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伝統絵画と現代絵画、それぞれの集中の方向
現代絵画ほど、直感力(エネルギーの集合)を必要とするものはない。私の場合、写実においてもそれは必要であったが、現代絵画はそれ以上に必要であり、それ以外の事は考えられない。
ということは、とりもなおさず核心にふれなければならないし、他の雑事は一切必要ないのである。
だから、追求するという言葉は遠い昔の伝説であると思う。
だから、間接的に対して直接的である。
又、伝統的な作品は、追求に追求を重ねるので、いつ終わるという保障がないが、エネルギーを集中し直感のイメージは、確かに完成がある。と同時にそうでなければならない。
この集中の方向がとても重要と思う。
1つは、伝統的な絵画に見る技術的な集中に対し現代絵画は内容の集中である。
我が国の絵画(全部が~という訳ではないが)に対する審査なり評価の仕方は、このような方向のはき違いに大きな問題点を残してる。内容より技術的な集中力に比重をなしており、丁度、今回教育審議会という団体ができて教育制度を見直すことになっているが、現代の教育のあり方とその辺はよく似ている。訓練的な教育より、もっと内容の点において教育せねばならないように。
我々はあまり先を急ぎすぎた。
重要な物を認識することなく、走りすぎた。
絵画とは何か、という疑問と同じ様に教育の本質をまず知るべきである。
これは決して基本的な事ということでなく、哲学が必要なのである。
22Aug 1984