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TVアニメ『平家物語』を彩る植物たち

投稿三回目にして早くも脱線しますが、深夜アニメを観るのが好きだったりもします。ちょうど今、’22年1月からのシリーズではシリーズ終盤になる「『進撃の巨人』The Final Season」がもちろん見逃せませんが、もう一つ私が楽しみにしているのが『平家物語』です。

実はこの『平家物語』、私は第一回目の放送を見逃していて、第二回目からの放送を期待もせずに観てみたら、「わぁぁぁこれいいわぁ~」という感じでもうそこから釘付けになってしまった感じでした。

アマプラで見逃し配信していることに気づいたのが今日。
初回からこれで観ることができました。今日の投稿はその第一回目のお話を観ての感想です。といっても今日の感想は物語の本筋というより、ちょっと別の角度というか、そこに登場している植物について書いてみようと思います。

このアニメ、巷では賛否両論あるようですけどわたしはこのアニメ絵が好きです。第一回目の冒頭ちょうちょと白色の花木がなんとも意味深に映し出されます。

第一回目に登場した主な植物たち

夏椿

夏椿(別名沙羅ノ木)/ツバキ科     ~TVアニメ『平家物語』より~

冒頭は淑やかなBGMが流れるのみでナレーションもなく次のくだりに移ったため当初その時映し出されたこの白い花を付けた植物の名前が思い当たりませんでした。花は茶の花にも似ますが葉っぱが明らかに違います。なので椿でもないなぁと見過ごします。

夏椿だと思い当たったのはその後しばらくしての事、もう一度件の花木が映し出され、カメラが寄って行き花がポトリと落ちました。
そのとき琵琶の弾き手がかの有名の平家物語の一節を歌い上げました。

祇園精舎の鐘の声
諸行無常の響きあり
沙羅双樹の花の色
盛者必衰の理をあらわす
おごれる人も久しからず

平家物語

「ああ、夏椿ね」と思わず口に出しました。傍にいた家人は訝しげに思ったかもしれません。(「またか。。」かも?最近はほっといてくれます)

本当の沙羅双樹は日本には自生していないそうですが、平家物語で言う沙羅双樹は多分この木です。最近は庭木として人気のある木ですが、山野で自生する日本の在来種です。

八つ手

この第一話、他にも味わい深く描かれた植物が次々と登場しました。

八つ手/ウコギ科     ~TVアニメ『平家物語』より

ヤツデの別名にテングノハウチワ(天狗の羽団扇)というのがあるそうです。源義経が幼い頃鞍馬の山奥で天狗に剣術を教わったという逸話は有名なお話。知らなかったけれどもヤツデの葉っぱは普通八ツではなく七か九の奇数に裂けるのだそうです。なのに八つ手なのですね。
劇中では暗がりに白い花が咲いていたのが印象的でした。
そういえば八つ手って決まって陰に隠れるように生えてるくせに葉も花も不思議と鮮やかにそこに居わす印象ありますね。

山桜

山桜/バラ科     ~TVアニメ『平家物語』より~

花と葉が同時に出ているのでおそらく山桜かなと思います。
この時代はまだソメイヨシノはないはずですし。
平家物語と山桜の関係はきっと文献を探るといろいろ出てくるように思います。すこし検索しただけでも「吉野桜」「義経千本桜」「平家一本桜」など見つかりました。

紅葉

紅葉/ムクロジ科     ~TVアニメ『平家物語』より~

劇中、主人公である琵琶がのちの高倉上皇の妃になる徳子との出会いの場でもみじが色づくシーンで登場している。
定かではないけれども平家物語で高倉上皇を紅葉のように優しいお方だと評しているようなので何かの隠喩が込められているのかもしれませんね。

松/マツ科

劇中に登場する松は赤松でしょうか?それとも黒松でしょうか?
赤松は別名メマツ/女松、黒松は別名オマツ/男松とも呼ばれますが外観の印象として黒松は豪奢、赤松は華奢なイメージがあるからでしょうか。
因みに私の育った町は海に面した港町だったのですが小学校の周りを大きな黒松林が囲んでいました。また、中学校はそこから少し丘を登った先にあったのですが周りの雑木林には赤松が生えていました。
劇中に描かれた松の枝ぶりだけを見ると個人的にはどことなく清楚な感じもして赤松のようにも感じますが定かではありません。
海を愛した平家であること武士の館であることからもしかしたら黒松かも?
舞台が京都という立地からすると海から遠いから赤松? などといろいろ考えてしまいました。

その他

この他にも椿や水仙、植物ではありませんが蝶や(平家?)蛍など、劇中にはそういった自然の生き物たちが物語のわき役として時には季節の移ろいを、また登場人物の心の移ろいを描く脇役として彩りを添えているように感じました。

おそらく、私のような只の植物好きじゃなくて、古典文学にも精通していたり、それ以外の別の角度から観てもこの作品を楽しめるんじゃないかと思います。
オープニング曲の歌詞に「最終回のストーリは初めから決まっていたとしても・・・」というくだりがありますが、なかなかに奥行きのありそうな作品、今後もちょっと目が離せません。


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