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福井県坂井市|川に人が集まるプラットフォーム構築、売上が前年比1.5倍へ
坂井市は福井県の北部に位置する街で、海・川・山と自然あふれる場所です。余談になりますが、海沿いの東尋坊WebカメラLIVEビューというのがあり、Webでも楽しめます。
全国から釣り人が集まる川釣りの聖地である福井県で直面した課題とICT活用の事例です。
釣り人口減少と漁協の経営状況悪化
福井県坂井市だけの課題ではありませんが・・・川釣り市場は全国的に減少傾向にあります。20年前は約300万人でしたが、今では半分に近い約170万人まで減少しています。
川釣りする人口が減ると、釣り堀の経営が悪化するだけでなく、遊漁券(都府県知事の認可を受けた各河川を管理する漁協が発行する釣り券)の購入数が少なくなるため、漁協の経営状況が悪化します。
(漁協=漁業協同組合)
こういった経済的な損失は漁協だけでなく、地域全体にも影響してきます。なぜなら、川釣りしにくる人たちは当然現地でご飯を食べますし、現地で買い物をするからです。現地でお金を落とす人が減っているので、街全体の課題でもあります。
この課題の原因の一つに、「深夜・早朝から活動する釣り人が、遊漁券を買いたいときに買えない」という点があります。
遊漁券販売のEC化「フィッシュパス」
そこで、24時間いつでも遊漁券が購入できるスマートフォン・タブレット端末向けのアプリ「フィッシュパス(FISH PASS)」を2017年にリリースしました。
このアプリでは、例えばアプリを利用する釣り人の位置情報を取得することで、どこの川の、どの辺りに多く人が来るのかという情報が分かります。人が多く訪れる場所は監視業務や河川整備を強化し、それほど人が来ない場所は監視業務を減らすことができます。
また、オンラインで遊漁券を販売することで、漁協の人たちが手作業で販売していた作業が一気に減りますので、そういった効率化も実現しました。
売上が前年比1.5倍へ
アプリ導入後、遊漁券の売上が前年比1.5倍となった漁協もあります。他にも事業を黒字化できた漁協が多数出たようです。
漁協の監視業務については、1日6時間かかっていたところ、今では1日2時間へ削減できました。
業務効率化や売上向上だけでなく、親子釣り教室のようなイベントを開催してアプリ利用者へ情報発信していくなど、釣り人口を増やす施策にも取り組んでいます。
このアプリでは「漁協」「地域」「自然」を結びつけることができるため、プラットフォームの役割を担っています。
ポイント
売上が上がったり、業務効率化を実現できたり、目に見える成果をちゃんと出すことができたということは非常に重要な点です。
その成果を出すためには、見えないところで泥臭く努力されている方がいた、というのが今回のポイントです。
フィッシュパスで遊漁券を販売することは漁協にとって明らかにメリットがあります。しかし、、、組合員の方は高齢者が多く、システムに詳しくない人ばかりでした。
そこで、フィッシュパスを開発した株式会社フィッシュパス代表の方が、組合長と何度も膝を突き合わせて話しをしていました。
「漁協の組合長と20回も30回も膝を突き合わせて話したこともあります。」
今回の場合、いくらサービスの機能面を説明しても納得されたなかったと思います。こんな便利な機能があります、こんな使いやすいシステムです、といくら言っても聞いてもらえなかったのではないでしょうか。
それよりも、まずは現地の方々との信頼関係を作ることは最優先にされた点が本当に素晴らしく、見習うべきポイントでした。代表の方がおっしゃっていたこの一言に尽きます。
「サービスをPRするよりも、信頼関係を築くことや、川を大切にする気持ちを理解してもらうことが大事だと学ばせてもらいました。」
システムに疎い人たちへ新しい仕組みを道入するときは『信頼関係を築くこと』が最も重要ということを学ばせて頂きました。
※画像や本文の一部を農林水産業みらい基金さんからお借りしました。ありがとうございました。
フィッシュパスを開発する株式会社フィッシュパスの資金調達
最後にまた余談です。
つい先日、福井県初の官民ベンチャーファンドから、フィッシュパスを開発する株式会社フィッシュパスが資金調達を実施されていました。
福井県で成果をあげた「フィッシュパス」の成功事例を全国へ展開していく狙いがあるようです。素晴らしいです。