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宮崎県日南市|クラウドソーシングによるテレワークを推進し月収20万円ワーカー育成、IT企業12社の誘致に成功
宮崎県日南市は、宮崎県南部に位置し、国内で初めて設置された海中公園である日南海岸国定公園などがあります。歴史と自然あふれる観光の街です。
関東にも数多くある「塚田農場」の本店は宮崎県日南市です。
宮崎県日南市の取り組みは、テレビ東京の「ガイヤの夜明け」をはじめ複数のテレビ番組で取り上げられたことがあるので、どこかで耳にしたことがあるかもしれません。宮崎県日南市、日本で最も早くクラウドソーシングを活用した自治体です。
IT・テレワークを活用した事例についてご紹介します。
年間所得額の低下、若者の流出
宮崎県日南市では、年々若者が流出してしまい、働き盛りの人口が減少してしまうという課題を抱えていました。地元から若者が出ていってしまう、というのは他の地域でも直面している深刻な課題ではないかと思います。
若者が流出してしまう要因には、所得額が少ないことや働く場が少ないことが挙げられます。実際、宮崎県日南市では農林水産業への依存度が高く、首都圏と比べて年間の所得額が低かったのです。
そのため、働く場を創出するということが一つの対策になるのではないか、ということで、自治体が主導して官民連携によって取り組みが行われました。
民間から人材を呼び、企業との協業でテレワークを活用へ
テレワークへ取り組むきっかけとして、﨑田恭平さんが当時33歳で市長に任命されたことが大きく影響しています。
※日南市長 﨑田恭平さん
まずはじめに市長は民間企業から2名の人材を呼び、日南市に定住してもらい、一緒にプロジェクトを推進しました。地産品をECサイトで展開したり、クラウドファンディングを使って予算を集めて取り組みを行ったり、様々な取り組みを行いました。
そして、雇用を創出するための施策にも取り組みました。
◯コワーキングスペースを開設
IT企業誘致とテレワーク推進のために、築90年の「油津赤レンガ館」にコワーキングスペースを開設しました。それだけでなく、商工会議所の隣にインキュベーションオフィス(起業や創業をするために活動する入居者を支援する施設)も提供しました。
◯Webライターの育成
雇用創出のため、時間と場所の自由度があり、短期間の業務単位で仕事を受けられるクラウドソーシングを活用することにしました。働きたくても働けない子育て中の主婦、高齢者、障がい者、農林漁業従事者にとって、時間と場所を自由に選べるということは非常に大きな利点であるためです。
クラウドソーシングは「クラウドワークス」を活用し、テレワークで対応できるWebライティングのできる人材育成へ取り組みました。
日南市が応募者の中から選定した3人の市民が月収20万円を目指して、クラウドソーシング(クラウドワーキング)への挑戦をスタートし、このプロジェクトの様子が、テレビ東京の「ガイアの夜明け」などに取り上げられ、話題を呼びました。
クラウドワークスのサイトでも紹介されています。
月収20万円ワーカーの育成へ注力
クラウドソーシングでは、時間や場所の制約なく仕事ができる一方で、これを活用して十分な収入を得るためには一定のスキルや経験が必要です。そのため、日南市はクラウドワークスや地元企業と提携し、月収20万円ワーカーの育成に励みました。
Webライティングの仕事で月収20万円を稼ぐためには、毎日コツコツと努力をして、仕事の量と質を上げていく必要があります。
(専門家を除き、Webライティングは1文字1円以下であることが多いので、3〜5,000文字の記事を書いても1,500〜2,500円くらいです)
しかし、日南市の職員とクラウドワークス社が協力し育成に励んだ結果、最終的には月収20万円には達しなかったものの、毎月の家賃と光熱費が払えるくらいの月収を得ることができるようになりました。
IT関連企業を12社誘致に成功
「Webライティングで、実際にある程度の月収を得られる仕事ができた」という事実は非常に影響が大きく、東京にあるWebメディア運営企業が日南市にオフィスを開設し、現地でライター職や事務職を50人採用する、といったことが起こりました。
こういった取り組みが脚光を浴びることで、IT関連企業を12社誘致することに成功しました。日南市へ企業を誘致することで、結果的に雇用の創出を実現できました。
「日南市式テレワーク」の推進による新たな働く場の創出(宮崎県日南市)
ポイント
今回のポイントは「体制」と「人」です。
月収20万円ワーカーの育成が、企業誘致にも大きく貢献できた取り組みでしたが、Webライティングで月収20万円を達成するためにはかなり時間がかかります。どれだけ早くても半年はかかります。
一人で取り組んでいたら途中で挫折していたと思いますし、実際に危ない時期もあったようです。
思うように収入を増やせず、「こんなことを続けても本当に稼げるようになるのか」と不安を抱き、モチベーションが落ち込んでしまうことが度々ありました。
( https://crowdworks.jp/times/interview/2814 )
この危機に対して、日南市の職員が対面で励ましながら、分からないところは相談にも乗り、声を掛け続けたようです。まさに伴走する形です。クラウドワークス社もオンラインチャットなどで、継続的にアドバイスを行っていたようです。
このように、仕組みだけでなく、新しい取り組みを継続できる「体制」「人」が大事だということがよく分かります。教えてくれたり、励まして声を掛けてくれるだけでも、利用者としては非常に心強いと思います。
ICT活用として新しいシステム・仕組みを導入するときも同じです。
システムは手段(ツール)でしかないので、その手段を継続的に活用するための体制が必要ですし、一緒に伴走できる人が重要です。
さいごに、、「地方創生IT利活用推進会議 ~日南市~」が公表されている資料が本当に素晴らしかったので、1枚掲載させて頂きます。
本当にこの1枚に尽きる・・・と思います。
※出典: https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/region/dai1/siryou9.pdf