあります。
コロナウイルスが蔓延した数年の間にデジタル化が更に加速したのを顕著に感じました。

変化がとにかく早い中国に進学するからこそ、社会が変わっていく様を肌身に感じやすかったのではないかと思います。もちろん、コロナ禍の変化も世界一でしたね。色々と。それはまた別の機会に詳しくと。


3.中国人との交流に終わらない

中国留学=中国語での生活、中国文化の理解、中国人との交流
もちろん上記の理解は間違えないですし、概ね達成できるでしょう。
ただ、そこにプラスαで体験できるのが、中国留学=異文化交流、日中交流、愛国感覚です。

日本人として中国の大学に進学すると意外にも中国人以外とも関わりを多く持てます。中国には日本以外ですと、韓国、マレーシア、タイ、ロシア、アフリカ諸国、ヨーロッパ諸国などと本当にたくさんの国の方が留学に来ています

その方々と中国語と英語を織り交ぜてコミュニケーションしていくのはなんとも不思議な体験になります。そしてその中で、中国に限らず各国の方の文化や背景、考え方を知るきっかけがたくさんできます。

また、北京ではほぼ全ての大学で「国際文化祭」なるものが毎年開催され、各国の留学生で自国のブースを出展し、食文化を主とした交流をすることができます。こうした機会が多いことも留学での知見の幅を広げてくれるいい体験だと感じました。


そして、日本人として大学に所属し、交流に参加するというので避けられないのが日中交流です。中国はやはり日本とは切っても切り離せない縁の深い国です。その国で交流に参加することで、日本にいる時よりも自国のことを考え、国を想う気持ちが強くなります。海外に出ている人の方がずっと日本にいる人よりも愛国心が強かったりするのではないでしょうか。

北京に限らず、中国には日中交流を促進する学生団体がとても多いです。私も「北京日本人留学生社団(BJSA)」という学生団体に所属して色んな大学や駐在企業や在中国日本大使館と関わりを持ち、中国現地で日本人というキャラクターをもって中国との関わりを考え、日本について考える経験がたくさん積めれたと感じております。


時事通信より

まとめ

中国という近いようで遠い国の大学に進学することを選んだのは、明確な好奇心と目的意識を持っての選択でしたが、もちろんそこには不安や苦労も多かったです。
ただ、大学生活を満了した今、振り返ると選択に悔いは残らないと強く感じております。もしもの話は苦手ですが、きっと当時の私がそのまま日本の大学に進学した場合よりも多くの事を学び、刺激を得て、自分を構築できたのではないかと感じております。私の場合そうだと思います。

中国と聞くとまだまだ色眼鏡をかけてしまう人が多い日本社会ですが、日本人がそこで生活し、学ぶことにはとても多くの価値があると感じております。少しでもこれからの社会で互いの理解が深まることを祈っております。

さて、ここまで読んでくださりありがとうございました!!
またこれから中国留学についての仕方だったり、中国についてのことをnoteで話したいと思います。個人の見解ですのであしからず。
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よろしくお願いします!(^v^)p


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