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福岡県|勘定系システムを全面クラウドへ、ふくおかファイナンシャルグループの取り組み
金融業界における"ニューノーマル"の事例です。
銀行・証券会社の勘定系システムをパブリッククラウドへ
ふくおかファイナンシャルグループは、福岡銀行や熊本銀行、証券会社などのグループ会社です。
このふくおかファイナンシャルグループで使っている勘定系システム(基幹系システム)をすべてクラウドへ移行した、という事例です。
Googleのクラウドサービスである「GCP(Google Cloud Platform)」を採用しています。
なお、インフラのクラウドシェアとしては、AWS(Amazon Web Services)、Microsoft Azure、GCP(Google Cloud Platform)がトップ3ですね。
金融業界以外では、基幹系システムをクラウド化することは当たり前なのですが、金融業界においては非常に珍しく、かなり先進的な事例です。
金融業界でも営業系システムをクラウド化することはあっても、最も肝心要である勘定系システムをクラウド化した事例は、国内でもほとんどありません。
金融業界でクラウド化が進まない理由
私も10年ほど前は、金融業界のエンジニアとして仕事をしていたのでよく分かりますが、勘定系システムはCOBOLなどの言語で構成されているケースが多いです。リプレイスしていたとしても、COBOL→Javaへの切り替えです。
つまり、クラウド化が進まない理由の一つとしては、まだクラウドへ移行できる状態ではないという点です。
クラウド化する流れとしては、まずは仕組み(言語)を変えてシステムの構成を大きく変更し、別の場所へ移行しやすい状態になった上でクラウドへ移行、という流れが一般的です。
「まずは仕組み(言語)を変えてシステムの構成を大きく変更する」というファーストステップを完了できた銀行・証券会社が徐々に増えだしている状況なので、クラウド化はもう少し先になります。
また、もう一つの理由としては、やはりセキュリティの課題があります。どうしても、重要なデータを外に出すということをリスクとして捉えてしまうためです。
(クラウド=危険、という考えの方は減ってきていますが…)
内製でアジャイル開発をして進めた
話しを戻しまして・・・
今回のふくおかファイナンシャルグループの事例では、アクセンチュアと提携し、システム子会社を設立した上で、システム子会社が内製で開発を進めました。
今回上手くいったポイントは内製するためにシステム子会社を作るまでに踏み切った点だと考えられます。
金融系のシステムというと、ウォーターフォールで開発を進めることがほとんどなのですが、小会社を設立し内製化できる体制を整えたことによって、アジャイル開発を実現しています。
また、バッチ処理ではなくリアルタイム処理にしたり、APIを多用したり、といわゆる最近の業務システムにおけるデファクトスタンダードを取り入れています。
金融業界においてはニューノーマルですね。
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