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“性の価値観”に支配されていない?——私たちは一人の人間として見られているか
セクシュアリティについて考えるとき、
私たちは無意識のうちに「決められたルール」の中で話していることが多い。
「女性は受け身」「男性がリードするもの」「純粋な方がいい」
——こうした価値観は、いったいどこから来たのか?
そして、それは本当に「当たり前」なのか?
私は、セクシュアリティはもっと自由で、対等なものであるべきだと考えています。
そのために、まず「今ある価値観」を少しだけ疑ってみたいと思います。
性の主導権はどちらにある?
「女性は受け身であるべき」
「男性がリードするもの」
こんな前提を、私たちはどこで覚えたのでしょう?
恋愛ドラマでも、漫画でも、ポルノでも、
「女性は恥ずかしがるもの」「男性が積極的に求めるもの」という描写はよくあります。
そういうものをずっと見ていると、「性とはそういうものだ」と思い込んでしまう。
でも、実際には違うはずです。
女性が主導してもいいし、男性が受け身でもいい。
どちらが「与える側」で、どちらが「受け取る側」と決まっているわけではない。
セクシュアリティは、本来もっと自由なものではないでしょうか?
処女性が求められる理由
「処女の方が価値がある」と言われることは、今でもよく耳にします。
「純粋だから」「特別感があるから」といった理由が挙げられますが、
結局、「経験の少ない女性の方が都合がいい」と言い換えられないでしょうか?
「処女じゃなきゃ嫌だ」と言う人に、
「じゃあ、未経験の男性の方がいいの?」と聞いたら、
多くの人は「違う」と答えるはずです。
つまり、
そこには「女性は未熟な方がいい」という前提がある。
でも、そんな必要はない。
性においても、経験や好みは個人の自由であり、誰かに評価されるものではないはずです。
女性は本当に受け身であるべき?
「女性から誘うのは恥ずかしい」
「積極的すぎると軽く見られる」
こういう感覚を持っている人も多いと思います。
でも、考えてみると不思議です。
どうして「自分がしたいこと」を伝えるのに、罪悪感を持たなきゃいけないのでしょう?
たとえば、「美味しいご飯が食べたい」と思ったら、自分から店を調べて行く。
「旅行したい」と思ったら、計画を立てる。
それと同じように、「こういう関係がいい」「こういうことをしたい」と考えるのは、ごく自然なことではないでしょうか?
なのに、セクシュアリティに関しては「女性は受け身の方がいい」と言われがち。
それは、社会が作ってきた「こうあるべき」という枠組みの影響なのかもしれません。
セクシュアリティの価値観を形作るもの——ジェンダーバイアス
こうした「性」にまつわる価値観は、
ジェンダーバイアスと深く結びついています。
たとえば、「女性は男性に守られるべき」「清楚な方がいい」という考え方。
こうした価値観が、「女性は受け身が自然」「経験が少ない方が価値がある」という意識につながっていきます。
でも、それって本当に「自然なもの」なのでしょうか?
「私はこれが好き」と思っていることも、実は社会の影響を受けているかもしれない。
だからこそ、一度立ち止まって、
「これは本当に自分の選択なのか?」と考えてみることが大切なのだと思います。
本当に自由に選べている?
たとえば、性癖や好みの話。
「こういうのが好き」「こういう関係が心地いい」
——これは人それぞれで、どれが正しいとか間違っているとかはないはずです。
でも、その好みがどうやってできたのかを考えると、ちょっと難しくなります。
「これは社会の影響を受けたもの? それとも、本当に自分が選んだもの?」
完全に「誰からも影響を受けていない好み」を持つのは、ほぼ不可能かもしれません。
でも、それを自覚した上で問い直すことはできる。
「私はこれを選びたいのか?」「選ばされているのか?」
価値観のルーツを意識するだけで、今より少し自由になれるのではないでしょうか。
もっと自由に
セクシュアリティに限らず、私たちは日々、社会の価値観の中で生きています。
でも、「これが普通だから」と思考を止めなくてもいい。
☑︎ 「性は本来、対等なもの」
☑︎ 「女性は受け身である必要はない」
☑︎ 「社会の価値観を、そのまま受け入れなくてもいい」
「こうあるべき」に縛られず、「私はどうしたい?」を考えてみる。
たったそれだけでも、少しずつ世界は変わっていくかもしれません。
たとえば、
自分の考えや気持ちを紙に書き出してみる。
友人やパートナーと、こうした価値観について話してみる。
小さなことからでも、自分の考えを整理するだけで、意識は変わるはずです。
もしあなたが男性なら
——「今まで当たり前だと思っていたこと」は、本当に自然なものなのか?
たとえば、
パートナーや周りの女性の意見を聞いてみる。
「女性らしさ・男性らしさ」のイメージを紙に書き出してみる。
セクシュアリティやジェンダーについて、友人と話してみる。
そうすることで、これまでとは違う視点が見えてくるかもしれません。
そんなふうに、一つひとつの価値観を見つめ直していけば、
今より少しだけ、自分らしい選択ができるかもしれません。