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関わりを失った世界で

コロナ禍において、他人との関わりが大きく減る事となった。
今は少しだけゆるい気持ちになって、気の知れた友人となら飲みに行く事もあるが、全くの他人と会話をする事なんてほとんどないに等しい。
少し前の私は、相席やら街コンやらに繰り出し、ただその場だけ楽しい時間を過ごしていた。馬鹿みたいだな、と思いつつも楽しんでいる自分もいた。きっと相手もそう。皆、日常の何かから解放されたくて街に繰り出しては、非日常の空間で自分をさらけ出す事でストレスを発散していたのかもしれない。
でも、そんな事も今や夢のようなお話になった(自分の中では、と言ったほうが正しいのかもしれないけれど)
何も考えず、ただ同じ空間に居合わせた人間同士が語らう事が出来る世の中になるのは一体いつになるのだろう。オンライン飲み会も一時期流行ったけれど、すぐに飽きてしまった。
やっぱり私は人に会いたくて、話がしたい。難しい状況だからこそ、強く思うようになった。
皆、他人を警戒し生きている。だからこそ爆発的に感染者が増えないのかもしれない。真面目で神経質な国民性の表れなのだろうか。本当に生きにくい世の中になってしまったな、と日々痛感しながら生きている。


先日、仕事に行きたくない気持ちを何とか奮い立たせようと思い、銀杏BOYZのTシャツを着て出社前コンビニに寄った。マスクをした人達と、レジ前の飛沫防止用のシート。今となっては当たり前の光景だ。
一年前はこんな日常、誰も想像していなかった。皆言葉少なにお会計を済ます。レジに並び、ふと店員さんと目が合った。
「銀杏好きなんですか!」
明るい声で私に話しかけてきた。
驚きで一瞬固まったが、何だか嬉しくて他愛もない会話をした。コンビニを出た足取りはいつもより軽く、頑張れそうな気持ちになった。沢山の人に会いたいし話がしたい。
そんな感情が少しだけ浄化されたようで嬉しかった。


いつかまた、会いたい人達みんなに会えますように。

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