【1972年レコード】19)MILES DAVIS : On The Coner
■データ
・リリース : 1972/10/11
・レーベル : コロムビア・レコード
・プロデュース : テオ・マセロ
・チャート : US 156位
・スタジオ : コロンビア 52nd ストリート(CBSスタジオ)
・所有Ver : SOPL 125(JAPAN CBS/SONY)
■トラック・リスト
[SIDE-1]
1. オン・ザ・コーナー
1-1. オン・ザ・コーナー
1-2. ニューヨーク・ガール
1-3. シンキン・ワン・シング・アンド・ドゥイン・アナザー
1-4. ボート・フォー・マイルス
2. ブラック・サテン
[SIDE-2]
3. ワン・アンド・ワン
4. ヘレン・ビュート/ミスター・フリーダム・X
■メンバー
・マイルス・デイヴィス(トランペット/オルガン)
・チック・コリア(キーボード)
・ハービー・ハンコック(キーボード)
・ジョン・マクラフリン(ギター)
・マイケル・ヘンダーソン(ベース)
・デヴィッド・クリーマー(ギター)
・レジー・ルーカス(ギター)
・カリル・バラクリシュナ(エレクトリック・シタール)
・コリン・ウォルコット(エレクトリック・シタール)
・ハロルド・ウィリアムス(キーボード)
・セドリック・ローソン(オルガン)
・ドン・アライアス(ドラム/パーカッション)
・ジャック・ディジョネット(ドラム)
・アル・フォスター(ドラム)
・ビリー・ハート(ドラム)
・ジェームズ・エムトゥーメ(パーカッション)
■LINK
■メモ
マイルス・デイヴィスがジャズ・フュージョンの可能性を更に探求したアルバム。
スライ&ファミリーストーン、ジェイムス・ブラウンらのファンクに加えカールハインツ・シュトックハウゼンの実験音楽からの影響も受けていると言われる。
セッションの音をプロデューサーのテオ・マセロがつなぎ合わせ曲にしており、ジャケットに参加ミュージシャンのクレジットが記載されず、どの楽器が誰によって演奏しているのか分からなくしている。
本作のセッションに同年にアルバムをリリースしている、ハービー・ハンコック、リターン・トゥ・フォー・エヴァーを立ち上げたチック・コリアらかつての”弟子”たちも呼び戻されている。
マイルス・デイヴィスは本作では殆どトランペットを吹いておらず、代わりにオルガンを演奏している。
60年代後半から、ジャズ・フュージョンに舵を切ったマイルス・デイヴィスはJAZZ界隈から「流行りに乗って商業主義に走った」と反発を受けたが、本作では更に複雑に上述の通り様々な要素を取り入れている。
本作を聴いてまず思うのは圧倒的なリズム感。JAZZと思って針を落とすと圧倒的な違和感がまず初めに来る。
新世代のロック、ファンクが台頭して来た事で音楽界における黒人の位置づけ変化と多様性が生まれて来た。取り分け黒人の若者、聴衆の趣向も多種多様になるが、スライのファンクにせよジミヘンのロックにせよ、それらの根底にはJAZZのリズムがあるし、逆にJAZZも新しいものを取り入れて変容して来た。マイルス・デイヴィスはその”根底にあるリズム”を以てバラバラになった黒人たちを糾合しようと試みたのかもしれない。ジャケットのイラストはN.Yに住む様々な趣向を持つ黒人たちの日常が描かれているのもそうしたテーマの表れかもしれない。
マイルスは本作のジャケットについて「もうアルバムに自分の写真も載せるつもりもない。写真なんてもうダメだよ。目を閉じればそこにいるよ」と語っている。