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『燃ゆる女の肖像』の魅力 ネタバレなし
2021年上半期僕が劇場でみた中で群を抜いて好みだった作品はこちら。ここまで儚く美しい究極のラブストーリーはなかなかないです。Filmarksでは現在"4.1"という高評価!初日満足度も1位になっていましたね。
さらにカンヌ国際映画祭 脚本賞&クィア・パルム賞をを受賞しており、世界各国の映画賞を44受賞し124ノミネートされた映画です。
主役のマリアンヌは18世紀におけるフェミニストであり、社会ではまだまだ女性を受け入れる体制が整っておらず、固定された概念の中、強く愛し合う2人を描いており、その一つ一つの描写は力強く美しいです。
今回はこの映画の魅力をお伝えし、ぜひ視聴してほしいです!
燃ゆる女の肖像
監督
セリーヌ・シアマ
キャスト
マリアンヌ -ノエミ・メルラン
エロイーズ - アデル・エネル
ソフィ - ルアナ・バイラミ
伯爵夫人 - ヴァレリア・ゴリノ : エロイーズの母親。
あらすじ
画家のマリアンヌはブルターニュの貴婦人から、娘のエロイーズの見合いのための肖像画を頼まれる。だが、エロイーズ自身は結婚を拒んでいた。身分を隠して近づき、孤島の屋敷で密かに肖像画を完成させたマリアンヌは、真実を知ったエロイーズから絵の出来栄えを否定される。描き直すと決めたマリアンヌに、意外にもモデルになると申し出るエロイーズ。キャンバスをはさんで見つめ合い、美しい島を共に散策し、音楽や文学について語り合ううちに、恋におちる二人。約束の5日後、肖像画はあと一筆で完成となるが、それは別れを意味していた──。(公式サイトから引用)
監督はセリーヌ・シアマさんは「水の中の蕾」で知られており、エロイーズ役のアデル・エネルと交際していたみたいですよ。この映画の制作直前にお付き合いを解消したみたいです。それを聞くとこの映画はセリーヌ・シアマさんにとって今作は大きな気持ちがこもっているんじゃないかなと思ってしまいます。
ちなみに新作『Tom Boy』を9/17に公開されます。
もちろん見に行きます。
ノエミ・メルランはちょっと勉強不足なのですが、エマ・ワトソンのような凛とした顔立ちがすごく好きです。また『恋する遊園地』という作品、かなり気になっていて、調べてみたらどうやら彼女が出演しているみたいです。視聴するのが楽しみになりました。彼女が出ている作品でおすすめがあったら教えて欲しいです😚
そしてアデル・エネルは有名で知名度が割とあるイメージですね。『午後8時の訪問者』やそれこそ同監督の『水の中のつぼみ』にも出演されています。結構早い段階で映画賞などを色々と受賞されていて、かなり注目のフランスの女優です。この女優さんは特に唯一無二な演技って感じがするので非常に好きです。(語彙力)
(左からノエミ・メルラン/アデル・エネル/セリーヌ・シアマ)
燃ゆる女の肖像の魅力①
~洗練されたサウンドと曲~
この映画は劇場で見るべき映画だと思います。
もう終わってしまっているので見るのならばヘッドフォン、イヤホンで大きな音で見る事をお勧めします。
何がすごいって、とにかく音がいいんですよ。(笑)
日常生活において溢れている音。島という静かな場所だからこそ感じる音のコントラストは秀逸。
キャンパスに筆を擦る音、ドレスが擦れる音、薪が燃えている音、吐息、古い屋敷の軋む音など、何故かかなり心地よい。そこにたまに荒々しい波の音が入ることによって音に対する感性が揺れ動きます。この感覚はあまり映画を見てきて感じなかったです。今作の繊細な音は冗談抜きで"ASMR"のような感覚です。
またこの映画の最大の特徴は音楽が劇中で2曲しか使われていないこと。でもそれがかなり映画として活きています。基本的に静かに進行するので、音楽が流れた時のインパクトは凄い。胸の内から込み上げる熱い何か…
下記にURLを載せておきますが、『La Jeune Fille en Feu』という曲が流れた時の画面から伝わる力は計り知れない…
この素晴らしい音楽によって、「あ、この2人の間に何かが動いたな」と示唆することが出来ます。セリフなどの言葉を介さずとも映画の中の登場人物の心情を描いているのがなんとも素晴らしい…。それは音にこだわっているからだと思います。
とにかく!!!見て聴いていただければ分かると思います!!
劇中で流れる曲↓↓↓
燃ゆる女の肖像の魅力②
演出が反則!
演出がとにかく素晴らしい。全部語るととんでもない事になるので、私が1番気に入った演出、シーンを抜粋します。
私が大好きなシーンは「出会いのシーン」です。
肖像画を書かなければならないマリアンヌはエロイーズの顔を早くみたいというもどかしい気持ちを持っており、姉が自殺をしたという報告をエロイーズの母から彼女と初対面の直前に言われます。またエロイーズは結婚を拒んでいたので、前の画家には顔を一切見せず、そのまま帰ってもらったという事もあります。そういった不安、もどかしさを抱えたまま我々(観客)はマリアンヌとエロイーズの初対面を迎えます。
玄関に立っている後ろ姿のフードを被ったエロイーズにまず出会います。それを追いかけるマリアンヌ。顔も見えないまま外に出て、海岸まで走ります。走る道中にフードがとれ金髪という事が分かります。そして岸付近に着いた時に彼女が振り返り、「走る夢を見てました」と言葉を放ち、初めてお互いの顔を合わせます。この段取りが完璧すぎる!なんだよこれ!ヤバすぎる!今までこんなラブストーリーありましたか?(興奮Max)
僕は劇場で拍手しそうになりました()
こちら実は本編映像がちょろっと公式で出ています。
まあ見ないで本編を見てほしいですが、前知識を入れたくない人はここまで見ていないと思うので、一応載せておきます。
燃ゆる女の肖像の魅力③
この映画は表情に注目!
表情にフォーカスする映画はたくさん勿論ありますが、この映画は特に注目して見ると面白みが増します。
そもそも"肖像画を秘密で書く"という設定自体が表情にフォーカスしています。マリアンヌはエロイーズにバレないように彼女の顔を観察するからです。
エロイーズの細かい表情を観察していく過程でマリアンヌの中に恋心が芽生える。肖像画を書く上で、「見る見られる」の関係が映画として非常に面白い。誰が何を見て何を感じとったのか、見られて何を感じるのか などそういった所に非常にこだわっている印象です。そこを感じ取る事が監督の狙いを汲み取ることだと思いますし、この映画の楽しみ方だと思います。
2人はやがて徐々に恋に落ちていくのですが、最初強ばっていた2人の表情がどんどん柔らかくなっていくのも見どころ。やっぱり役者ってすげぇなって改めて思います。
燃ゆる女の肖像の魅力④
どこを切り取っても絵画のような映像美
この映画はフランス・ブルターニュ地方の孤島に実際に残っていた城を舞台に行われており、ゴミひとつ落ちていないようなところで撮影されています。自然に溶け込むドレスの色味。そして印象的な炎のシーン。激しい波や風で激しく揺れる草木。パワーのあるモノから柔らかいモノまで映し出し、なんとも言えない映像美を醸し出しております。それもそのはずで製作チームがかなり力を入れたみたいです。城にある家具、木材、備品、そしてドレス。すべて手作りて映像に溶け込むように作られています。
この映画は本当に見ていて視覚的にも聴覚的にも癒されます。
以上が"燃ゆる女の肖像の魅力"でした。この映画はラブストーリーではありますが、「バレないように肖像画を書く」 「肖像画を完成させてしまうと別れが来る」などと物語が進んでいく上で起こる"障壁"の描写が独創的です。
独創的なのはこれだけではないので、それは見て楽しんで頂けたらと思います!
LGBTを題材にした映画なら「君の名前で僕を呼んで」が好きな人にはかなりハマる作品だと思います😚
是非🔥