【1972年レコード】35)CARPENTERS : A SONG FOR YOU
■データ
・リリース : 1972/06/13
・レーベル : A&M
・プロデュース : ジャック・ドーティ
・チャート : US 26位
・スタジオ : A&Mスタジオ
・所有ver : AML-135(JAPAN 72/7/10 King Record)
■トラック・リスト
[SIDE-1]
1. ア・ソング・フォー・ユー(Leon Russell)
2. トップ・オブ・ザ・ワールド
3.ハーティング・イーチ・アザー
4.小さな愛の願い(It's Going To Take Some Time:Carol King)
5. 愛にさよならを(Goodbye To Love)
6. インター・ミッション
[SIDE-2]
7. 動物と子供たちの詩(Bless The Beasts And The Children)
8. フラット・バロック
9. ピアノ・ピッカー
10. 愛は夢の中に(I Won't Last A Day Without You)
11. クリスタル・ララバイ
12. 明日への旅路(Road Ode)
13. ア・ソング・フォー・ユー(Reprise)
■メンバー
・カレン・カーペンター(ボーカル/ドラム)
・リチャード・カーペンター–(ボーカル/ピアノ/オルガン)
・トニー・ペルーソ(リードギター)
・ルイ・シェルトン(ギター)
・レッド・ローズ(スティール・ギター)
・バディ・エモンズ(ギター)
・ジョー・オズボーン(ベース)
・ハル・ブレイン(ドラムス)
・アール・ダムラー (オーボエ/イングリッシュホルン)
・ボブ・メッセンジャー(サックス/フルート/アルトフルート)
・ティム・ワイズバーグ(ベース・フルート)
・ノーム・ハーツバーグ(ファゴット)
・ゲイリー・コールマン (パーカッション)
■LINK
■メモ
異論は絶対に認めない。カーペンターズ4枚目にして最高のアルバム
ヒットメイカー、レオン・ラッセルによる「ア・ソング・フォー・ユー」に始まり、「ア・ソング・フォー・ユー」で終わるアルバム。コンサートで多忙な日々を送るカーペンターズが、コンサートに来なくとも聴くその一人一人に届けたいという想いが込められている。
カレンがドラムを叩く姿はカッコイイ。カーペンターズは昔なんだったかのドラマで流行ったし、それがどの曲かも忘れたけど(多分トップ・オブ・ザ・ワールドだけど‥)、ドラマの主題歌なんてカーペンターズを語るには物足りない。以前「凄く良いよ!」って聴かせたのに「ふ~ん」程度だったのが、ドラマの主題歌になったら「カーペンターズ知ってる?」だもんな。そんなのはドーでもイイ。とても素晴らしい、とてもとても素晴らしい。それが僕のカーペンターズであり、僕にくれた「ソング・フォー・ユー」だ。
本作は元々1972年2月にリリースされる予定だったが、4か月も遅れている。遅れた理由についてリチャードは「最も大きな理由は素晴らしい曲が出来過ぎてしまって選びきれなかった」「公演スケジュールが多すぎてレコーディングに割ける時間がなかなか取れなかった」「諸々調整がついてさぁレコーディング!という時にカレンが病気になってしまってスタジオに入れなかった」と語っている。のちに不幸な結末を迎えてしまうカーペンターズがまさに命を削って作り上げたアルバムだと思う。
「愛にさよならを」はリチャードの才能がさく裂した名曲と思う。美しいバラードからのファズ・ギター。だがこの曲は当時「カーペンターズはH/Rにへつらう裏切り者」とクレームを受けた事でラジオでの放送がされなかった。
「愛にさよならを」を作成している時、”この曲にはファズ・ギターをいれるべき”と判断したカーペンターズは、ギターリストのトニー・ペルーゾへ連絡する。カレンの電話を受けたペルーゾは最初何が起きているのかを理解出来なかった。カレンがもう一度自分の名前を名乗った時、ペルーゾは本当に自分のアイドルであるカレン・カーペンターからの電話だと気付いた。
ペルーゾは当初甘いメロディを聴かせたが、リチャードのイメージでは無かった。曲の詞を見ればなるほどと思う。カレンの歌声は落ち着いて沈みがちだが、エンディングのギターとコーラスのハーモニーはまさに不安のどん底で叫び声をあげる女性の魂と情念が唸りを上げながらファズ・ギターに乗って天空へ突き上げていく様が思い浮かぶ。このギターソロは胸が震える名演と思う。
最大のヒット曲となった「トップ・オブ・ザ・ワールド」はアルバムリリースから1年後に出た曲。カントリー歌手のリン・アンダーソンによりカバーされシングルチャート2位を記録した事により、何故自分たちはシングルカットしなかったのかと不満を感じたカーペンターズは、同曲を新たに取り直しシングルとしてリリースした。同曲はとりわけ日本で大ヒットしたらしい。
3枚目のシングル曲「小さな愛の願い」はキャロル・キングの曲とすぐに分かるキング節全開のナンバーだが、当然ながらやっぱり素晴らしい。キャロル・キングとカーペンターズで最高な曲にならないはずが無い。
1972年という前提はともかく、個人的にとても思い入れのあるアルバム。これ以上はプライベートな事を書きなぐりそうなのでこの辺で‥