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私にとっての関東ジャグリング大会

今回は、2023年3月11日に開催された第1回関東ジャグリング大会について、運営・演者として振り返ります。個人的な内容だけです。雑に書いていきますね。

1.運営として

関東で大会を開く、という話を主催のいのまてぃー君から聞いたのが、確か2022年8月の初旬だったと思います。

「大会が減ってしまった関東で大会を開きたい」
「本格的な競技会ばかりで、なかなか大会に出られない・出ようと思わないジャグラーが良い環境で演技を披露する場を提供したい」

このような想いを彼は話してくれました。私は、すぐにこの理念に惚れました。関東では学生大会が無くなってしまい、関西に行かないと大会に出られない状況でしたし、ジャグリングサークルには必ずと言っていいほど、面白い発想や素晴らしい技術があるにも関わらず、会場へのアクセスや競技レベルの高さを理由に外部へ演技を披露しないジャグラーがいる、と感じていました。

それから2週間ほど経ち、諸事情によって、開催場所はさいたま市のホールに決まりました。これは、私にとって重要なことでした。転勤族家庭で育った私にとって、2023年に在住10年目を迎えるさいたま市は、生まれてはじめて「地元」と呼ぶことの出来るような場所だからです。あらゆるジャグラーが自らの「地元」に集まることにとてもワクワクしました。

私は、会場について色々と調整をしたり、広報や連絡の書類を作成しました。会話が苦手で特に電話が大嫌いな私にとって、会場の調整を電話で(しかも携帯電話の調子が悪く、大学が終わった後に電話ボックスへダッシュする日々)行うことは非常に大変でした(結構失礼なことも言ってしまったらしい)が、今となってはいい思い出ですね。

大会前夜に、眠りそうで眠れないような不思議なときを過ごした挙句、気がついたら訳の分からないお酒を買う夢で、朝だと気づきました。

当日は開場準備の時から何だか元気が出てきて、バタバタしながらもワクワクしていました。しかし、いざ、一番最初のFirst Competition部門の演者から演技がはじまる!という頃になって「無事に大会が終わってくれー」とドキドキしはじめました(胸を触ったら心臓の形が分かるような気がしました)。それでも、エントリーナンバー1番の原さんの演技は堂々たるものでグッと感動しました。泣くんじゃないかなと思いました。ついに大会がはじまったのだと感じました。

会場をウロウロしていると、観客のなかには見知った顔が多く、自分もこの何年かで知り合いを増やしたのだなと感じました。わざわざ福岡から演者・スタッフとしてきゃなし―君が来てくれたのも激アツでした。ひとりぼっちに慣れてしまって、友人からは良く、「ちゃんと友達いるの?」と聞かれるほどの私でしたが、こうして多くの人と交友関係を築くに至りました。ジャグリングの力に乾杯です。

2.演者として

冒頭で述べたのですが、私は第1回関東ジャグリング大会に、演者として出場しました。最初は運営に集中するつもりだったのですが、大学のジャグリング部の先輩から「お前が出るなら行く」「あいつは大会運営をしながら出場もしていた」と伝えられ、演者としても参加しよう!と思いました。

決断の理由は「なんか」というのが1番ですが、やっぱり「地元」で演技がしたかったですし、クラブの演者を1人でも増やしたい!というエゴもはたらいたと思います。

抽選で落ちる可能性があり、まぁ落ちたら運営に集中だな、と思っていましたが、なんと当選しました。

変に勝ちに行く姿勢があからさまな演技を、運営が披露するのはまずいな、と思ったのと、時間が押す危険性が指摘されていたことがあって、演技は3分程度のものにしようと決めました。

演技を作る上で、自らの生きざまを振り返りましたが、思い浮かんだのは、「何をやっても凡庸で、他人には理解してもらえず、すぐに輪から外れて馬鹿にされることばかり」ということでした。なるほど、可能性に満ち溢れたヤバい人生を送ってきたわけだ。

気持ちの良いものだけが演技ではないと感じていたので、もう、テーマは「カオス」にしちゃおう、と考えました。「なんだ、これは!」というものを作るのだと決意したのです。

いい感じにアイデアが思い付き、順調に練習を重ね、前日に人前でリハーサルをする機会を頂いたのですが、気温の変化がいけなかったのか、演技内容に対して頭が冷え過ぎになり、何だかふわふわした感じの内容になってしまいました。

「過ぎたことは仕方がない。当日は、もう自分の生きざまをぶつけるしかない」
私は覚悟を決めました。

当日、昼休みの間も、ちょっとした仕事があったので、アップの直前までバタバタしていました。体がふわふわした感じになって色々と技が上手くいかないことが分かるとかえって冷静になりました。

冷静になったのは、同じ部門に出場する演者がみんな上手いので、私が多少崩れても、会場の雰囲気は持ちこたえるだろう、という絶対的な自信があったからです。軽い気持ちでミスを捉えた訳ではありませんが、道具を落としたら、さっさと拾って演技を作り上げる、という考えを持っていました。

演技時間が近づくと、演技順の近い筑駒生の皆さんが、ガチガチに緊張している様子が目に留まりました。私は、皆さんのものすごい実力は良く分かっていたので、全く無駄どころか逆効果だったかもしれませんが、縮こまった演技だけはどうしてもして欲しくなくて、ずっとくねくねする等ふざけていました。

舞台袖で前の演技を観ることで、自分の演技が小さくなるのを避けるために、舞台袖ではあさっての方向を見るのも有効だな、と思っていました。
しかし、舞台上が非常に気になってしまって、ついつい演技を横から観てしまいました。特に、自分の1つ前のすじゅゆさんの演技は最高でしたね。緊張を感じさせない力強さ、ノービートという技に込めた想いを感じました。前の演技を観ることで、ものすごく力をもらいました。

自分は、舞台に入るときから世界観を生み出すようにしていました。出入りも含めて演技だと捉えています。みんながそうすればいいとは思いませんが、舞台に上がる以上、自分のキャラクターは保つべきかな、とは思っています。

とはいえ、どのようにして舞台に向かって歩くかは、直前まで全く決まっていませんでした。しかし、司会である、めりーさんのナレーションを聞き、会場の何となく温かい雰囲気を察知した瞬間、「いける」と感じて、ふにゃふにゃした男が現れたのでした。

演技中は、多少難易度を落としたつもりでも、何だかポロポロ道具を落としてしまいましたが、会場の空気を掴んだというか、何というか、キャラクター性だけは強く出ていた気がしました。

周りの演者が真剣に、完成度の高い演技を披露する中、もう幼さは必要ないような年齢のくせに、ふざける・落とすでは叱られてもしょうがないかな、選曲をミスったかな、などと思っていました。しかし、感想を聞いてみると褒め言葉ばかり頂いたのでありがたかったです。ジャグリングの演技を作り続けていることを評価してもらえたのもうれしかったです。正直、調子に乗りました。

演者として大会を振り返ると、優れた技術を持つジャグラーが、堂々と演技をするきっかけになりたい!という気持ちに自分が溢れていたのだなと気づくことが出来ました。ジャグラーの皆さんには、演技をするからには胸を張るということ・上手くなることを気にし過ぎず、日々ジャグリングを楽しんで続けることを大事にして欲しいです。多くのジャグラーを支えたい、前向きにしたいと考えているので、もっと経験を積んでいきたいですね。今は、経験に夢中です。

3.特に思い入れのある演者の話

正直に言うと、大会に出てくれた演者全員に対して、強い思い入れがあります。感謝でいっぱいです。そんな中でも、3人の演者をピックアップしていきます。

松田さん

First Competition部門(大会未出場で観客審査)に出場してくれると聞いたとき、「やったー!」と思いました。Malabarsitasの秘蔵っ子といって間違いない方です。気さくで、サークル内でも大人気のようですし、一緒に練習していても楽しいです。クラブを専門とする方ですが、クラブを中心に、ジャグリングについてとても詳しく、海外の面白いジャグラーをinstagramで見つける等、良質なインプットを膨大にしています。天下のMalabaristasですから、バックには日本トップのジャグラーがいて、指導をしてくれるようです。素晴らしい演技をしない訳が無い。大会に出てくれれば、今後、クラブを触ってみたい!と思う人や、演技構成を考える新人さんに良い影響を及ぼしてくれるだろうと思っていました。関東ジャグリング大会を開く上で、ターゲットになっていた人でもあります。実際に、大会では見事3位入賞。Malabaristasの底力を感じました。

あおき君

私の大学の後輩です。First Competition部門に出場してくれました。1年生の頃は何となく幅広くジャグリングに親しむ、という感じでしたが、2年生になると主にディアボロをやるようになったらしく、グングン成熟した面を現しているようでした。学祭の演技を観たとき、すごくキレのある技の出しっぷりで、舞台に上がってから観客にアピールする根性も良く、おぼろげながら、大会とか出てくれたら部内も関東のジャグリング界隈も盛り上がるんじゃないかな、と思っていました。大会では、安定感を見せつけ2位入賞と大活躍。これからも北里大jugg-usを盛り上げてほしいですね。

きなこー君

私の同期で、クラブジャグラーです。Middle部門(歴1~4年)脅威的なスキルを持ち、多くのジャグラーから実力を認められた強者にして無冠でした。一時期はナンバーズ(たくさんの道具を投げるスタイル)路線に行くのかな?という風に勝手に思っていましたが、ナンバーレスで演技を作り、軌道のキレイさで勝負するようになったようで、天井の低い第1回関東ジャグリング大会では際立って活躍しちゃうのでは?と良く考えていました。自分の演技に関してネガティブなコメントの多い彼ですが、本番では抜群の安定感で観客を魅了。先人のスタイルを感じさせつつも上手く技同士が混ざり合っていました。ジュリアン・ラージというジャズギタリストが、ジャズギタリストの仕事を「歴史のなかで大好きなものを集めてまとめること」と言っていたそうです。クラブにも同じような要素があるのかもしれないと感じさせられました。ここだけの話、最奥の席で泣きそうでした。見事3位入賞。クラブジャグリングをしたい、という人が増えるきっかけになるのではないか、という演技でした。

他にも、友達の竹田君の演技は変わらないスタイルでかつ、火力が上がっていて感動した、とか、主催のいのまてぃー君の演技は曲と1ディアパートが特に気持ちいいよねとか、色々と触れたいことはありますが、キリが無いのでこんなもんにしておきます。

4.最後に

改めて、関東ジャグリング大会を開きたい、と言ってくれた、いのまてぃー君に感謝したいですね。色々な立場で大会を味わうことが出来ましたし、私自身の人生に思いをはせることも出来ました。

他の運営スタッフや、当日スタッフの皆さんにも感謝したいです。とにかく大会が無事に終わってくれて良かった。

これからもジャグリングに関わっていきたいな、と考えています。もっと上手くならないとね。特に関東で、ジャグリングが盛り上がるように、出来ることをやっていきたいとも思っています。

関東ジャグリング大会を通して、自分の中で新しい風が吹きました。自分が今までやったことの無いタイプの演技など、色々なことに挑戦していきたいです。

まだ、ジャグリングをはじめて10年も経ってないからね。ここからが勝負だぜ。(終わり)


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