奈良県奈良市|80%の業務効率化に成功したRPA導入事例
奈良市役所でRPAを導入し、業務時間を約80%短縮したという事例についてご紹介します!
最近頻繁に取り上げている「RPA」とは、自動化ソフトウェアロボットのことで、定型作業や単純作業をRPAに覚えさせることで手作業を自動化するというものです。ここ数年で、地方自治体や中小企業でRPAの導入がかなり進んでいます。
このように聞くと、単純作業を自動化してくれるから便利そうだな、くらいに感じると思いますが、RPAの効果はそれだけでなく、業務フローが可視化されて業務の標準化が進んだりと、副次的な効果も表れるのが特徴です。
ということで、RPAの導入により業務効率化だけでなく副次的な効果も得られた奈良市役所の事例についてお話したいと思います。
RPAの導入はどれほど進んでいるのか?
まず始めに、RPAの導入が具体的にどれほど進んでいるのかについて紹介ししたいと思います。
■地方自治体での導入状況
・都道府県:85%
・指定都市:70%
・市区町村:18%
※総務省「自治体におけるAI・RPA活用促進」より
市区町村ではまだあまり普及していませんが、都道府県や指定都市ではかなり導入が進んでいます。詳しくは、以前書いたこちらの記事ご参照ください。
■企業での導入状況
年商50億円以上の大手・中堅企業:39%
年商50億円未満の中小企業:9%
※MM総研の調査結果(2019年度)より
地方自治体と比べると実はそれほど導入がされていない点は少々驚きました。ただ、現在まさに導入を検討していたり、導入中の企業も少なくありません。2021年度、2022年度の導入見込みの数字を見るとかなり増えそうであることが分かります。
※出典:RPA導入率の推移(MM総研)
中小企業でRPA導入が進まない理由
大手企業と比較すると、中小企業でのRPA導入はまだまだ進んでいないことが分かりました。2022年度の見込み数字を見ても28%です。
自分は普段中小企業向けにシステムコンサルティングを行っているのですが、確かに導入は進みにくいかもしれないなと感じています。
なぜ中小企業でRPA導入が進まないのかというと、「人がいない」「ノウハウがない」という2点が考えられます。
■人がいない
RPAを導入する企画を立ててプロジェクトを推進する人、RPAを構築する人、構築を外部委託する場合はRPA導入を支援する人、導入後にRPAのメンテナンスを行う人、など、RPAを導入するとなると一定程度のリソースが必要となります。
しかし、中小企業では特にIT人材が不足しているので、導入してみたいと思っても、導入を推進できる人がいないという状況になってしまいます。
■ノウハウがない
RPAを導入すると具体的にどういう効果が得られるのか、どういった成功事例があるのか、といったノウハウも不足しているため、具体的に導入が進みにくいという理由もあります。
IT人材が不足してる点とも重なりますが、どうすればよいか分からない状態になってしまうということです。
人もリソースもいない状態だと、外部のコンサルやシステム会社の力を借りながら導入することが現実的かなと思っています。(高単価な会社へ依頼する必要はないとは思います)
このように中小企業では実はそれほどRPA導入は進んでいませんでした。
一方で自治体ではRPA導入が進んでいます。これはRPAを積極的に活用するという方針を明確に打ち出して体制を作って推進していたり、実証実験ということで一部資金面でも補助を受けながら進めることができていることが要因ではないかと思います。
奈良市役所でのRPA導入の成功事例
奈良市役所ではRPAの導入に成功していまして、いろいろなシステムやソフトからデータを抽出したり加工、印刷していた作業を自動化することで、約80%もの業務時間短縮を実現しました。
システムからデータを抽出する、データを加工する、印刷する、転記する、といった単純作業はRPAが最も得意とする領域なので、RPAの特性を活かして導入できています。
業務時間が短縮されることで生まれた時間は、他の業務にあてることができるようになりますし、転記ミスなどが発生しなくなるので、サービスの質向上にも繋がります。
RPA導入による副次的な効果
RPAの導入にって生まれた副次的な効果として、
◯ 業務の標準化が進む
◯ 業務フローが可視化される
◯ 意識変革の契機になる
という点が挙げられます。
■業務の標準化が進む、業務フローが可視化される
RPAを導入する際は、業務フローを明確にする必要があります。なぜなら、自動化したい業務フローが明確になっていないと、RPAに覚えさせることができないからです。
すると必然的に業務フローを可視化することになります。
また、RPA導入で注意すべき点として、今行っている業務をそのままRPAへ覚えさせると失敗することが多い、ということがあります。
例えば、AさんとBさんで同じ業務を担当していても手順が少し違う、ということがよくあります。これをそのまま自動化するとなると、同じ業務でも2パターンの手順をRPAへ覚えさせなければならず、RPAの構築が大変になりますし、運用開始後にエラーが発生するリスクも高くなってしまいます。
そこで、RPA導入の前にまず業務を標準化して、AさんとBさんが同じ手順で業務できるようにする必要があります。そうすることでRPAの構築も容易になります。
といったようにRPA導入により、業務標準化もできます。
■意識変革の契機になる
最後に意識面ですが、こちらもかなり重要だと思います。RPAを導入してみると、「こんなに自動化できるんだ、それなら別の業務でもこうすれば効率的に自動化できそうだな」といったような意識が生まれやすくなります。
普段の業務を淡々とこなすのではなく、どうやったら効率化できるのかを意識的に考えることで、実際に業務効率化に向けた行動に繋がるので、意識変革できるという点は、実は隠れた効果として最も大きいかもしれませんね。